表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
540/582

25.帝国、聖国

 帝国に行ったら、ハインツのクソ野郎から辟易された顔を向けられた。


 『お前なんでまた来ちゃってんの……?』って顔をされたから、『今回は休日のバカンス的な感じで寄っただけ』って答えたら……。『頼むから出て行ってくれ』と懇願された。


 側近のゲール曰く、最近のハインツは憑き物が落ちたように、年相応の青年性を出しながら日々を過ごしていて、政治面でも周りを頼って皇帝としての仕事をしてるのだとか。以前は皇帝という立場と自分の天才性故に、ワンマン気味だった仕事ぶりや、なりふり構わず自国の為ってスタンスが変わりつつあるらしい。


 それもこれも、総魔の領域問題が解決したことが落ち着いていることが起因しているんだとか。


 いやそんな事知らんし、ってことでオレ達はシーライサご婦人やキシウのところ行ったり、総魔の領域の様子を見に行ったりしながら帝国の観光をしていた。


 ご婦人とジジイからは、ナトリやチクマの事をワクワクしながら聞かれたし、それ以上に家の子達はまた来てくれるのかってことを熱烈に質問された。


 総魔の領域は、今は壁の解体作業が行われていて、着々と開拓作業に向けての準備が行われていた。


 そんな帝国での日々を過ごす最中、またナトリとチクマが『ポイント』? 云々を言って、別行動を取ることがあった。それは、王国や帝国に限らず、行く先々で同じような出来事があったけど、魔術師コンビの取る行動をオレ達が理解出来る訳も無いから、行ってらっしゃい精神で見送った。


 まあ、総魔の領域問題が解決して、平和そうで何よりだったよ、帝国は。ハインツは知らん。オレ達が滞在するだけで日に日に元気なくなってた。


 * * *


 丁度マレックは法国に出張してて、そっちで会った。ムーは特別に王城に預けて、マレックはマレックで聖騎士として法国に赴いたらしい。というか、支部隊長として赴かなければならなかったとか。そればかりは断れないようで、仕事としてやるべきことはきちんと全うしていた。


 ただなぁ……ふと、そのときを振り返る。


 法国にある聖城に寄って、ダッキュに挨拶しに行ったら、聖騎士隊の仕事を手伝ってといわれた。例によってナトリとチクマはフィールドワークに赴いた。


 だからオレとソーエンの二人だけが聖騎士達の仕事に、教皇からの命という題目で手伝わされた訳だけど――。


 マレック案内の下、聖都外部の見回りや町の警邏をし、そしてここでも聖騎士達と手合わせする事になったよ。


 だから全力で拒否って逃げ出した。そしたらダッキュがダキュースとして『あの二人を捕まえろ』って聖騎士達に命を出し、それがどう曲がり曲がってかオレ達はその日一日お尋ね者状態で町を逃げ回るハメになった。


 マレックだけだよ……最後までオレ達を信頼してくれた聖騎士は……。


 そんなマレック以外のバカな聖騎士どもに、後日中指を立てに行ったら全力で睨まれた。どうやらオレ達フラフラコンビ如きを捕まえられなかったのが相当悔しかったようだ。だから思いっきり煽ったら全員からまた追いまわされた。


 別れ際にマレックと酒を呑み、ムーの話を沢山聞かせてもらって、オレ達の慌しい法国バカンスは終わった。


 けど――やっぱり何処の国や町に行っても、空の薄いヒビの話題は出てきてた。一体アレはなんなんだろうか……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ