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17.ちゅーする?

 うーん、困ったぞ。ヤイナとセイメアのえちえちな姿を見てからかれこれ三日――――。股間の疼きが止まらない。


 この三日、ヤイナとナナさんに付き合ってもらって徹底的に欲望を発散してるけど、どうしてこうして収まらないわ。


 …………当たり前なんだよなぁ……。ヤイナとセイメアのあんな姿を見て、そんで芳醇な香りを吸って、その影響が二日で抜けきるわけないんだよなぁ。あんな欲情の権化と静謐の化身が醸し出す艶かしさと色香に当てられて、数日で収まるわけが無い。


 ソレに加えて――――。オレはとあることを思い出す。


 * * *


 あの日からセイメアは、オレとヤイナを見ると顔を真っ赤にするようになった。でもそれじゃ避けられる可能性があったから、二人協力してセイメアを抱きかかえながら話をした。オレがセイメアを膝に乗せて、そしてヤイナは正面から乗っかる形で、二人でセイメアを挟み込んで、人の温かさを伝え居あいながら話をした。


 ただそのせいで、セイメアの背中側に居たオレは、あの静謐なお人のうなじから香る色香をダイレクトに吸い込んでいた。しかもセイメアはあの人に包まれるのが気に入ったのか……ちらちらと控えめな視線をオレとヤイナに送って来るようにもなった。それがまたエッチ。


 * * *


 ――オレはこの三日間、セイメアの静謐をモロに受けて、継続的に欲望を刺激されてるんだ。


 だから昨日はソレを解消するためにシュエーの下に向かって、お相手をしてもらい、ありとあらゆる欲望を夜の蝶相手にぶつけたんだけど…………治まりません。なんかずっと疼いてます。


 オレが普通で変だからこれで済んですけど、普通の奴だったら誰彼構わず襲ってるぞコレ。わんちゃん、男でもいいんじゃね? って思って欲望発散させるくらいにはあの二人の香りは人にとっての毒だ。


 そんな疼きを覚えてるオレは、今は自宅の食堂で子供組と一緒に朝食を取ってます。


 ナトリとチクマは最近忙しそうにしている。そして今日は、珍しくロロを連れて、なんか用事があるってことで早朝から外出中。ヤイナとナナさんは、昨日オレが相手しなかったので今日は体力が残ってるから、セイメアと共にギルドにお仕事しに行った。


 そして今は、それ以外の面子が揃ってる。


「ちゅー」「れろれろ」


 オレとソーエンは先に朝食を取っていたため、今は子供達を相手にただ座ってるだけ。


「おにーさん」「さいきんどろどろ」「あじこい」「のどにからみつく」


 そして双子は……オレの両手を持って、何時も通り朝からちうちうとオレの魔力を吸っていた。


「ねー。おにいさんの魔力すっごいおいしよねー。ねーねー、どっちか手ちょうだーい、おかわりしたーい」


「だめ」「あげない」「「おにーさんはわたしたちのもの」」


 なんかオレの手争奪戦が起こってる。


 ……どうしてか家の魔力吸い共にはオレの魔力が一段と好評なんだ。


 今だって指を吸ってる双子が、その舌を指に絡みつかせながら普段以上に深く味わっている。頭に乗ってるソーキスだって、双子が吸いに来るまでずーーっとオレの魔力を吸っていた。


「キョーちゃん最近元気そーだもんね、なんかハツラツって感じだよ!!」


「そですね。今のイキョウさんにはやる気と言うモノが感じられます」


 サンドイッチを食べている二人からは、良いような捉え方をされる。けど……。


 やる気の根源が性欲なんてことは絶対言えないわぁ……。


「おにーさんやるき」「おにーさんげんき」「くふふー」「わたしたちが」「もっと」「げんきにして」「「あ・げ・る」」


 魔力を吸ってる双子は、オレの事情を知らないはずなのに、とろんとした目でクスクス笑いながらオレを見上げてくる。


「ナナさんの真似しないの、食事中にしゃべんないの。ってか喋んな、くすぐったい」


 双子は舌をもにょもにょさせながら喋るから、その動く舌や口の粘膜が指をくすぐってきてしゃーない。


 ソーエン助けて!! って思うけど…………最近コイツは早起き生活が続いていたせいか、オレの横で首をコクリコクリとさせながら、足りない睡眠時間を補充するように、眠気を露骨に見せていた。


 こんな無防備に寝ようとするんだから、やっぱコイツにとって家ってのは安心できる場所なんだろう。


「ソーエン大丈夫か? 朝錬終わったんだし寝てて良いぞ」


「ふむ……ふむ……」


 ソーエンは本当に眠いらしくて、オレの言葉にボヤボヤとした言葉を返してそのままコクリコクリとした動きを続けていた。


「はわわわわぁ……ソーちゃんかわゆい……ふむふむソーちゃんかわゆぃ……」


「無防備ソーエンさんです……!! ツンツンしてるトゲトゲソーエンさんがふわふわソーエンさんになってますよ……!!」


 ラリルレとシアスタは、お互いに眼を輝かせながら見合って、今のソーエンの状態に可愛さを感じているようだ。


「イキョウさんイキョウさん、このふむふわソーエンさんって、レアレアソーエンさんですよね?」


「レアレアどころか超レアレアソーエンだぞ。何したってぽやぽやしてるぞ」


「んふふ~…………んふふー!!」


 オレの言葉を聞いてときめきが抑えられなくなったラリルレは、サンドイッチをもむもむと一生懸命に食べきると、いの一番に席から立ってソーエンの側に寄った。


 それを見たシアスタも『ずるい』と言わんばかりにサンドイッチを頬張ると、もぐもぐしながら席を立って、ソーエンの側による。


「ソーちゃーん」


「ふむ……」


「ソーエンさーん」


「……ふむ」


「「……かわいいー!!」」


 船を漕ぎながらぽやっと返事をするソーエン。その声を聞いたシアスタとラリルレは、一緒に笑い合って『堪らなーい!!』って顔をしていた。


「ソーちゃん、好きな子居る?」


「……ふむ……居ないかも知れん……」


「ソーエンさん、好きな動物は――」


「ねこだ」


「むふー、流石ソーエンさんですね。即答です。聞きましたかラリルレさん、ふむふわソーエンさんでも即答ですよ!!」


「んふふ~、かわわだよぉ……おねむソーちゃん好きなこというのかわゆいよぉ……好きな猫ちゃん達好き!!って言えるソーちゃんかわゆいんだよぉ……」


「猫!?」


「ボーナスタイム終わったじゃんかよ」


 アイツ、外から猫って言葉が聞こえて、速攻で目を覚ましやがった。


「そーちゃーん、おやすみなさいだよぉー」


「夢の中で猫ちゃん達が待ってますよー」


「そう……か……。ふむ……ふむ……」


「「あぁーっ!! かわいぃ!!」」


 二人はソーエンの扱いが上手。ラリルレからのおやすみって言葉と、猫達が待ってるって言葉。これどっちもソーエンに効く。だから置きぬけのソーエンは完全に覚醒するまえにまた船をこき始めた。


「もーもーもー!! このソーちゃんかわゆい!!」


「分かります!! 分かりますよ!!」


 そうして二人はたまらなくなったのか、両脇からソーエンに抱きついて、溢れる衝動を全力でぶつけていた。顔スリスリして可愛いに全力で抱きついてる。


 ソーエンが『かっこいい』ではなく、ここまで『かわいい』と呼ばれる日がくるとは……。オレにはその可愛いは分からないケド、二人にとっては相当可愛い状態らしい。


 でもいっつもクールぶってるソーエンが無防備なのは人によっては…………可愛いって……感じるのか? ギャップってやつ?


「「ちうー」」


 そんで、双子はこの状況に一切の意を介さず、ひたすらにずっとオレの魔力を吸っていた。


「お前等吸いすぎじゃね? いつもよりガッツリ吸ってるじゃん」


「おなかいっぱい」「たぷたぷ」「でももうちょっとだけ」「あとひとくちだけ」


 んなラーメン食った後スープちょびちょび飲むみたいな……。


「食べすぎは体に良くないでしょ。おあずけ、夜になったらまたやるから」


 オレは二人の口から指をにゅるって引き抜いて、強制的に食事を止めさせる。

 

 双子からは『むー』っとされるけど、ダメなものはダメです。


「おにーさん手ちょうだーい。おかわりー」


「許可する前に口に運ばんといてくれますでありんす?」


 肩に乗ってるソーキスは、その位置特権でオレの右腕を持ち上げると、よじよじしながら器用に手を口元に持ってきて、そして指や手ごとオレの手全てを口に咥えようとした。


 うげ……左手見て分かったけど、今日の双子の吸い付きやっば。いつも以上に指に唾液絡まってる……滴るレベルで舌這わせられてたのか……。


「ふへ……っ!! ふへー……」


 左手人差し指の状態を確認した直後、右手を口に咥えたソーキスから変な反応があった。珍しい声の反応があったけど、でもアイツふつーにオレのてをでろでろ舐めてきやがる。


「おまえさぁ……双子の唾液付き指ごと舐めるとかデリカシーないの? 実質間接キスじゃん」


「ボクそんなの気にしないしー」


「おにーさんちゅーする?」「してあげる?」「おくちからまりょくちょうだい?」「いっぱいれろれろさせて?」


「する訳無いやろがい」


 双子の提案に乗る訳無いだろ。あと、横でぎゅーぎゅーかわゆいに夢中になってる二人には聞こえて無くてよかった。また顔真っ赤にされた挙句ロリコン扱いされるからな。


「リリムとリリスの涎なんかすっごく濃いー、吸ってびっくりしたー」


「お前ももごもごしながら喋るのやめて? ってか何さ、涎濃いって」


「おにーさんも舐めれば分かるー。今日の強烈ー。ボクじゃなかったら毒みたいなものー」


「ほぁ……?」


 ソーキスが言ってることが良く分かんない。でも、半身からそう言われると気になるな。丁度オレの左手の指にはまだ双子の涎が残ってるわけだし……。


 そう思ってオレが左手の指を見ると、双子も一緒にオレの指を見て来た。その後に口をもごもごさせて、舌に涎を絡ませながら小さい口を開けてオレを見てくる。舐めろってこと?


「「んべー」」「わはひはひの」「おふいはら」「「なめう?」」


 いや、お前等の口からは直接舐めないけど……。でもものは試しだ。指に付いた唾液を舐めてみよう。


「…………あっま……」


 双子の涎は柔らかくも強烈な甘さをオレの口の中に広がらせる。何が濃いのか分からんけど、確かに甘さが濃い。


 ――――あれ? オレってこんなことする奴だっけ……? ダメだなぁ、最近自分が良く分からなくなってきてる。まあ、あと少しだから……あと少し頑張るから。


「……?」


 オレがちょっと考え事をしていると、双子はとろけたニヤニヤ笑みを浮かべながら、顔を下に向けて何かを見ていた。


 …………あ、思い出した。コイツ等の唾液って、催淫効果あるんだった。…………あのローションの効能コイツ等の唾液由来じゃんかい!! 今分かったわ、前にナトリ言ってたの思い出したぞ!! え、じゃあ何? オレって双子の唾液入りローションを受付さんの体に塗ったくってた訳? ……この事は墓場まで持っていこう。絶対に内緒にしよう。


「ねー? おにいさん。普通の人には毒でしょー?」


「はぁ……? はわぁ……」


 ソーキスが顔の横で片手をちょんちょんとし、下を指差したから、オレはそれに合わせて視線を向けると……双子はコレを見てニヤニヤしてたのね。


 最近元気だったのに、より元気になってらっしゃる。


「おっきー」「ぎんぎんー」


 双子はオレの膝に座って、二人の横尻で挟むように体を寄せてきた。


「見るな挟むな手で撫でるな。ソーキスは大丈夫なのか?」


「ふへへー、コレくらいの量ならきかなーい」


 コレくらいの量ならって……もっと量があったら効いてたの? コイツ等の催淫能力凄くない? あの元貪食王のソーキスの耐性突破するほど強いの?


 でも確かに量は関係してるんだろうな。オレだって受付さんに使ったローションくらい薄まっていれば効果を受けないわけだし。…………今はどうなのか分からない。唾液を原液として粘膜から吸収したせいで効果が発揮されたのか、それとも最近溢れる性欲をブーストしているだけなのか。


 ただなぁ……まーたコレ沈めなきゃ行けなくなったぞ。どこかで女引っ掛けるか? それとも今日もシュエーに付き合ってもらうか?


「すりすりー」「かりかりー」


「人が悩んでるのに遊ぶなメスガキ共。とにかく……ふん!!」


「「しなしなー」」


 一旦ここは萎ませておこう。萎ませたは良いけど……油断してるとまた膨らみそうだ。ちゃんと継続的に意識を向けておこう。


「げんきになーれ」「おっきくなーれ」


「朝顔育ててんじゃねーんだぞメスガキが。とりあえず動くな」


「「むきゅー」」


 オレは開いた片腕で、双子をガッチリとホールドして押さえ込む。これ以上弄ばれてたまるかよ。


 今日は絶対シュエーに会いに行く、絶対に激しく仲良し良しする。


 そう決意したオレは、横でふむふむソーエンが起きて、シアスタとラリルレがようやく夢中状態から開放されて、子供達が出かけるようになるまで双子をガッチリとホールドしながらソーキスに魔力を吸わせ続けた。


「右脇腹が冷たくて、左脇腹が温かいのだが……」


「ソーエン、今日もシュエーとこ行って来るから寝てて良いぞ」


「ふむ、そうさせてもらおう」


 * * *


「い……いきょうはん……もぅわっち……」


「悪いな、もうちょっとだけ、あと少しだけだから」


「あぁぁああああ♡♡♡♡――――っ!!」

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