桜色の入学式
4月1日
この日はエルミナージュ学園の入学式。
皆、不安と好奇心が募る日。
月下ルピナス。彼もその一人である。
「ルピナス!」
ルピナスの友人小高木柚子(こうぼく ゆず)は彼の名前を呼んだ。
「朝からq(゜д゜ )ウルセェんだょ。」
「今日から高校生活が始まるんダゼェ(ドャー」
等と旧友との会話。
「一緒のクラスがいいなぁ。」
「あぁ・・・。そうだな。」
柚子は中学の頃から女子にモテていた。3日に1度のペースで告白されていた。
「そう言えば、柚子は昔からモテたよな。」
「気のせいだろ。」
「いや、気のせいじゃない!だって・・・」
ルピナスは言いかけたままそれ以上何も話さなかった。
何故なら、中学の頃ルピナスが好きだった女の子が柚子に告白して振られたところを見てしまったからだ。
ルピナスは今でもあの時のことを思い出すと涙が止まらない。
その後、無言で学校へ向かった。
「ルピナス、何組だった?」
「俺は、薔薇組。お前は?」
「山茶花組だ。」
「別なクラスだな。」
「そう・・・だな。」
「じゃぁ、また後でな。」
「おぅ。またな。」
それぞれ2人は自分のクラスへ向かった。
ルピナスは内心では柚子と別なクラスで良かったと思っていたのだ。
何故なら、柚子がモテるから教室に入った時に騒ぎに巻き込まれたくなかったからだ。
これに巻き込まれると逃げるのが難しい。
ガラッ
ルピナスは教室のドアを開けた。
シーン・・・。
教室はとても静かだ。
皆、緊張しているのだろうか。知り合いがいないのだろうか。ヤケに静か過ぎて気味が悪い。
そんな中で自分の席を見つけ着席した。
キーンコーン、カーンコーン
このクラスの担任かと思われる大人が入ってきて仕切り始めた。
「起立、礼、着席」
「えぇっと、皆。入学おめでとう。早速だが入学式をやるから並んで体育館に移動。」
この合図と同時に皆は無言で一斉に移動を始めた。
そして、入学式が始まった。