第24話 魔法の授業
今日の午前は魔法の授業だ。
私は校舎の中から校庭に集まっている生徒達の様子を眺める。
魔法の教師を務めるのは魔界屈指の魔法の使い手であるアンリマンユ先生だ。
「今日は炎の魔法について教える。いいか、校庭の中央に並んでいる的に炎をぶつけるんだ。まずは先生が手本を見せる」
アンリマンユ先生が魔力を指先に集めると、次の瞬間炎の球が現れた。
先生はさらに魔力を放出すると、炎の球は的を目掛けて一直線に飛んでいき、一瞬にしてその的は焼き尽くされた。
「これは初歩的な魔法ファイアースローだ。放出する魔力の波動によって炎の球にカーブをかけたり、縦に落ちる軌道を作ったり、消える炎球を投げる事もできる」
「おー、すごい!」
「さすがアンリマンユ先生だ!」
「僕もやってみたい!」
彼が操る幻惑的な魔法の数々に、アンリマンユ先生は生徒からの憧れの的になっている。
他には体育を担当しているアパオシャ先生も、その身体能力の高さと筋肉質な肉体美から生徒達の人気が高い。
一方の私ときたら生徒達に避けられる一方だ。
思わず二人の先生に嫉妬という慈愛の女神の加護を受けた聖女にあるまじき感情を抱いてしまいそうな自分がいる。
「それでは順番にやってみてくれ。危険だから他のお友達に向けて魔法を放ってはいけないぞ」
「はーい、アンリマンユ先生!」
生徒達は順番に的から少し離れた所に立ち、先生に言われた通り魔力で炎の球を作りだして的を目掛けて放つ。
生徒の魔法の資質は様々だ。
ある生徒の炎の球は的から10メートルは離れた位置に力なく落下した。
ある生徒はそもそも炎の球を作りだす事ができなかった。
ある生徒は逆に指先から凍えるような冷気が放出された。
アンリマンユ先生はそんな生徒達にじっくりと分かりやすく魔法の使い方を教授する。
「ありがとうございます、アンリマンユ先生!」
最初は満足に魔法が扱えなかった生徒達も、少しずつ使いこなせるようになっていった。
アンリマンユ先生の指導力はかなりのものだ。
もし彼が人間界にいたのなら、名のある魔法の師としてその名を轟かせただろう。
そんな中、突出した魔法の才能を持つ生徒がいた。
「えいっ!」
エロガキことシュウくんの放った炎の球は的を貫通し、その後ろに置いてあった予備の的まで届いて一瞬にして焼き尽くした。
「へへん、どうだ俺の力は?」
得意満面なシュウくんに対して、一人のガキ大将がくってかかる。
「おいお前調子に乗んなよ。その位俺にだってできるぞ」
彼の名前はバルガス。
クラスで一番腕力が強く、我がままでいつもクラスの輪を乱している暴れん坊だ。
バルガスくんは的から離れた位置に立つと、指先に魔力を込めて炎の球を作り出す。
「俺の魔法の威力をよく見ておけよ。えいっ!」
バルガスくんは魔力を操り炎の球を放つと、それは的ではなく上空に向かって飛んでいき、花火のように弾け飛んだ。
「あ、あれ?」
「あはははは、どこ狙ってるんだよ。的はあっちだぞ」
「う、うるせーぞ!」
そう。
バルガス君は腕力もあるし魔力も大きいけど不器用なんだ。
「やーい、ノーコン! 俺の魔法をよく見ておけよ、キリッ……だってさ、あははははは」
「お前いい加減にしろよ!」
しつこくからかい続けるシュウくんに対してついにバルガスくんがキレた。




