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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第三章-オレが何をしたって言うんだ異世界-
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09.装い新たに

 オレとソーエンは王都の外まで出て、わりとガチなバトルを繰り広げたことでなんとか和解してやった。


 オレが拘束されている間、どうして二人ともチャットに応答しなかったのかを聞いたら、ソーエンは確実にオレが怒ると分かっていたからラリルレにこれも作戦のうちだと伝えて応答することを禁止していたらしい。


 オレは身代わりを全うして、ラリルレが悲しまずに済んだという何よりの報酬を得たし、ソーエンもソーエンで色々奔走していたらしかったから、ここは溜飲は無理やり下げてお互い手打ちとすることにした。


 オレ達は長いことバトルをしていたらしく、王城に戻る頃には五時になる寸前だった。


 <隠密>を使ってこっそり王都に戻り、王城内に入る事にしたんだけど……沢山の馬車が王城前を行き来していたのはなんだったんだろ。

 その馬車は人の往来の激しさを表していたようで、王城内もなんだか騒がしい気がする。


 ま、オレ達には関係ないことだろうし、さっさと部屋に戻って飯を食べるか。かれこれ一週間ぶりの飯だし楽しみで仕方が無い。

 それに王城で出てくる飯だ、絶対高級じゃん。たらふく食いまくってやろう。


「で……ここどこ?」

「分からん」


 部屋に戻りたかったオレ達だけど、完全に王城内で迷子になっていた。


 見慣れない風景とそこかしこが良く似た廊下、飾られてる高そうな絵装飾品やなんて興味ないから、視界に入ってても見えてないも同然だから目印にならない。


 これが盗んで良いならちゃんと見るんだけど、流石にカフスの客人として迎えられてる手前、盗むのは憚れるから、オレの眼に映るのは金目の物じゃなくて売れないただの調度品だ。

 そんな無用の長物なんて興味ない。


「やばいよ。もうすぐ五時になっちまうよ」

「そんなことはお前に言われなくても分かっている。だが、道が分からないことにはどうにもならん」

「しゃーない。そこら辺の人に聞いてみるか」


 幸い、なぜか王城には人が沢山行き来してるし、適当に聞いて道を教えてもらおう。


「すみませーん」


 オレは一番近くに居た高そうな服に身を包んだ女性に声を掛けることにした。


「話しかけないで下さる? 汚らわしい」


 唐突に罵倒をされて、女性はそのままスタスタと歩き去ってしまう。


「まあ、口がお下品ですわねぇ」

「潔癖症だったんだろ」


 オレは気を取り直して、歩いてきた男に声を掛ける。


「あの、道を聞きたい」

「ふんっ」


 オレ達は鼻を鳴らされ、そのまま男はさっきの女と同じように歩き去ってしまった。


「鼻詰まりかな?」

「慢性鼻炎だったんだろ」


 その後もオレ達は通路を通る人に片っ端から声を掛けるけど、全員から不愉快そうな返事をされまくり、ようやく通りかかったメイドから部屋の道を聞くことが出来た。


 部屋に戻る頃にはとっくに五時を過ぎていて、キアルロッドとスターフから軽いお叱りを受けた。


「ごめんごめんって。でも、飯を食うだけなんだし、少し位遅れてもいいじゃん」


 オレ達が自宅で飯を食うときは、クエストの都合によって夕飯の時間が前後することがよくあった。だから、オレ達抜きで飯を食い始めてても良かったんだぞ。


「ん~、ドレスコードの時間が必要だったから遅れちゃうのは困るんだよね~」

「ほえー、王城での飯ってのは一々着替えて食うのか」


 だからか、この部屋にソーキス以外の仲間は居なく、メイドが待機していたのは。

 ……ソーキスが水色のドレスに身を包んでるのは突っ込んだ方がいいのか?


「舞踏会だし、当然でしょ~」

「お? 舞踏会とな?」

「どういうことだ」

「いや~、教えようとはしたんだよ? でも二人が部屋出てっちゃったからさ~」

「こればっかりは自業自得だYO 我等が王、ギルハラッシュ様から舞踏会へ招待しろとの命令が下ってたんだZE」

「いや言ってくれよ!? もしかして王城に人が集まってたのってそのせい!?」

「そうそう。今日は王城で定期的に開催されてる舞踏会の日なんだよね~」


 ――ってことはオレ達は今まで貴族に話しかけてたのか。


「……もしかして何かやらかしてきた?」

「やらかしかどうかは分からんけど、廊下で手当たり次第に話しかけまくってきた」

「あ~……その見た目では不味いでしょ」


 この見た目不味いの? オレ達の見た目はパーティに出られるようなものじゃないのか……。こんなにかっこいいのに……。確かにフォーマルってよりはカジュアル寄りのコーデだもんな、しょうがないか。


「とりあえず、着替えてくれない?」

「キアルロッドとスターフも着替えんの?」

「鎧は脱いでスーツになるZE」

「お? スーツはいいのか」

「そりゃそうだけど……持ってんの?」

「んー、偶然持ってる気がする。ちょっと着替えるから外出てて。メイドさんもね」

「ほ~? ……だったらサイズ合わせたり選んだりする時間も掛からないしいっか。よ~し、皆出るぞ~」


 そう言って、キアルロッドとスターフ、メイド達は部屋を出て行った。


「おにいさん達おかえりー」

「ただいまだよ。……ソーキス、お前なんでドレス来てんだよ」

「だってー、メイドさん達が着せてきたんだもーん」

「男なのにそれ着せられたのかよ」

「めんどくさいから男って言って無ーい」


 ソーキスはメイドに男って言って無いらしい。そこめんどくさがる必要ある?


 ソーキスの姿を見たキアルロッドとスターフは、カフスの血縁だからって深くは突っ込まずに静観してたんだろな。

 ま、似合ってるなら何着てもいいだろ。


 オレとソーエンは、アイテムボックスから<宵のスーツ>一式を選択して装備する。


「それも魔道具ー?」

「そーだ」 


 最近、ゲーム組のUIを使った機能は全て魔道具ということで仲間達に突き通している。幸い深く聞いて来る奴はいないから、今までぼろが出た事は無い。


 <宵のスーツ>は見た目だけはカッコイイ黒のスーツで、性能面はほとんど全ての数値がゼロとなっている、完全着せ替用アイテムのようなものだ。


 売っても二束三文にしかならないからボックスに残していたけど、まさかこんなところで活用できるとは。


「おーい、着替え終わったぞー」


 <宵のスーツ>を装備し終わったオレ達は、室外に居るキアルロッド達を呼ぶ。


「早かったねー…って、その格好で行くのかい?」

「あたりまえだ」

「当然だ」


 オレはスーツにバンダナ、ソーエンはスーツにコートと赤マフラーを装備していた。


「スターフ、どう思う?」

「どう……だろうNA」

「……いいのか?」


 良いもなにも、ソーエンの顔をこんなところで晒したら収拾がつかない事態になる。


 そして、親友が顔を隠すならオレも共に似たような格好をしよう。貴族の目なんかどうでもいい。それよりもソーエンの顔を隠すためのカモフラージュが先決だ。


 ってか、このバンダナはスーツにもばっちりに合ってるから問題なし。


「……服は舞踏会にふさわしいし、ぎりぎり大丈夫か?」

「いけるいける。なんなら隅っこで地味にしてるから気にすんな」


 ぶっちゃけ、オレは飯が食えればいいし、踊る気なんてさらさら無い。だから舞踏会は、腹を満たしたら適当に理由をつけてトンズラする気だから迷惑なんてかけるつもりは無い。


「うーん……一回は王様にお目通りしてるし、いけるか……?」

「かっこいいから大丈夫だろ」

「こいつの言う通りだ」

「いやまぁ……二人が言うなら……うん、行こっか」


 キアルロッドが部屋の外を親指で指す。

 部屋の外に出ると、隣の部屋の前に女性陣が待機していた。


「もー、やっと来た。時間はちゃんと守らなきゃダメなんだよ」

「許して、道に迷っちゃったの。それよりラリルレって可愛さの上限無いのか?」

「一つの芸術品のようだな」

「そう? ん、んふふ~。そんなに褒められると照れちゃうな」


 オレ達の言葉を聞いたラリルレは、両手で頬を包みながら顔をニコニコさせてふるふるしてる。かーわーいーいー。

 ラリルレは桃色の、シアスタは白の、リリムとリリスはお揃いの薄紅色のドレスを着ていた。

 因みにロロは頭の上でプルプルしてる。体に蝶ネクタイをつけているけど……あれどうやってついてんの?


「イキョウさん、ソーエンさん、私はどうですか?」

「うーん、まさに」

「馬子にも衣装だな」

「……それって褒めてます?」


 シアスタは自分のドレスを見せ付けるように言ってくるけど、正直普段の姿もゴスロリ真っ白だからあまり大きな違いは無い。それでもドレスなだけあって普段よりも上品ではあるので一応褒めておこう。


「「わたしたちは?」」

「とりあえず、その服で飛ぶの禁止な」

「似合っているな」


 双子はいつものワンピースと違って、今はフレアスカートだ。そんなんで飛んだら普段見えないところが見えてしまうから禁止。

 それに人目の多いところで飛んで、いらん疑いをもたれたくは無い。王国で過ごす間は、この双子は人間ってことにしてるからな。


「ソーエンは褒めた」「おにーさんは?」

「すごいすごい。思わず見とれてしまいそうだよ」

「「へんたい」」

「ロリコン」

「なに? お前らどう言って欲しいの?」


 褒めなければ問い詰められる。褒めたらロリコン扱い。八方塞りじゃん。


「あのぉ……私も行かないといけないでありますか?」


 オレが困惑していると、女性陣の部屋の扉からコロロが顔だけを出して、オレ達の側に居るキアルロッドに声を掛けた。


「いいかげん慣れろ~」

「そうだYO。四騎士に舞踏会は付きものSA」

「うぅ……」


 なぜか顔以外を隠していたコロロが、二人の言葉を受けてようやく全体像を表す。


 ――美だ。そこには美が現れた。


 完璧なプロポーション、その体を彩るように着用しているレモン色のドレス、そしてなにより恥じらいのある顔、これは……アウトだろ。この世に生きてる限り今ここにある美は無視できない。


 本人は恥ずかしがっている。だからじろじろ見るのは失礼なことだ。分かってる、分かってるけど……。目が離せない。


 こりゃお付き合いしている殿方の一人や二人いてもおかしくないわ。そんで持って今日の舞踏会でも声かけやばそう。


「そんな見ないで欲しいであります……」


 オレの視線を受けてコロロがもじもじとする。

 これもまた良し。


「っすー、つはー……キアルロッド、オレを王国に連れてきてくれてありがとう」

「ははは、現金な男だ。じゃ、俺達も着替えてくるからコロロに案内は任せるよ」

「りょ、了解でありますぅ」


 キアルロッドとスターフはひらひらと手を振ると、通路の先へと消えていく。


「わ、私達も行くでありますか!!」


 恥ずかしさを吹き飛ばすようにコロロは気合を入れた。


「いこいこ!! 楽しみだなー、舞踏会。キラキラしてるのかなぁ、しっとりしてるのかなぁ」


 コロロが先導をして、それに並ぶように歩き出すキラキララリルレ。オレ達はその後を付いていく。


「ところで……イキョウ殿とソーエン殿はその格好で参加するのでありますか?」


 通路を歩いていると、コロロからもこの格好に付いてのツッコミが入った。

 多分自分の恥じらいをごまかしたいたいから無理やりにでも話題を降ったのだろう。じゃなきゃオレ達のクールな格好に疑問を持つ事は無いはずだ。


「もちろん」

「当然だ」

「そ、そうでありますか……」


 片方は事情が事情だから仕方ないんだ。


 でもそのことを説明する事は出来ない。今までの経験から、ソーエンの顔の事情を話すと聞いた側は絶対に顔を見ようとしてくるから内緒にしておく必要がある。


 それに――。


「どうだ、カッコイイだろ?」


 スーツにバンダナ。何てアンバランスな調和なんだぁ。こんなハイセンスな格好が似合うのはオレくらいだろぉ。


「キョーちゃんはセンスが独特だねぇ」

「芸術家肌ってやつだな、うん」

「世の芸術家の方々に失礼だと思いますけど……」

「いつの世も先進的な作品てのは評価されないもんだ」

「おにーさん」「ぽじてぃぶ」

「何が言いたい双子」

「なんでも」「ない」

「ボクはおにいさんの格好好きだなー」

「ソーキス、お前っ……!!」


 オレはこの場で唯一の理解者が現れたことに感動する。


「ソーキス、俺の服装はどうだ」

「ソーエンのも最高ー」

「……フッ」

「家の男性陣はセンスが……壊滅的ですよ……ラリルレさん」

「今度一緒に服買いに行って、私達が選んであげようね」


 オレとソーエンが感動しているのを他所に女性陣がこそこそと話をしている。

 なんだろう? オレ達があまりにかっこよすぎて照れちゃったのかな?


 まったく、しょうがないな。今度皆にもバンダナを選んでやるか。


 シアスタは白無地確定だとして…ラリルレはピンクか? ……いや、いっそのことイメージを変えてワインレッドって言うのも悪くは無い。金色も似合いそうだな。

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