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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第八章―お前等の敵は誰だ 異世界―
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13.覇導砲、発射ぁぁあああああ!!

「キミ、こっちに力が向いている」


「そうなの? ……ああ、アレか。でっかい砲みたいなのがこっちを狙ってるね。凄い輝きと気流の乱れだ。あんなの防ぐ手段なんてあったかなぁ……」


 地上に居るイキョウは眼を向ける。決して見えやしない遥か彼方の山肌に眼を向け、人では視認することが不可能な光景を視る。


 それと同時に、ブロックノイズが走って所々欠けているバグ状態のユーザーインターフェースを思考で動かす。しかし、多くを失って、今や限られたスキルや魔法しかない現状では、あの力を片腕で防ぐ方法なんてそう簡単に見つかりやしない。


「でもアレ、ソーエンの<ラストリゾート>よりは絶対に弱いな。あ、そっか……」


 何かを思いついたイキョウは、残された右腕にハンドガンを装備する。そしてその手に持った銃を遥か彼方の先へと向けた。


「見た、何度も見た。だったら真似をしよう。確か……ソーエンの<ラストリゾート>は、こうだった」


 * * *


 遥か彼方では白い光が輝いている。


 地上では――黒緑の闇が、光を呑み込んでイキョウの手へと集まっていた。


 ハインツ皇帝は叫ぶ。


「あのクソバカもろとも天使を殺せ!! 覇導砲、発射ぁぁあああああ!!」


 叫び声とともに、衝撃と轟音を上げて集束した魔力の波動が破壊の為に放たれる。砲身は赤熱し、辺りに待機していた者達は発射時の強力な余波に吹き飛ばされ意識を消失させた。


「呑み込め。"混沌のラストリゾート”」


 静かな声とともに、衝撃と轟音を上げて集束した混沌は呑み喰らうために一閃となりて開放される。腕に伝う衝撃を肩へと逃がし、それでも逃がしきれずにイキョウの右腕は筋肉と皮膚が裂けて骨が外れ砕けた。


 膨大な光と一閃の黒緑は中空で互いにぶつかり合い、力が拮抗する。黒と白の稲妻が宙を走り、一歩たりとも引きはしない。


 ――しかし、拮抗は数秒も続かなかった。光が闇を呑み込み、黒が白の中に消えていこうとする。


「やったか!?」


 その光景を双眼鏡越しに見ていたワイバーン部隊の一人が、眼に映る光景へ勝利を期待した声を上げた。


 白は黒を呑み、拮抗していた力は弾かれたように再度、世界の敵である二人へと向かおうとしている。


 光景を見ていた者は皆思った。覇導砲の光が闇に打ち勝ったと。


 しかし、それは早計な判断だった。


 進む白の光には、内側から何かが滲んでいる。その滲みは段々と黒となり、伸びる光の筋をすぐさま内側から侵食していく。その侵食はすぐに光全てに伝染し、光は何時しか全てが黒緑に変わった。


 イキョウから放たれた弾丸は、何かを穿つわけではなく、呑みこんで光を闇へと変える。その闇は光を伝って覇導砲へと入り込み、光もろとも朽ちるように虚ろの塵となって風に乗って消え去った。


 その光景を見たワイバーン部隊の一人は呟く。異様な光景に。


「いや……おかしいだろ……。力のぶつかり合いってこんな消え方しねぇだろ……爆ぜるとか輝くとか、そういうもんだろ……。なんだよ塵になるってよ……」


 ワイバーンに跨る者たちは、この光景を眼で見ていた者たちは、似たような反応の声を出す。皆怯える、異様な力の消失を見て、そして古代兵器と称された強力な兵器の力をたった一人で撃ち破った男に絶望的な力の差を感じて。


 しかし、マクグリスとダグラスの二人は違った。終わった事象よりも、対象の存在へと眼を向けている。


「おい、あの死んだ目のバカ、動いてなくねぇか? ちっちぇえガキ……アルフローレンがツンツンしてやがんぜ」


「右腕は……ふざけてるのか。何故アレだけ右腕を負傷しているのに他に一切傷が無い。もっと血を流してろ死ねよ」


 二人が見た光景。コレを好機と見るか、様子見の待機とするか。どちらにするかなど決まっている。


「仕掛けるぞマクグリス」


「さっさと終わらせて帰るぞダグラス」


 二人はワイバーンを走らせて二人の元へと強襲をしかけた。


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