表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/56

第40話 敵は身内にあり

 私の名前はキーラ。


 イザベリア聖王国の聖女シェリナが行方をくらませた後、私はその代わりとなる修行中の聖女の卵達を王宮に呼び寄せて統括する立場を手に入れた。


 王国中の聖女の卵達を集めて分かった事は、私より遥かに優れた素質を持っている者が沢山いるという事だ。


 彼女達を放置すればシェリナの任期終了後に私が次の聖女に選ばれる可能性は低いだろう。

 私は彼女達に適当な冤罪を吹っ掛けて次期聖女候補としての権利を剥奪した上で王宮から追放した。


 特にゲルダ侯爵の娘であるエミリアはシェリナに匹敵する力を持っていた。

 私は真っ先に彼女を追放したが、そのおかげで破邪の結界の力は格段に落ちてしまった。


 辺境では魔獣の被害が相次ぎ、あろう事か愚民達はその不満を私達にぶつけ始めた。


 お父様とエイリーク殿下が裏で動いてくれているので私は聖女代理の座に座り続けていられるが、その為にエイリーク殿下は多忙極まりない日々を過ごしており、私に顔を見せにくる事も少なくなった。


 このままではいずれエイリーク殿下の心が私から離れてしまうかもしれない。


 彼にはまだ利用価値がある。

 今ここで手放す訳にはいかない。


 面倒臭いけどたまには慰めてあげなきゃね。


 私はエイリーク殿下が自室に戻る時間を見計らって彼の部屋を訪ねる。


「お待ち下さいキーラ様」


 珍しくエイリーク殿下の部屋の前を警護している兵士が立ち塞がり声を掛けてきた。


「何ですか? 私はエイリーク殿下に会いに来たのですわよ。そこをどいていただけるかしら」


「申し訳ございません。ただ今殿下にご来客がありまして誰も通すなと厳命されております」


「はあ? 殿下の婚約者である私よりも優先される客なんている訳ないじゃない」


「申し訳ございませんキーラ様。本日はお引き取り下さい」


「ちっ、あんた覚えていなさいよ!」


 私は兵士に悪態をつきながら殿下の部屋の前から立ち去……らない。


 立ち去った振りをして柱の陰に身を隠す。

 私の邪魔をしたエイリーク殿下の客とやらがどこのどいつなのかをこの目で確認する為だ。


 柱の陰で待つ事三十分、ようやくエイリーク殿下の部屋の扉が開いて中からエイリーク殿下と一緒に一人の女性が出てきた。


「……は?」


 私と瓜二つのその女性の顔を見て私は一瞬思考が止まった。


「ティファニスお姉様!? どうしてこんなところに……」


 そこにはエイリーク殿下と親しげに談笑しているティファニス姉様の姿があった。


「一体どういう事よこれ!」


 私は危うく逆上して彼らの前に飛び出すところだったが、何とか理性を保ちながら二人の様子を伺う。


「ティファニス、今日は楽しかったよ。次はいつ会える?」


「エイリーク殿下がお望みとあらばいつでもお伺いいたします」


「いや、次は私の方が屋敷に赴こう。ゾーランド公爵にも宜しく伝えてくれ」


「はい、エイリーク殿下。楽しみにお待ちいたしておりますわ」


 別れ際、エイリーク殿下はティファニス姉様をそっと抱きしめて名残を惜しむ。


 私はその一部始終を放心したような目で眺めていた。


 そこからどうやって自室に戻ったのか覚えていない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ