不景気
今も同じですが、則子さんの会社は不景気で、仕事が減少していました。則子さんの仕事は、いわゆる電話代行業というもので、色々な会社の電話やネット関係の仕事を請ける業務なのです。
当然、クライアントがいて仕事をもらうのですが、則子さんが所属していた部署でクライアントから立て続けに仕事を打ち切られ、勤務日数が減らされたのです。全員平等に月3~4日、有休を使って自宅待機になったのですが、グループ内で反発が起こりました。
則子さん同様、自活している人たちと、実家から通勤している人たちがいて、自活組は勤務を減らされる=生活が苦しくなるのですが、実家通勤の人たちは生活に直接ダメージを受けることはありません。だとしたら、同じ日数ではなく、自活組を優先して働かせるべきじゃないかという訳です。
確かに則子さんも生活は苦しかったのですが、そこでああだ、こうだ論じたところで改善はしません。また、そんな職場で働くのも煩わしくなったので、上司に相談し、とりあえず3ヶ月間、他の部署でヘルプ要因として働くことになりました。
則子さんは勤務歴16年、SVなんぞもやっているので、大抵の部署であれば問題なく勤務できます。最も、他の部署に行きっぱなしという訳にはいきませんので、4日間他の部署で働き、残り2日間は自分の部署で受け持ちのSVの仕事をフルタイム勤務としました。
勤務は週6日になりますが、則子さんが不在の分、他の人が働けるので一石二鳥、と思ったのですが、ヘルプ先の部署がメチャクチャハードだったのです。
朝8時から出勤し、残業に継ぐ残業。遅い日はギリギリ終電で帰宅する毎日でした。へとへとになっていたところへ、徹さんからメールが届きました。
『罰金46万、耳をそろえて叩き付けてやった!』
『ええ~?あれから3ヶ月しか経ってないけど、まさかサラ金に手を出したの?!』
『失礼な!1日1食で節約したんだぞ!』
『おお~、すご~いっ!えら~いっ!』
な~んて、メールをした後、徹さんから爆弾発言が!
『罰金もなくなったし、オーナー店をやることにした。則子も手伝ってな!』
ええ~?!私、フルタイムで働いてますけど?!この上、店の手伝いも?!




