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彼女が帝国最強の水術士になった理由  作者: 滝川朗
第十九章:闇術士とその召喚獣が愛し合うなんて、おかしなこともあったものね……
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 アルバートの王城では、リファールのご両親、つまりアルバート王国の国王陛下と王妃様なわけなのだが、お二人が玉座の間でサラ達を迎えてくださった。

 一国の王が、ここまで気さくに他国の庶民たちをもてなしてくださるとは……。


「そなたらのことは、リファールから聞き及んでおる。五日間の滞在中、ゆるりと過ごすがよいぞ」

 王太子に似た爽やかで凛々しい王様だった。

 その隣の王妃様にしても深紅の髪色の美女だった。


 絵に描いたような幸せな家族。

 絵に描いたような幸せな許嫁との関係。

 リファール王子の周囲は、全てが完璧に整っているように見えた。


「美味しい……!」

 サラは晩餐の席で、普段は滅多にお目にかかれない豪華な食事に舌鼓していた。

 晩餐は、広いホールに、サラ達五人の客人と、リファールとその許嫁シルヴィア、七人水入らずの気さくな席が設けられた。


「お前なあ、もうちょっと淑女らしく出来ないのかよ……」

 エドガーは呆れ顔だ。


「や、やだ……っ、わたし、そんなにはしたない……っ?」

 大好きなエドガーにそんな風に言われて涙目になるサラだった。


「クロエ・カイルを見倣(みなら)え。一口は小さく、ゆっくりと優雅に咀嚼するんだ」

 たしかに、帝都の名家で育ったクロエ・カイル様は、食事のしかたもいちいちたおやかで美しい。

 サラには真似できない仕草だ。

 サラはますますしゅんとなった。


「お好きなようにしてくださって構わないのよ。今宵は無礼講。わたくしも、みなさんの恋バナ、ぜひお聞きしたいわ……!」


 リファールの許嫁、シルヴィア姫は、これまで見たこともないぐらい完璧な、絶世の美姫なのに、気取ったところがなく、すぐに皆に打ち解けていた。

 外見と同じぐらい、中身も素晴らしい人のようだ。

 リファールが惚れ込むのも無理はない。


「チネからいろいろお聞きしてるのよ。サラちゃんとエドガーさんはいい感じだって。それから、クロエちゃんとユーシスくんもいい感じだって」

 サラは真っ赤になり、クロエは苦笑している。

 いったい、チネ・リリアナはどんな報告をご主人様の許嫁にしているのだろう。


「私とリファもいい感じよ、ね……っ!」


「まあな」

 爽やかな王太子様は、幸せそのものの顔をしていた。

 サラは羨ましくて堪らなかった。

 サラにはお二人の姿が、まさに憧れのお伽噺の世界の住人みたいに見えた。

 愛でたしめでたしで終わるお伽噺のお姫様と、隣国の王子様だ。

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