悪役令嬢特に婚約破棄や転生なんて実際は存在しなくねという発言から始まる異世界学園系の話
今日の天気は晴れ。
夕方のビミョーな時にビミョーな女子4人組が教室にいる。
椅子に腰かけ向かい合わせに座っている。
神妙な面持ち短髪少女が話を始める。
「悪役令嬢って本当に存在するの?」
両手を顎に当て、少しぼそったしゃべりでそう言い放った。
彼女の名前はサルデーニャ、通称サル。
とにかく明るい、今はそんなふうに見えないが明るい。
そして頭がちょっとあれ。
ちなみに、服の袖には、昼食で食べたオムレツのケチャップがついている。
これに関しては、日常茶飯事なことで誰も触れず、本人はそれに気づいていないのである。
「そりゃ、広い世界だし、いてもおかしくないわよ。」
いかにも生真面目で堅苦しい言葉でサルの言葉を一蹴する人物がいる。
彼女はミオビ。
4人の中では常識人のほう。たまにやばい方向に進んでしまう時がある。
「婚約破棄、転生、非現実なことよ。この理論から推測されることは、悪役令嬢というものは架空の人物。」
誰が聞こえんねんてぐらい小さな声で話す少女、彼女がカナ。
学園内では1位2位を争う程の秀才。
無表情で突拍子もないこと言ってしまいガチ。
「何言ってるの?」
なんでも拾いたくなる性格のミオビがカナにツッコミを入れる。
「転生は架空じゃないよ。私は転生者だよ。」
机をバンと叩き立ち上がる。
動いていなくても胸が動いていそうな程胸の大きい、ピンク髪ロングの少女、ミカ。
彼女にはいろいろあるようだ。
「はいはい、中二病おつおつ。」
この品のないしゃべり方、大きな非言語コミュニケーションをとるのがサルである。
「ミカにはミカなりの世界があるのよ。安易に人を否定するのは、下賤な人間がとる行動よ。」
優等生ミオビがフォローに入り込む。
「信じてよー。」
ミカは少し目に涙を浮かべている。
まあ、転生なんて信じる人はこの世界に一人としていないだろう。
「んなことよりさ。暇だし魔王討伐に行って世界救おうぜ。」
また突拍子もないことをアイツが言っている。
そろそろ、ケチャップに気づけよ。
「魔王、魔法、一文字違うだけ。うふふふ」
カナは、ノートに魔王、魔法と書き、不敵な笑みを浮かべた。
何を考えているのか全く分からない。
「何言ってんのよ、バカ。魔王なんているわけないでしょ。」
腰に手をあててウンザリしたかのような態度でため息交じりに声をあげた。
「いやいるじゃない、すぐそこに。」
おとぼけ顔である。
「えっ学校内にいるわけないじゃない。」
掌をあごあたりに当てドン引きしているモノ。
彼女は汚物を見るような目をサルに向けていた。
サルはまだケチャップに気づいていない。
「何とぼけてんのさあ。あんたのことじゃん、ミオビ!」
ドン引きするものに向けて人差し指を向けたサルの表情は、勝ち誇っているようであった。
「誰が世界征服を狙う悪魔よ!」
当然キレル、ミオビ。
「まあまあ、あながち間違ってないことだし。」
「ミカまで!」
ミオビは、驚きのあまり目を丸くしミカに視線を変えた。
「今日も暇、明日も暇、退屈」
くだらない会話劇に飽きたカナが本音交じりのぼやきを繰り出す。
これは本人以外に向けた言葉の範囲攻撃である。
「なーに物思いにふけってんのさあ。」
サルは見逃さなかった。どんなものでも話題にしてしまう。まさに天才。
暇つぶしの天才であった。
「暇顔」
カナ渾身の一撃、これは一撃必殺か??
「だーれが暇人みたいな顔だよ。確かにそうだけど。」
「認めるんかい。」
ミオビ超シンプルなツッコミ。
勝負の結果はサルの勝ちであった。
ドン
大きな音とともに教室のドアが開く。
教室にいた4人は目を丸くし、それを見ている。
それもそのはず、彼女の前に魔王のような女子がたたずんでいたのである。
「あっあのう、みなさんにお話しがあります!」
「ああ魔王じゃん、どしたの?」
ミオビが軽い感じで魔王っぽい女子生徒に話しかけた。
「魔王じゃないです。マオです。いつになったら覚えるんですか。」
彼女の名前は、マオ、頭に生えている角はカチューシャであって魔王とは関係ない。
また服装も髪も何もかも黒いが暗黒系の人ではなく、ただの黒色好きなだけだ。
「いやでも、手の甲に魔法陣書いてあんじゃん。絶対そういう系の人じゃん。」
サル、他人の違いに気づくのに自分の違いには気が付かない。
「これは、ばんそうこうです。さっきこけたんですよ。」
「紛らわしいよお前。」
「そんなことはどうでもいいんです。あなたたち、部活に入ってないよね。」
「ああなんか最近部活って制度ができたそうだな。確かスポーツや趣味が同じ人が集まって放課後活動するやつ。」
「そうです。まだ所属先を提出していないそうですね。校則は絶対ですよ。」
「そういうあなたも入ってませんよね。」
ミカが少し大きな声でマオを問い詰める。
「ううう、でもあなたたちもですからね。」
「んじゃさあ、この5人で適当な部活作るってので良くない?」
「まっそうね」
「異議なし」
「いいですね。」
「まっまあ、私もそれでいいと思います。」
5人の利害が一致した
「じゃあ部活の名前をを決めようぜ。」
仕切りのミオビここに登場。
「はいはーい、私スライム部がいい。」
サル真っ先に手を挙げ発言する。
「スライム部って何するの?」
巨乳が疑問に思いサルにぶつけた。
「こうやって、こうするの?」
サルはその場にしゃがみ込み、黙り込んだ。
「何さ?」
ミオビツッコミを入れる。
「スライムってさ、草むらにいるけど、全然動かないじゃん。だからこの部活をはじめてスライムの考えを探るってのはどうよ。」
「却下」
「無理」
「いや」
「〇ね」
「おいおいおいおい、マオ〇ねってなんだよ。やはり貴様魔王の幹部か?」
サルがさすがにマオの奇行を気にした。
「すいません、ついいつものが、あっ何でもないです。」
マオは何か含みをもたせ怪しげな表情を浮かべている。
「お前やっぱそういう事か?」
「まあまあ、カナさんは何部がいいですか?」
暴れ狂うサルを諭しながらミカは話をうまく変えた。
「ゴミを水の中に入れ、それを見て笑う。」
「うー、ミオビさんは?」
「私?私はそうねえ。魔法使いごっこ部?そういうのあこがれるじゃん。」
「わー恥ずかしい。」
サルがくすくすバカにするような表情でミオビを見つめる。
「この馬鹿サルー。そうマオとミカは何か案はないの?」
万時ロックをお見舞いし、サルは限界に感じたのかミオビを必死にタップする。
「私は何でもいいなあ5人で何かできるなら。」
「私も何でも…」
「面白くないやつらだなあ。」
「じゃあさあ、マオもいるし魔王部なんてどうよ。」
「何をするんだよ。」
「まあ何でもいいんじゃない?適当な日常を送る部活魔王部でどうよ。」
「いいじゃないですか。」
「まあいいか」
「ええいいわ」
「うんうん」
「というわけで、魔王部これから頑張っていくぞー。って私血がついてるんだけど。まさかマオお前私に禁忌魔術を?」
「そんなことしませんよーー。」
評判良かったら続編作りたいなと思います。
よろしければ評価の程ををよろしくお願いします。