始まりの始まり
久しぶりの投稿です。内容を大幅に変更しました。(@_@;)
この物語の主人公、則子さんは38歳。生まれも育ちも東京の北部にある町。とある企業の契約社員として朝から晩まで働くかたわら、料理やお菓子作りの趣味が高じて、パンを焼いたり、ジャムを煮たり、やがては味噌だのケチャップだの調味料も自分で作るようになりました。
こうなると、素材から育てたくなるもの。2畳ほどのベランダに所狭しとプランターを並べ、トマトやピーマン、バジルやパセリなど野菜を栽培するものだから、則子さん家のベランダは、ちょっとしたジャングルと化しておりました。
さらに、仕事の合間をぬって芝居や歌舞伎、バレエ、ロックコンサートにクラシックコンサート、果ては野球やプロレスまでジャンルを問わず、どこへでも出かけてしまうのでした。もちろん、それが海外であっても、です。
そんな風に独身生活を謳歌していたものだから、一生、この生活が続くだろうと思っていた矢先、運命の人と出会ったのでした。(笑)
それはインターネットのお見合いサイトから始まりました。
インターネットのお見合いサイトといっても、誰も知らないような、こじんまりしたサイトです。基本は本人同士がメール交換をし、意気投合したら自分たちで会うセッティングをするというもの。
出会い系サイトと違うのは、最初のうちは管理者がメールをチェックし、既婚者とバレたら退会処分になるということ。いうなれば、大手の結婚相談所のサイトと出会い系サイトの中間という感じでしょうか。
それにしても、独身生活を満喫していた則子さんがナニユエお見合いサイトに入会することになったのか?
それには、則子さんがサイトを見つける2週間前、2008年のお正月に遡ります。帰省した則子さんに、父親が頼み事をしたのです。
「3月に祖父さんと祖母さん、それから伯母さんの合同法事をやることになった。案内状を送るから、則子のパソコンでチョチョッと作ってくれないか?」
「え~?!まあ、いいけども。法事の日にちは?」
などと話が進み、家に戻ってパソコンに向かってみると、これが意外に難しい。何しろ往復ハガキという小さなスペースに3人の名前と、それぞれの回忌を書かなくてはいけないのです。
一番小さいゴマ粒大のフォントで書くのは論外なので、何かを略さなくてはならないのですが、さて、ドコを略したものか、ネットで良い知恵はないかウロウロしていると、件のお見合いサイトにぶちあたったのでした。
サイトを見た瞬間、則子さんの脳裏に「あ!このサイトに登録したら、私、結婚する」という思いが浮かびました。
予知能力があるとか、霊感があるとか、そんなこととはサラサラ無縁の則子さんでしたが、時々、強い直感を感じることがありました。そのおかげで、何度か危ない局面を乗り切ったこともありますが、逆に、普通に考えたら無謀と思われることでも突撃してしまうので、周りをハラハラさせることもしばしば。
もっとも、直感を感じても直ぐに信じる則子さんではないので、「女性は無料だし、ダメでも笑い話になるか~!」ぐらいの気持ちで登録したのでした。




