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18.ちゅっっちゅぅー

 結論。無理でした。シュエーに付き合ってもらってたけど、先にダウンされて全部は発散できませんでした。


 まだ性欲が冷め切らないオレは、とりあえず家に帰って、風呂で体を綺麗にしている。


 どーすっかなぁ……。オレの性質が悪いところって、愛は無くて欲しかないから、心が満たされたら落ち着くとか、満足感を得たからもう良いとか、そんなのない所なんだよなぁ。


 とにかく誰でも良いからこの欲をぶつけて空にするってだけの、ヤリ捨てごめんスタイルなんだよなぁ……。


 もういっそ、明日はシュエーのお店で色んな女の子達に相手してもらおうかな。シュエー一人じゃ持たないってことが今日分かったし。でも二日連続でシュエーにお相手してもらえたから、明日一日性にふければ、この欲も治まるだろう。


 オレは考え事をしながら頭と体を洗い、身をすっきりさせる。心はまだだからな、せめて身くらいはスッキリさせてあげたい。


 頭にタオルは……今日は乗せるの止めておこう。ゴムでしばってポニテスタイルだ。上った熱を頭から逃がしたいからタオルは巻かん。


 そう思って、浴場の椅子に座りながら髪を結っていると――。


「「じゃーん、きちゃった」」


「ふへーん」


 シャンプーハットを被った双子とソーキスがまーた性懲りも無く入ってきやがった。


 でも三人共ってのはお初だな。ソーキスと一緒に入る事なんて多々在るし、双子も突入してくるのは稀に良くある。でも、三人が同時に来るってのは初めてだ。


「洗ってやるから座れ」


 双子は言わずもがな、ソーキスもめんどくさがりだから、誰かと一緒に入るときは、絶対に人に体洗いをお願いしている。だったら三人一緒に洗ってやるかぁ……。


「むふー」「おにーさんに」「みせて」「あ・げ・る」「「そーきす」」


「ふへー」


 おや? 今日は良いのかな?


 双子が揃ってソーキスを見る。その視線を受けたソーキスは、手を変形させてさせて数本の触手を形成すると……器用に全部の触手に泡を絡ませて、双子の体を洗い始めた。


 その触手を双子は、浮かびながらきゃっきゃして、くすぐったそうに受け入れている。


「お前さぁ……そんな事出来るなら自分で体洗えよな」


「ボク汚れも食べちゃうからねー、一人で入るときは洗わないよー。誰かが居たら洗ってもらうのー。きもちーんだもーん」


「もーんじゃないんだもーん。そんでさ、何お前等? 阿吽の呼吸でやってるけど、三人で風呂入ることあんの?」


「「「あるー」」」


「そっかぁ……」


 子供ってのは無邪気だなぁ……。


 ソーキスの年齢自体は双子よりも圧倒的に下だけど、もしかしたら子供組みのなかでは精神年齢が一番高いのかもしれない。だから、双子の面倒を見るように、体を洗ってあげてるのかも、しれない。


 そんなソーキスは双子の体が洗い終わると、触手から二人を解放して、のへーっと椅子に座った。双子もしれっと座って、三人並んで座ってる。


 三人曰く……頭洗って欲しいようです。ソーキスにいたっては、体も洗ってと要求してきました。結局オレが洗うんかい。


 オレはぼやきながらも、いつものように頭や体を洗ってあげ、その後に四人そろって湯船に入る。


 三人のシャンプーハットは風呂の縁に重ねておいて、四人で肩まで浸かったと同時に、揃って気の抜ける声を吐き出した。


「っぱ風呂は良いなぁ……」


 肩に掛けてたタオルは、浸かったおかげでびしゃびしゃだ。だからオレはそのタオルを絞ってお湯を切ってから、湯船から出た肩にまた乗せる。


 ここにはオレの半身もいるから、バンダナ外しても気が抜けなくて助かるわぁ。


「おにいさんの髪型よきよきー、かっこいー」


「ポニテはバンダナの次にお気に入りなんだ。ソーキスも髪伸ばしたら……ダメだな、いよいよカフスと見分けつかなくなる」


「ボクいつでも伸ばせるけどねー」


「だからってここで伸ばさないでくれよ? 実質裸のカフスと風呂入ってるのと変わらなくなる。んなことバレたらまーたカフスから怒られちまう」


「「じー」」


 オレがソーキスと会話をしてる中、ちっちゃな体を肩まで浸けた双子は、ずーっと湯船に眼を向け続けていた。


「お湯越しに見ないでくれます?」


「しなしなー」「おおきくしてー」


「やだよ、お断りするに決まってんじゃん」


「「やー」」「おにーさんのおにーさんからすってみたいー」「げんぎでどろどろのすうー」


「お前等に恥じらいないの? ねぇよなぁ……あったらこんなこと言ってこねぇもんなぁ……。――吸わせるわけねぇだろメスガキども!! だいたい女の子がそういうこと言うのは――」


「ヤイナはおっぱいからすわせてくれた」「ちゅーちゅーさせてくれた」


「――……えぇ?」


 オレの与り知らぬところでヤイナ何しちゃってるワケ? いや……でも……母親が子供に母乳を与えるものと考えれば……一応は普通か?


 でもオレへのリクエストはどう考えても普通じゃないだろ。どう考えても正当化できねぇぞ。


「双子さぁ……お前等なんでそういったことしない系サキュバスなのに催淫効果とかもってるし性に恥じらいないの?」


「げんきにしてあげるとまりょくおいしくなる」「えっちなきぶんにさせるとせいりょくみなぎる」「おいしいが」「たっぷり」


「割と筋の通る理由だった……」


「でもおにーさんだけとくべつ♡」「おにーさんだけにしかしーない♡」「よだれあげる」「のませてあげる」「いろんなとこ」「ちゅーちゅーれろれろしてあげる」


「モテモテだねー、おにいさんの魔力って格別においしーもんねー」


「コレがせめて成人サキュバスなら喜んで受け入れたんだけどなぁ……。ソーキスからでも吸っとけ、一応はオレの半身だぞ」


「「やー」」「あじしなーい」「おいしくなーい」


「だってよー。丸投げ失敗だねー」


「でも」「ソーキス」「たって」「たって」


「ふへー?」


 どうしてか、双子はソーキスにスタンドアップをお願いしていた。それをソーキスは素直に受け入れて、だるだるーっと立ち上がる。


 双子もふよふよって浮いて、ソーキスに近付くと――。


「「あー……ん♡」」


「ふへっ!?」


 ソーキスの胸に吸い付いた。……何してんのコレ?


 あまりの出来事に、ソーキスも珍しくびっくりして、背筋を伸ばしながら体をビクッと震わせちゃったもん。オレも驚きだよ。


「ほーやっへえ」「えれえれしたり」「なぞったりー」「ちゅっちゅってしてー」「ちゅーってしてー」


「ふへぇっ、やめ……てぇ、くすぐったいー」


「「……くすくす♡」」「ちっちゃーい」「かわいー」


「ソーキス、お前も男の子なんだなぁ」


「ふへへー……お恥ずかしながらー……」


 ソーキスはのほほんとしながらも、ちょっと恥ずかしそうにしている。ソーキス、おっきくなれよ。そのために『みにみに』なんて名前付けさせなかったんだからな。


「ソーキスみたいに」「おにーさんも」「ちゅっちゅしてあげる」「れろれろしてあげる」


「全力で拒否する」


「「やー」」


「オレのほうがやー」


「や、めてよぉ……指でくりくりしないでー……」


「もういっそのことその双子に抜いてもらえよ」


「おにーさんどーしちゃったのー? 最近おかしいよー? あとボクは必要なーい。男の子の体なだけで性別無い様なものだしー。実質無性ー、だからぁ……ふへーん」


 ソーキスは、双子にこれ以上弄ばれたくなかったのか、スライム状態に体の形を変えて、とぽんとお湯に落ちた。そして、ぷかーって湯船に浮かんで漂い始める。


「「ぶー」」「つまんない」「おもしろくない」「のうこうすうのー」「どろどろごくごくするのー」


「お前等どんだけ意固地なんだよ。絶対ダメ、絶対吸わせない」


「「やー!!」」


 手持ち無沙汰になり、わがままを極めた双子は、駄々を捏ねながらばしゃばしゃと湯船を叩いて反抗してくる。その立てた波のせいでスライムソーキスが小刻みにユラユラと揺らされた。


 流石は美味のために町一つを滅ぼしそうになった双子だ……美味しい魔力に対しての執着が尋常じゃない。


「なんでいじわるすのー!!」「のみたいー!!」


 しかも初めて聞くレベルのおっきな声で駄々捏ねてくる。


「なんでって……そういやなんでだ……?」


 オレは元々ロリっ子に興奮しないし、手なんて出す選択肢がハナから無いから……か? でも、最近は見た目だけは十代のナナさんと一緒にシてるし、今は体が興奮状態だし、双子に魔力吸わせるのって別に性的な行為ってわけじゃないし――――。


 普通ダメだろ、相手は子供だぞ? 普通ってなんだっけ、そもそも子供ってなんだ? この世界には見た目は幼いけど中身は大人な種族だっている、オレの周りにもカフスやダッキュが居る。体が子供、普通? 何が普通? 倫理観? 子供だから? 何? 何でオレはダメって言い続けてるんだ? 吸いたいって言うなら吸わせた方が良いのか?


 そもそもオレって今まで、何を考えてコイツ等と接してたんだっけ?


 ズレてる。この世界に来たときより、確実にオレが磨り減ってる。オレがなくなってる。眼がズレる。


 でもオレは普通だ。けどオレは普通だ。しかしオレは普通だ。だから、オレは普通に成れているはずなんだ。


「おにいさん……ふへー」


「お?」


 オレが悩んでいると、ぷかぷか漂っていたソーキスが触手をオレの顔に纏わり付かせてきた。頬をムニムニして、ゆるゆる締め付けてくる。


「おにいさんはおにいさんだよー。優しくてボク達にはちょっぴり厳しい、あまあまなおにいさんだよー」


「はぁ……? オレってそんなんだっけ? 厳しいだけで、優しかったり甘かったりしない気がするわ」


 でも、けど、しかし、そうだったそうだった。オレは子供達には厳しく行くって決めてたんだ。子供は子供、相手は、家の奴等がみんなで可愛がってる子供だ。だったら皆から引かれちゃうような事をするのはダメなんだった。


「双子、やっぱりダメでーす」


「「やーでーす」」


「あのなぁ……ちょっとこっちおいで」


 オレはちょいちょいと手招きをして、双子を呼び寄せる。


 ふよふよ不思議そうにして寄ってきた双子を捕まえて、オレはあぐらを掻いている足の上に座らせた。そして強く抱き締める。


「そう言う事は大人になってから、好きな人の魔力を吸うときだけにしとけ」


「おにーさんすーき♡」「わたしたち、お・と・な」


「へいへい。今はめっちゃ抱き締めてやるから、体全体で吸って良いぞ。オレの温もりを知りながらとくと味わえ」


「……きらいじゃない」「わたしたちはかんだいだからゆるす」「「えなじーどれいん」」


 オレがぎゅーってすると、双子は子供の顔で、満更でもない表情をしながら、体を押し付けて魔力を吸ってくる。


「て、かして」「おくちでもすう」


「へいよー」


 そして、双子は体でも、口でも、オレの魔力を吸い始めた。その様子は、親に甘える乳飲み子のようで、見た目通りの甘えん坊な子供だ。


「これで良い?」


「「むふー」」


 さっきから双子は家のやつらの真似をするなぁ。だったら、それで良いんだ。


「ふへへー、いつものちょっぴり変で優しーおにいさんだー」


「オレは変じゃないし優しくない。普通に厳しいただの青年だ」


「やってることに優しさしかないよー」


 今も厳しくしつけてるぞ。双子のわがままを聞かずに、ダメなものはダメって言って、ちゃんと代替案を提示してやってるんだからな。


 コレで良い、コレで良いはずなんだ。ちゃんとオレは普通を貫けてる、はずなんだ――。


「おにーはん」「あのとーえーなひえーひえーはしへ?」


「やれてるはずなんだ」


 考え事をしてるオレは、話半分でボックスからビーカーを取り出して、双子へ渡す。


 ――やれてるはずだ。普通なはずだ。


「「ちゅっちゅー」」


 双子がお互いにキスをし合ってる気がするが、オレはやれてるはずだ――。


「「べー」」


 双子がお互いの混ざった唾液を、ビーカーに入れてる気もするが――――オレは普通をやれてるはずなんだ――。


「おにーさん」「はいどーぞ」「これつかって?」「すっきりできるよ?」


「やれてるはずなんだコレ?」


 なんか手渡された。なんかヌルヌルしてる液体が小指の分くらい入ってる。


「「おくすり」」


「おおいつの間に。ありがとな双子ーわしゃしゃー」


「「きゃっきゃ」」


 オレはコルクで蓋をすると、ボックスにしまってから手の甲で双子の頭を撫でる。指にはまだ唾液が付いてるからな、双子の髪に付けるわけには行かない。


 にしても双子がそんなお薬をオレのために用意してくれてたなんてなぁ……ただただ嬉しくて細かい事は気にならないよ。


「これ塗り薬? 飲み薬?」


「むずむずするところにぬっても」「げんきになりたくてのんでも」「「どっちでもいーよ♡」」


「そんな高性能な薬をお前等……わしゃしゃのしゃー」


「「きゃっきゃのきゃー」」


「ボク……何も知らなーい。おにいさんの元気がすっきりするならそれでいーや」


 ソーキスが何かぼやく中、オレは双子を最高に愛でてわしゃわしゃした。この双子、何て良い子達なんだ……可愛い奴等め……。


 * * *


 その日の深夜――――。


「っス? なんすかそのビーカー」


「これなぁ……双子がオレのためにって渡してきた塗って良し、飲んで良しの超高性能お薬なんだよ」


「パイセンめっちゃ自慢げっスね」


「くふふ、嫌な予感♡」


「とりあえず、呑む――」


「えー、そんなとろとろしてんスから、ヌル派で行くっスよ。ぬるぬるにしてぬちょぬちょ楽しむっス」


「それもそうだな。この嬉しさをお前等二人にもおすそ分けしてやんよ!!」


 ――――結果。エンチャントされたオレのアレは凶器になり、三人で腰で腰が砕けるまでぐちゃぐちゃになりました。


「やっべ……死ぬ……限界です」


「あ、たしも、っス。頭と背中のぞくぞく止まらないっス……お゛っ♡」


「くふふぅーん……また、まけ……ちゃった♡ わんわぁん♡」


「ナナさん今体敏感だからやめて乗ってこないで、すりすりしないで……めっちゃ甘えてくるじゃん……」

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