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17.変則パーティ1:1:1:4

 せめて反抗しようと、町中で立ち止まって抵抗していたら五人に引きずられるようにギルドに連行された。

 特にロロがオレを引き摺るのに大活躍だった。あの触手、力つえぇ。


 引き摺られながらギルドに入ると、大勢の男共がこちらを見てくる。


「精剛だ」

「俺達の精剛が来たぞ!!」


 ギルドに残っていた男冒険者がオレの方に集まってきた。


「なんでピーク過ぎてんのに、こんなに人がいるんだよ」

「俺達のロマンを守ってくれてありがとう」

「精剛は男の希望だ!!」

「それじゃ俺達――」

「「「「「「「色町行ってきまーす!!」」」」」」」


 オレに好きなことを好きなだけ言って全員無料チケット片手にギルドを出て行った。

 あいつらオレにそれを言うためだけにギルドに居たのかよ。


「いいなぁ……」

「なんか言った? キョーちゃん」

「いいえなんでもございません」


 オレはボソッと言っただけで誰にも聞こえていないはずなのに、ニコニコしながらこっちを向いたラリルレには聞かれた気がしてすぐに否定する。


「んふふ~、ローザちゃんに聞きに行こう」


 ロロからは開放されたけど、オレ以外が全員進んで行ってしまうので仕方なくオレも後ろを付いていくことにした。

 ここで放置して帰ると、勝手に話が進んでいきそうだったから付いていく。絶対に、阻止してやる。


「こんにちはローザさん」

「こんにちは~」

「こんにちは皆さん。英雄さんもこんにちは」


 なんでオレだけ名指し?


「こ、こんにちは受付さん」

「報酬ありますけど、受け取りますか?」

「いやぁ、オレは町のために頑張ったのであって別に報酬はいらないんですけど、ソーエンがどうしても貰って来いって言うから仕方なく貰っておこうかな」

「さきほどソーエンさんが来て報酬の辞退をされて行きましたけど?」


 あいつ、これを見越して先手を打ちやがったな。猫の集会所教えてやったのにあのやろう。


「すみません。嘘です。オレも報酬は辞退します」


 ラリルレの手前、報酬なんて受け取れない。


「分かりました。私はてっきり無料券目当てにクエストに参加をしたと思ってましたけど、イキョウさんは慈善で受けていたのですね」


 なんで皆から責められなきゃいけないんだ。オレは昨日の功労者だぞ。


「今日はどうなされたんですか?」

「あ、そうそう、聞きたいことがあってさ、十歳でギルド登録なんて出来ないよね?」

「できますよ?」


 おやぁ?


「といっても。登録する際にはどなたかが親、仮登録者を子として一緒にパーティを組んでいただきます。親子と言うよりは師匠と弟子に近いですね」


 いらん制度を作ったやつをぶん殴ってやりたい。


「ぱぱ」「ぱぱ」「「ぱーぱ」」


 双子が小悪魔的な笑みを浮かべて挑発して来る。


「やめろぉ!!オレはまだ二十二だ!!十歳の子持ちはおかしいだろ!?」

「でもキョーちゃんが自分で引き取ったってよ?」

「ロリコン」

「シアスタお前さっきからずっとオレをロリコン扱いしやがって!! お前そんなにオレからそういう目で見られてると思ってるのか!? 自意識過剰だろ!!」

「違いますー私は自意識過剰じゃありませんー」

「ええっと……登録するんですか? しないんですか?」

「とうろく」「する」


 勝手に話が進んでしまう。せめてちゃんと話だけは聞こう。


「シアスタ、アメやるから黙っとけ」


 速攻でアメの包装紙を取ってシアスタの口に押し込む。


「あまあま~」


 アメを押し込まれたシアスタは頬を両手で包みながら、味を堪能するために会話から離脱した。

 よし、これで話が聞ける。


「はい、ご登録ですね。親はどうしますか?」

「ソーエンで」


 オレが親になってたまるか。

 せめてこれくらいはあいつに背負ってもらおう。


「本人がいないと親の登録は出来ません」

「キョーちゃんでお願いします」

「はい、イキョウさんですね」

「本人が居れば意思は関係ないの? それもう置物と変わらなくない? あそこの植木鉢が親で良いじゃん」

「では、登録用紙に必要事項をご記入ください」

「ぱぱ」「かいて」

「パパ呼びやめろ。オレは絶対に書かない」

「「さいみん」」

「うーん、書いてやるから大人しくしてろ」


 脅し文句に屈して、二枚の登録用紙の必要事項を埋めていく。

 双子にレベルを聞いたら分からないといわれたから受付さんに頼んで計ってもらうと、二人とも十一レベルだった。この町はレベル十一の幼女二人に壊滅されかけたのか。つくづくレベルってのは当てになんないな。


「なあ双子、クラスはどうする?」

「くらすって」「なぁに?」


 オレはざっくりざく簡潔にクラスを説明し、当てはまるものを選んでもらおうとする。けど、ピンと来ないらしく、能力を踏まえてオレがサポーターを選択した。

 必要事項は書き終わったから受付さんに登録用紙を渡すと、すぐにプレートが出てきた。ほんと、いつの間に作ってるんだこの人。


「昨日はラリルレちゃんとロロさん、今日はリリムちゃんとリリスちゃん、一気に大所帯のパーティーになりましたね」


 オレがプレートを双子の首に掛けているときに受付さんが現在の登録情報を教えてくれる。

 一気に四人も増えたのか。

 ……四人?


「昨日は誰が登録したって?」

「ラリルレちゃんとロロさんですよ」

「ロロお前登録したの?」

「そうだ」


 ロロは触手の一本を体の下にゾルリと滑り込ませると、六等級のプレートを出して見せてくる。どこにしまってたんだよそれ……。


「クラスとレベルは?」

「どちらもラリルレと同じだ」


 ラリルレはサポーターしか考えられないから、ロロもサポータってことか。

 レベルはまだ分からなくも無いけど、サポーターの邪神ておかしいだろ。

 そうなると……オレ達のパーティは中衛一人、後衛一人、レンジャー一人、サポーター四人か。……新規加入者全員サポーターなんだけど。


「前衛がいねぇ……」


 盾でもアタッカーでもどちらでもいいのに、どちらもいない。なんだこの変則パーティ。


「さっそくクエスト受けましょう!!」


 アメを舐め終わったらすぐにシアスタがぴょんぴょん元気よくクエストボードの方に走っていく。それをみて子供組とロロが全員クエストボードに移動した。


「かわいらしいパーティですね」


 微笑みながら受付さんはその姿を見守っていた。


「その可愛さをおすそ分けしなきゃいけない奴がいるんでちょっと席を外しますわ」


 オレはその後ソーエンに鬼電をして呼び出した。合流したソーエンは猫の毛まみれだったけど満足そうにオレにお礼を言ってきたからまぁ、許してやろう。

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