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十一、
十一、
「ようやく、森を抜けたな。」
「もう、下ろしていいのに…」
「怪我してるんだ。そのまま掴まってろ。」
草原が続く比喩的乱層雲。積乱雲を花畑と要約する知的ヒドロキシド円環。腕を広げてもまだ足りず、zypressenと称した修羅を思い出す。
何もない荒れ地が広がるばかりの港を、黒猫に抱かれたまま私は見渡した。
「あれは?」
「ん?」
短い黒髪が私の銅色の髪と触れ、指差した方を見る。
「燈台かな?」
遠くに見える。潮が押し寄せ、薄汚れた白い円柱に三角柱を乗せた形の典型的な燈台。
荒れ地に押し寄せる波は、孤独を忘れたように砂浜もなく岩がゴロゴロとするだけの海岸を洗う。
「行こうか。」
彼が歩きだした。
今回は、短いので二話投稿しますm(_ _"m)