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秋懐
秋の物思い。五言絶句です。
風翻寒鷺羽
雨打老松鱗
世事多蹉跌
深秋路上人
風は寒鷺の羽を翻し
雨は老松の鱗を打つ
世事 蹉跌多し
深秋 路上の人
風がサギの羽をひるがえし
雨が松の木肌を打っている
世の中のことにはつまづきや失敗が多い
晩秋に道を行く人よ
起句は実景。実際に風がサギの羽をファササーとなびかせているのを見ました。
そこから発想を膨らませて一つの詩にしたものです。
松の木肌はごつごつしていて竜の鱗に喩えられることがあります。
蹉跌はつまづくこと。サテツと読みます。
つまづく→歩く→道の上、ということで転句から結句へ連想が続いています。