三、
三人は講習の帰りに道を通学路を歩いていた。
「わぁーそろそろ課題終わらせないときつくなるな」
佐藤。と向日葵は小説じみた事を考えている、
「おーい、言うなよー。大丈夫だろ! 根性があればいけるいける! 」
田中。と向日葵は多少イラつきながらも、名前を挙げる。
彼女は心中思うのだ。田中、その根性があるなら今からでも課題始めろよと。彼女の中で佐藤の事はどうでもよかった。ただ頭いいからムカつくな、思っているくらいだ。
向日葵は考える。それより田中だ、田中は友達まで巻き込むな。だいたい田中はそう言って夏休み明けには徹夜して結局終わらなくて先生に「宿題全部失くしました」と報告するのだから。
「んじゃ、向日葵の家行くか」
「あー、そうだな」
二人が当の本人が後ろのにも関わらず、人の家に上がる計画を立てていることに、向日葵はげんなりした。
だから私の家はお前等のオアシスではないんだよ、と。
「ただいま帰りました」
向日葵は靴を脱いで下駄箱起き、家を上がった。「向日葵、課題はもう終わっているの?」と母は言い遂げることもなしに彼女の後ろを見た。靴を脱いで履き慣らしたスリッパを履く男子達。母親は咎めた視線を向日葵にやった。
別に私が呼んだわけじゃないのに、と向日葵は睨み返すこともできずに男子と共に客間へ向かった。
客間は和室。入って早々二人の男子は胡座をかいた。向日葵は席に座ることもなく「飲み物持ってくるから」と一言、注文も聞かずに襖を閉めた。
台所で彼女は冷蔵庫を開け、ブランドもののオレンジジュースをグラスに注いだ。
母は横で夕ご飯の支度をしている。
「あの子達、はいつ頃帰るの」
「・・・・・・わかりません」
そう言うと母の目尻が釣った。
「ほんとに、毎日毎日」
小言が並び始めたので、向日葵は「ごめんなさい」と台所から出た。
客間は賑わっていた。襖を開けると二人はそこに備えられたテレビを見ている。心霊番組だった。テーブルを見てみると、課題のプリントが乱雑に置かれていた。
「まぁ、たしかに」
彼女は二人も気づかない声で、そう言ったつもりだった。だが、田中が「なんか言ったか?」と聞いてきたので無言で返した。
『まぁ、たしかに』と胸の内に向日葵は続ける。「たしかに吸収するきもないのだから、心霊番組の方が役に立つね」とやはり口にはださなかった。