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ひまわり  作者: 雪之都鳥
第二章
3/65

二、

 宮田と向日葵は図書室でぱたりと会った。


「ほんと、日暮さんは凄いね五冊も・・・・・・」

「えー、でも宮田もなかなかじゃない? 」

 宮田と日暮は互いに抱えてる書物を見比べた。宮田の手には車の写真集と思わせるものと、脳内を鍛える、と題された分厚い本。

「それじゃ、お互いに偉いということで」

 秘密ですね、と宮田は小声で言った。

 宮田は人気者だ、その頭の良さと確かの豊富さで学内では博士と評されている。

「あ、宮田くんだー! 可愛いー 」

 夏期講習にでも来たのだろうか、と向日葵は嫌な顔をする。その見た目に二年か三年の先輩だと、向日葵は俯いた。向日葵はそんな自分に、苦しくなってシャツの胸元を掴む。二年や三年の何が偉いんだと、そう思っている。だが言葉は出てこない。弱虫だ、と握る手を強くした。

 そんな彼女に気付き、上級生等は目をやった。指をさしたのは、端正な顔立ちで大人っぽい出で立ちの女だった。

「あれ、誰この子」

「・・・・・・あっ、この子は・・・」

 宮田は渋った。途端に顔は赤くなる。いわゆる赤面症だと、本人は言っているのを向日葵は聞いていた。

 意味のわからない黄色い歓声に向日葵は驚いた。向日葵はこの高い金切り声が大の苦手だ。

「まさか、彼女?! えー! 」

 三人ではしゃいでいる。高校生になったら一人や二人はいるだろう、この時代。と向日葵は心の中でぶつくさ言う。否、二人は付き合っていない。

 宮田は性格が真面目で一人一人に応えてしまう癖がある。これがキャッチセールスにでも捕まったら、どうなるのか。向日葵はふと心配にもなった。

 いつまでも勝手に妄想して楽しむ三人。そろそろ限界になってきて、宮田を引っ張り出して帰ろうとさえ考えたがやめておこうと向日葵はため息をついた。


 ———図書室のスライドドアが開いたと思ったら、司書さんが腰を低くして、三人に言った。「ここは図書館です、図書館での雑談はお控え願います」反抗期に入っているのか、と向日葵はいつもの癖で観察をしていた。三人はムカついたように、文句を垂れながら撤退した。


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