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32.Q&Q2

「ん、説明する。二人が核を壊した後、貪食王の体は水になって崩壊した。その後残ったのは、イキョウとソーエン、そしてバラバラに砕けた貪食王の核だった」

「そのときのオレってどうなってた?」


 ソーエンのあれを受けて無事だったとは思えないんだけど……。


「お腹に大きな穴が開いてた。一目で死んでいると分かるくらいだった」


 おおー、随分やばい事になってたのな。

 くっそ痛かったけど、まさかあの痛み通りの傷が出来てたとは……結構グロくない? そんなの見せちゃってごめん……。


「ソーエンは体に傷が無かった。でも、魂の動きで死んだって分かった」

「どんな動きするんだ?」

「体から魂が抜けて霧散する」


 ログアウトで死んだときの感覚と一緒か。


「続き。私は衛兵や冒険者に2人が死んだことを伝えた。皆祈りを捧げたいって言ったからそうする事にした」


 この世界にも死者を弔う儀式があるのか。


「カフスちゃんさらっと言ってるけど、ものすごく悲しそうな顔して泣いてたんだからね」


 ラリルレがボイスチャットでこそっと教えてくれる。

 そうか、あのカフスがそんな顔をしたのか。


「心配かけたな」

「ありがとな」


 そして本当にごめん。泣かせてごめん。


「? お祈りをしたいって言ったのは皆」


 カフスはオレ達の言葉に首を傾げる。


「そっちも嬉しいけど……まあ、いっか」


 泣いてくれてありがとう何て言えないしな。


「そう……。それで、祈りをしていると変な気配を感じた。二人を見ると霧散したはずの魂が集まって、元の体に入っていった。そのときに核の破片に魂の一部が吸い込まれてた。他の破片は朽ちてなくなった」

「何コイツ、魂まで吸うの?」


 何でも喰らうって文言はダテじゃないな。


「貪食王には元々魂がなかったから正しい形になっただけ」

「はいストップ。そこんとこよく分からない。もっと詳しく」

「……考える」


 カフスはどう説明したものかと困ったような顔をして考える。


「……生きているものは全て、魂・肉体・魔力・精神を持ってる。例外は無い」


 たしかこの前シアスタから聞いた気がする。


「魂は肉体と精神を、肉体と精神は魔力を作る。魂が全ての根源。魂無くしてこの世界に存在する事はありえない」

「それじゃあさ、魂の無い貪食王が生きてるのはおかしくないか?」

「普通はありえない。どんな者でも魂はある」

「レイスやスケルトンでもか?」


 あいつらは死霊系だから魂とは無縁な存在な気がするが。


「その二つにも魂がある。無いのは肉体や精神」

「うーん? つまり、カテゴライズの問題であって、四つ全てが揃っていれば生者でどれかが欠けていれば死者ってことでいいのか?」


 生きてるから四つ全てが揃ってるんじゃなくて、四つ揃っていることこそが生きてることの証、みたいな?


「そうとも言える」

「もしかして、双子が言ってた、生きてるのに生きて無いって魂が無いって事だったのか?」

「わかんないけど」「たぶんそう」

「なるほどな、直感的に察したのか」


 哲学的な話ではなく、この世界の分類学的な話だったらしい。


「多分、魂が無かった貪食王の核が、吸収能力であなた達の魂を吸ったからこうなった」

「いや、こうなったとか言われても過程が分からないんですけど……」

「ん……貪食王には私達の魔力が入ってた。割合は私が一番大きい」


 路地裏ではシアスタが本物のカフスと見間違えるほどだったからな。ほとんどカフスの魔力だったんだろう。


「貪食王の肉体と、私の魔力が揃った」


 肉体を構成するうちの二つだな。


「そしてそこにあなた達の魂が入った」 


 魂・肉体・魔力の三つが揃ったから後一つか。


「四つはそれぞれ相互に作用している。多分、今精神を作ってる最中」

「えぇ……スピリチュアルぅ……」


 血を作ってるみたなノリで言われても、理解の範疇を超えてんだけど。


 でも、オレも復活するときに体を作り治してる可能性があるからありえないなんて言えない。

 現にさっき大穴が開いていたって言われた腹は、復活のおかげでもうなんともないしな。


「そしたらさ、コイツの元の意識はどうなんのよ」

「貪食王は全てを無差別に食らう兵器のようなものだ。そこに意思など無い」

「ロロはそういうけどさぁ……今回の被害、家のドアとオレ達の魂しか無いからそのスケールが分からんわ」


 町中を飛び回っているときも被害者は見かけなかった。話に聞いていたように、無差別に喰らうとは思えない。


「私の魔力が関係しているかもしれない」

「どして?」


 今回の被害とカフスの魔力にどんな繋がりがあるんだ?


「私の魔力を吸ったことで、私と同じ精神が出来始めていたから、アステルの民を襲わなかった」

「カフスの精神……。だからか? 路地裏でカフスに擬態してたのは」

「そこまでは分からない」


 色々考えすぎて頭が疲れてきた。一旦ここまで分かったことまとめよう。

 水晶はカフスの魔力を潤沢に吸ったせいで、優しい精神が毛ほどだけど芽生えた。それで逃走中に町の人を襲うことはしなかった。

 で、その後は町の外で戦って核を壊した後に、欠片がオレ達の魂を吸った。この時点で魂・肉体・魔力が揃ったから、今は生きるために必要な精神を作っている最中。

 まとめると疑問が山ほど沸いてくるな。


「……疲れた!! 煙草休憩!!」

「付き合おう」

「行ってらっしゃい。私も考えをまとめたかった」


 カフスにも良いタイミングだったらしい。


「行ってきまーす」

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