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ラップみたいな何か。「犯行その一」

 会社へ出かける前の眠い耳に

 遠くから聞こえて来る「一、二」

 そうかそいや今日は七月の確か二十四?

 そうかとっくに始まってたんだ夏休み


 社会人に夏も秋も冬もねえ

 じゃあ春があった?

 いや無かった

 今年、今日まで俺は何をしていた?


 こどもたちは殊勝

 朝から体回す体操

 敗走

 俺にとっちゃもう戻れない時間と

 決めつけて出社、営業


 あるいは期待している?

 「まだ戻れるんじゃね?」

 モラトリアム拗らせる前の前の前まで

 そうだ、そうだ……そうか?

 よく分からん物理の偉い人は言うぜ

 「過ぎた時間はもう二度と戻らない」

 orz…mm


 「きょうはなつやすみふつかめです

 あさからラジオたいそうです

 ゆうきくんもくるみちゃんもきてました

 たのしかったです」

 

 「今日は七時に目が覚めました

 お母さんと買い物に行きました

 午後は塾に行きました

 夏休みがそろそろ終わるので悲しいです」

 

 会社ビルが「ガタンゴトン」窓から見えてがっくし

 今日も変わり映えしない毎日のワンシーン

 吊り革握らない今風のJKに

 優先席付近で幅とるバカジジイ

 「降り口は」あたりで重い気持ち投げ飛ばし

 オートマチックドアーがオープンして……


 (error)


 初めてサボった

 海まで来てみた

 何処の海か分からないがなかなかいいところだ

 海が凪いだ

 一瞬のうちに心揺らいだ

 涙

 落ちたそれは白い砂に消えてった

  …… .。 . 。。。


 忘却

 無感動

 あるいは徹底したニヒリズム


 それから俺はあいも変わらず生きた

 特に不満があったわけじゃないし大丈夫だった

 会社行った帰った寝た起きた

 会社行った帰った寝た起きた

 あの時どうして俺は泣いていた?

 答えを探そうとして諦めた

 そもそも答えなんて無かったと思い込んだ

 そうだ

 そうじゃなきゃやってらんなかったんだ

 

 でも時々あの仮病の日思い出しては

 寂寥の念や後悔が俺を襲った

 何か変えることもできたはずだった

 あのまま会社辞めたってよかった

 

 でも辞めなくて安心する俺もいる

 結局あれは誰にでも待ち受ける

 きっかけと運とが混ざり合った三叉路

 そうだろ?

 

 でもなんか楽しかったな

 まるで気分は夏休み

 電車に揺られて海まで行った

 またラジオ体操の声が聞こえてくる

 もう二度と戻らない時間と

 これから待ち受ける漠然とした未来を

 担うのはどっちも俺一人?……最高

 人生は長い

 少なくとも、今はそう言う結論


 そういうことを言いたいだけの詩


 おわり

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