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商業ギルドで登録

木と漆喰、前にネットの写真で見たことのある、スイスの標高の高いところにあるホテルを思い出す外観の建物は、どうやら「商業ギルド」らしい。


「出店や、町でのお店などの登録はこの商業ギルドが扱ってるんだ」


グリフィスが簡単な説明をしてくれる。

どうやら住民の案内をしたり、へんな商売してません、ちゃんとしたお店ですよ、というお墨付きを与えるのが商業ギルドらしい。

あとは、広場の出店も商業ギルドが管理していて、出店したい場合にはここに許可をとりにこないといけないらしい。

三階建てらしい建物は、一階に受付があり、レストランが併設されていて、いろんな人が食事を楽しんでいるのが見える。

受付の横から上に上がる階段があるので、おそらく上がギルドの職員が働く場所で、普通の人は一階の受付ですべてすむ仕組みなのだろう。

受付は全部で10ほどあるけれど、いま開いているのは3つのみだった。

奥にある受付の窓口は、なぜか重厚な木の柵であちらがわとこちら側を分断している。


「あの奥のカウンターは、売上を預けたり、預けたお金を引き出す場所だよ。もし、ダイヤモンドサックス商会の売り上げを預けるなら、商業ギルドに登録したらできるから、後で使うといいよ」


なるほど、木の柵は銀行の警備システムの一環なのか、と納得しつつ、商業ギルドが銀行機能を兼ねていること、銀行みたいなのシステムがあることに少し感動する。

ひとしきり見回した後、グリフィスと一緒に普通の受付にいき、女の人に声をかける。


「すみません。町の広場で出店を出したいんです。なので商業ギルドに登録をさせてください」

「はい、出店の申し込み前提の登録ですね。少々お待ちください」


女の人はそういうと、裏から金属のパネルと数枚の紙を持ってくる。


「それではお名前と、保証人と取引先をおねがいします」

「え、保証人…?」


どうやら、商業ギルドに登録するのには保証人というのと取引先が必要なようで…。


「これでいいだろう」


書類をみたグリフィスが横からさらさら、と書いて受付の女の人に提出する。


「保証人は…あ、グリフィス様! こちらの女性はグリフィス様のお知り合いだったのですね。失礼いたしました」

「いえいえ、あと取引はすでにダイヤモンドサックス商会としているので、もしなにかあったらミサエルに確認をしてくれ」

「だ、ダイヤモンドサックス商会と!!! 確認だなんてそんな…!とんでもありません」


受付の女性は、私の後ろにいたのがグリフィスだと分かると、とたんに慌てて、書類を受け取ると、金属のパネルと書類を箱のようなものに入れ、

「ここに、手をかざしてください」

と、その箱についている水晶玉みたいなものを指さした。


「はい、終了です」


数秒して受付の人にそう言われ、金属のプレートを渡される。


「これが商業ギルドのギルドカードになります。落としたり、なくしたりすると再発行にお金がかかるので気を付けてくださいね」

「わかりました」


銀色の薄いプレートにはいくつか文字が書いてあって、右の端に丸い穴があいている。

きっと紐などを通して失くさないようにするものなのだろう。


「広場での出店許可はどこですればいいんですか?」

「ここで承ります。出店料は1日だけ、1週間だけ、1月、半年、一年と選べて、1日だけは白銅貨2枚、1週間は白銅貨12枚、1月は48枚、半年は240枚、1年は400枚つまり銀貨40枚ですね。すべて先払いになり、途中でやめた場合も返金はしません。そのかわりに長く契約いただくと割引させていただいています」

「じゃあ、とりあえず1年で」

「え!?」

「は!?」


せっかくなら一番安いほうがいいだろう、と1年分を契約しようとしたら、受付の人だけでなくグリフィスまで驚いた声を出した。


「最初はせめて1週間とかにしたらどうだ?」

「そ、そうですね。皆様1週間や1月から始める方が多いので、まずはそちらをお勧めします」


そんなものか…とおもいそれじゃあ、とまずは1週間を予約する。

出店の場所は不公平がないように1月ごとにくじ引きで変わるそうだ。

月頭にくじで場所がきまり、途中から申し込んだ人は先着順で中央から遠くなっていくらしい。

なるほど。


「いまはお祭りの時期なので普段よりも出店が多くて、月の途中ですので、いまからですとちょっと外れの場所になりますが、大丈夫ですか?」

「はい、大丈夫です」


お試しだし、場所とかはあまりに気にしなくてもよいかな。

そう考えて、頷くと出店区画が描かれた紙の一か所にマルをつけてくれた。


「こちらが出店場所になります。もし場所が分からなかったらお教えしますので言ってくださいね」

「ありがとうございます。とりあえず見に行ってみます」


紙を受け取って、商業ギルドを出ると、広場にもどり、区画の紙の通りに歩いていく。

広場は中央に生活の水場があり、それを避けるように田の形でお店が配置されている。

4つのお店が1区切りでさらにそれが4つ並んで1区画になっているようだ。


人気のエリアは町の入り口から中央の大通りにそったエリアで、そこから外側に東西南北にお店が広がっている。

私が与えられたのは東の北側寄り。

レストランなどがあった街並みとは正反対の場所で、1本通りを入るとちょっとさびれているような雰囲気の建物が並ぶエリアだった。

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