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28.ソーエンの奇策

「お前にしては珍しいな。どんな作戦立てたんだ?」

「この作戦にはとあるものを使う必要がある」


 あれ? どんな作戦か聞きたかったのに無視された気がするぞ?

 でも時間が無いから先を急いでるのかもしれないし、ここはコイツに任せておくか。


「この際必要経費だ。オレに出せる物だったら何でもくれてやる」


 あそこまでオレが頑張ったんだから失敗なんてさせない。


「お前ならばそう言うと思った。ロープを貸しくれ。出来るだけ長いやつだ」


 ロープか、それくらいなら安い。喜んでくれてやるよ。


「ちょっと待ってろ。最近買った五十メートルのがある」


 ロープバインド用に買い足したものがちょうどあった。短いのを大量に買うよりもまとめて一本買ったほうがお得だったから一番長いのにした。その内小分けにしようと思ってたけど、この際だから全部くれてやる。


「よし。それだけあれば十分だ」

「じゃ、渡すぞ。任せるからな」


 オレはマジックバッグから出したような体を装い、五十メートルのロープを地面に落とす。これでボックス機能のことは隠せただろう。


「……? 同胞よ、急にロープが現れたのだが……」


「それで次はどうすればいい」

「まずは、このロープを後ろに居るやつらに持たせて全員で引けるようにする」

「ほうほう」


 ソーエンは、ラリルレに伝えて力自慢を集めて貰い、ロープを行き渡らせた。作戦の詳細も伝えているようだけど、何故だか小声だから聴こえない。


 因みに、ロープを引く役にはレベルの高い絶影も参加して貰うようだ。


「オレも参加したほうがいいよな」

「待て、お前には重要な役割を任せる。ここにいろ」


 重要な役割か、掛け声とかかな。いや止め要員かも。

 それともソーエンは囮をやって疲れたオレへの気遣いで休ませようとしてくれてるんだろうか。優しいやつめ。


「それで、このロープをどうすんだ?」

「こうしてお前の足に結ぶ」

「うん」


 ソーエンがオレの足にロープを結ぶ。

 何をするんだろう。


「そして、俺がお前を担ぐ」

「なるほど」


 ソーエンがオレを小脇に担ぐ。いつもシアスタや双子にしているような感じだ。


「で、俺が<空歩>で飛ぶ」

「わー高い」


 ソーエンと一緒にお空へ飛ぶ。


「最後に、真上からお前をスライムにぶち込む」

「どうしてそんなざんこくなことをするの?」

「体がお前を追うなら核も一緒だろ。捕まえたら引っ張り出してやるから安心しろ」

「どこに安心する要素があんだよ!! オレ消化されちゃうじゃん!! それに絶対そうなる保障も無いじゃん!!」

「戦って分かる。お前なら数分は持つだろう、遠慮しないで行ってこい」


 下を見ると、いつの間にか貪食王の真上に来ていた。

 ソーエンは小脇に抱えたオレを両手で持って振りかぶる。


「させるかよ!!」


 投げられる瞬間にソーエンの足を掴んで一緒に引き摺り下ろす。


「何をする!?」

「こっちのセリフだバカヤロウ!! 親友なら死なば諸共だ!!道連れじゃボケ!!」

「はなっ――」


 ソーエンの言葉が言い終わる前にオレ達は貪食王の体にダイブした。


「おぼぼぼぼぼぼ」


 初日以来だよこの世界で溺れたのは。


「ぐぼっ!!」


 腹に何かが突っ込んできた。そして反射的にそれを掴んでしまう。


「核を掴んだぞ!! 皆、引っ張れ!!」


 誰の声かは分からないけど、外から声が聞こえてくる。

 どうやらオレは核に体当たりされたようだ。偶然か?


「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!」」」」」


 外から雄たけびは聞こえてくるが、全然オレの体は動いていない。


 もしかして、力負けしてる?


 足のロープと、核の力と貪食王の体がオレの体を引っ張り合う。ほかの奴等はオレと核の引っ張り合いだと思ってるんだろうが、実際は、オレの胴体と脚の引っ張り合いだからな!!

 レベルのおかげか全然痛くは無いけど、このまま膠着状態が続いたら、オレとソーエンは消化されてしまう。ってかこの状態を見る限りそうなるとしか思えない。


「おぼぼ、ぼぼぼぼ」


 オレは目の前で沈んでいるソーエンに、一旦上がって作戦を練り直そうと提案する。このままじゃオレ達の体が持たない。


「ぼぼぼ、ぼぼ」


 ソーエンにも伝わったようで、何かしらの反応を返してくる。


「ぼぼ」


 そして何故かソーエンは銃をオレに構えている。というか、オレの腹にある核に構えている。……ほんとに伝わったのかこれ?


「ぼぼぼ<ぼぼぼぼぼぼぼ>」


 そして何故か、本当に何故かソーエンの銃が発光する。


「ぼぼぼぼっぼぼぼぼぼ!!」


 何しようとしてんだあいつ!!この反応は!!ここで壊す気か!?あれをぶっ放すのか!?


「ぼぼぼ!!ぼぼぼ!!」


 泡でやめろと伝える。

 ソーエンはこくりと小さく頷いた。よかった、分かってくれたか。ふー、一安し――


「ぼぼぼ」


 ――は?


 濁った音が耳に響いた。

 と同時にソーエンは閃光を放って、オレと核をぶち抜きやがった。

 おぅ……それはダメだって……。


 オレのHPはゼロになり、また虚無の暗闇に落ちました。

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