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彼女が帝国最強の水術士になった理由  作者: 滝川朗
第二章:まだ授業中で、他にも別チームの試合が控えているにも関わらず、クロエは立ち上がり、つかつかと演習場から出て行った
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 学院も第七学年ともなると、実践形式の授業がほとんどになる。

 その日は、スリーオンスリーだった。


「あんたがなんであんなに前期、必死に勉強してたのかが分かったわ……」


 サラは隣でほくそ笑んでいるユーシスに不機嫌に言った。せっかくクロエ・カイルからクズ野郎のユーシスを遠ざけようと思っていたのに……。


「まあね!僕がちょっと本気を出せば、学年上位なんて、チョロいもんさ」


 つまり、普段はただサボってるだけってわけね。ほんとに、聖術士とは思えない性格の男だ。


 授業で実践形式の試合をする場合、実力が亀甲している者同士を闘わせるために、チームは学年順位の順番で組まれる。

 学年順位の順番で、盾役、アタッカー、サポート役の三人が一組のパーティーとなるようにチーム分けがされる訳だ。


 第一試合。トップチームのリーダーは、学年一位のアルバート・ロムルス・リファール。

 リファールがアタッカーの焔術士なので、もうひとりは『盾役』の地術士チネ・リリアナと、学年四位の聖術士のフレイ・アサルの三人でパーティーが組まれていた。

 聖術士はアタッカーからサポート役まで、オールマイティーに活躍できる職種だが、対術士戦となると、基本的にはサポート役だ。

 聖なる術は、魔物相手には効果抜群だが、人間様を叩くのには向いていない。


 フレイ・アサルは、銀髪に、冴えた青い瞳をしている。皇族の血を受け継ぐ中央貴族の傍系だった。

 ランサー帝国は、基本的に長男しか爵位を次げないので、彼のような高貴な血を受け継ぐ平民も多数存在する。

 皇族出身者には、純白の呪力を持つ者が希に存在する。皇族ゆかりの公爵家ヤーデ家の傍系であるユーシス・クローディアもまたしかり。

 つまり、フレイとユーシスは、かなり遠縁ではあるが、元を辿れば親戚関係にあるのだった。


 対するは、学年二位のクロエ・カイルのチームだった。

 盾役兼サポート役の水術士であるクロエのチームのメンバーは、今回自身初の学年三位の地位を獲得した聖術士のユーシス・クローディア、そして、学年九位の風術士サラ・オレインの三人だ。

 ポイントを稼ぎにくい翠緑の風術士は成績上位者が少ない。サラは翠緑の呪力を持つ者の中では、いつもだいたい上位三名ぐらいには入れていた。


「うう……っ、イヤだなあ……。なんであたしなんかが、学年一位のリファール様と戦わなきゃいけないんだろう……」


 サラはユーシスとクロエにぼやいた。

相手チームのアタッカーが一位のリファール王太子様なのに対して、こちらのアタッカーが九位のサラ・オレインと言うのは、なんとも心細い……。


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