死者日記
なんか色々な人の視点繋いだ話とか面白いんじゃね?と思って……
私は神様である。
名前は教えない。
私には日課になっている趣味がある。
浄化前の魂の記憶を、想いを、自我を読むことである。
死んだ生物の魂は輪廻に入れる前に記憶と想いと自我を落とす。
何処だかの世界では神様がポンポン魂を浄化せずに輪廻に回していると思われているが、実際は一部神様が面白半分ですることが稀にあるくらいである。
記憶、想い、自我は高い知性を持つほど、長く生きるほど魂にこびりつくので迷惑なのだ。
そして私の仕事はその面倒な魂の洗浄である。
私がこんな仕事を続けているのは趣味のついでである。
多くの神は生者にしか興味がなく、たまに気に入った者を死後懐に入れるくらいだ。死者にはそういった例外を除いて興味を示さない。|記憶や想いや自我(穢れ)でしかないのだ。
私はそれはすごくもったいないと思う。だって死に続きはないから、形がはっきりとしている。完成されたものや不完全なもの、醜く淀んだものも光るものも────みんなみんな不変で美しい。なのにみんなあやふやなものを好む。
せっかくなので死者の記憶を読む楽しさを伝えようと思う。日付なんて概念がない神界ではおかしいかもしれないがこう記そう、
"死者日記"と。