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今日から変わってみようかな

作者: 晴間あめ

わたしは朝が嫌いだ。


「今日から変わってみようかな」


なんて前向きなタイトルを掲げてみたが、わたしは決して前向きなことや明るいことばかりを考えて生きている人間ではない。


わたしは朝が嫌いだ。


正確には、"仕事の日の朝"が嫌いなのだ。


休みの日は予定がなければ気の赴くまま、自分の好きなだけ寝ていられる。一度目が覚めても自分の意思で、何度でも再び夢をみることが可能なのだ。幸せこの上ない。


だが、仕事の日は違う。


当たり前だが、目が覚めたら起きて、会社へ行かなければならない。


それが嫌なのだ。


そうはいうものの、仕事は普通に好きだ。人間関係も至って良好であり、仕事も難しいが楽しい。働いてるぞって感じがする。


ではなぜ、朝が嫌いなのか。


わたしは朝、起きるのが遅い。時間ぎりぎりに起きて、ご飯も食べず、急いでお風呂にはいり、最低限の化粧をして、慌てて家を出る。


家を出て会社に着いてしまえばあとは一瞬で時間は過ぎる。夜まで仕事に没頭するのみなのだが。


わたしが嫌いなのは、朝、目が覚めた時の"時間に迫られている感"と"時間に迫られて急いで準備をしている自分"なのだ。


ここ数ヶ月、今まで経験したことがないほどの多忙な業務に追われ、朝から夜遅くまで仕事をし、帰ったら疲れて何もしないまま寝る、という生活を繰り返してきた。夜お風呂に入る気力がないため朝に入り、湯船で軽く寝てしまい起きたら慌てて準備をする、という習慣がついてしまっていた。


非常に良くない。


良くないのは分かっているのだが、疲れには勝てなかったのだ。


自分はここ数ヶ月間、本当によく頑張ったと思う。


我ながら、褒めてあげたい。


今は忙しさもほんの少しだけ落ち着き、また五月から六月まで、今年最後の忙しい時期がやってくる。


そしてこのままだと、また"負のループ"に陥ってしまうだろう。


それは自分の体力的にも精神的にも良くないため、なるべくなら避けたい。


だから今日から、変えてみた。


"自分はこういう人間だ"

"自分の生活ルーティーンはこうである"

"普段の自分ならこうしている"


という、自分自身の根底にあった固定概念を捨ててみたのだ。


今日休みを満喫していて、ふと気づいた。


この生活が嫌なら自分から変えてみれば良いのではないか、と。



普段全くしない料理を母に教えてもらって作ってみた。


食べたくなったから、プリンも調べて作ってみた。


後回しにせずに、洗い物もした。


お風呂も「めんどうくさい」という感情を放棄し、夜のうちに入った。入ってみると案外なんてことなかった。



他にも、普段の自分なら億劫でしなかったことを、今日は進んでしてみた。


まるで別人みたいだ。


どうしちゃったんだ自分。


でも、嫌いじゃない。


そんな自分も、嫌いじゃないぞ。むしろ好きだ。


誰でも当たり前にやっているような小さなことでも、新しいことを始めるって、勇気がいるもんだな。


でも、おかげで少し自信がついた。


なんの自信か、役に立つ自信かは分からないけれど、少しだけ、未来の自分に安心できる気がした。


何も無い自分より、何かある自分の方が、好きになれそうな気がする。


今はそれだけでいい。それだけを考えて生きてみよう、と思った。


明日は起きて少しだけゆっくり、朝ごはんを食べようかな。

書くつもりじゃなかったが、急に文字にしたくなった。少し前、久しぶりに書こうと文字を走らせたけど何度試しても納得のいく文章が書けず、お蔵入りになった。エッセイは、書こうとして書けるものではなく"その時"というのがあるのかもしれない。読んでくれてありがとう。これを読んだ人が明日、いつもより少し、気持ちの良い朝を迎えられますように。

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