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11.どうでもよくねぇんだよなぁ……

 オレはソーエンと歩み、そしてテモフォーバの前に立つ。


「やいやいテモフォーバ!! お前さっきの三対一が実際は一対一を三回繰り返すって分かってただろ、そんでそれ容認しただろ!!」


「否定は出来ないかな。でも、それは戦いの中で新たな取り決めが行われたっても解釈ができるよね? 私はちゃんとキンス君達対イキョウ君という、三対一の戦いを見届けたよ。けれど、誰も、その戦い方までは指定してないから、意義を唱えられる謂れも無いかな」


「うけけけけけ!! 誰も異議を唱えようとなんて――」


「マジで精剛のあの笑い方だけは下種いよな……」


「何であんなあくどい笑い方ができるんでしょうか……」


「――何も聞こえない。……異議を唱えようとなんてしてないけど、説明も無しにあんなことされて、そんでオレの負けってのはおかしいよな?」


「…………。…………え? イキョウ君が宣言して勝敗は決したんだよ――ね?」


「おいリーダーも含めた二等級共、そんでひまわり組、なんなら異論あるこの場に居る奴。全員掛かって来い。一斉でも順番でも良い、全員相手してやるよ」


「情けだ、武器や能力の一切を封じておいてやる。俺達の慈悲に免じて恥じずに挑んで来れば良い。――そうだな、折角だ。負けた際の言い訳もこちらで考えておいてやる。ここまで厚く保護してやるのだ、気負いせず戦いに挑めるだろう。なんなら金もくれやる、治療費にでも当てておけ」


 ソーエンの言葉を聞いた冒険者達は、皆がヤル気の目を早々に向けてきた。


「おいおいソーエンよぉ……随分と舐めてくれるんじゃねぇの?」


「ね!! 私達そこまで弱くはないですから!!」


「がーっはっは!! ソーエンは優しいなぁ!? …………因みに金はどんくらいもらえるの?」


「健闘した奴にはそれ相応の対価でもくれてやるか。俺に触れでもすればそれだけで金貨一枚はくれてやる」


「お前の懐から金が出てくるなんて、なんて魅力的なんだぁ……」


「……ふむ、察した」


「「くたばれぇ!!」」


「えぇ……そこでおっぱじまるのか……」


「精剛とソーエンってホント訳わかんねぇ……」


「でも好機ですよ!! あのバカ二人をぎゃふんと言わせてあげるんだから!!」


 こうして、ソーエンとオレをメインとした冒険者の大乱闘が開始された。


 一対一対その多駆り立てられた冒険者。はてさて、勝者は誰になることやら――。


 * * *


「皆、聞いて欲しいのだけれどね?」


 おやおやおやおや。今がどんな状況か説明しようかね?


 昨日、冒険者大勢の大乱闘をこなしたんだよ? オレとソーエンはね?


 じゃあ今何してるのかな?


 ――答えは……。四大悪魔の方々と、お食事会をしております。


 昨日の戦いをこなし、今は翌日。そして、時間は夜。


 ちょっとお高めのレストランで、個室にてお食事とお酒を嗜みながらオレとソーエン、そして受付さんは、四大悪魔のお食事会に混じって一緒に同じ者を嗜んでおりますわの。


 白いテーブルクロスがかけられ、燭台が灯っているテーブルには、それぞれが好むお酒と、コース式の料理が並んでいる。


 オレが座っている側は、右端から順に、秘書、シュエー、オレ、受付さん。両手に華状態だ。


 そんで、向かい側は、サイコーキーマ、ソーエン、テモフォーバだ。あっちは悪の幹部団体だな。図体のでかい狼男に、顔を隠した怪しいフード、おどろおどろしい山羊頭。お前等さ、こっち側の、秘書を除いた煌びやかさを見てみろって。秘書以外華やかさの格が違うんだよ。


 そんな煌びやかに差があるなか、テモフォーバはワインを硬い蹄のような手に持って、テンションが上がり気味な様子で言葉を発していた。


 昨日起こった事を楽しそうに話してらっしゃる。


「――ってことがあってね、皆ヒートアップしてきたらそろそろ止めようと思ったら」


 ワインを片手に意気揚々と語っていたテモフォーバは、その蕩けた瞳を受付さんへと向けた。


 その顔を、ガチガチに緊張した受付さんは、苦笑いしながら濁して返す。


 昨日なぁ……。全員の攻撃を回避しながらソーエンと殴り合いをしていたら、ギルドから受付さんが出てきて――。


 * * *


「皆さん?」


「「「はい……」」」


 金の杯、勝者の栄光、勝敗の勝ち。それを一言で掻っ攫っていたのは受付さんだった。皆正座しながら怒られました。メチャクチャ怖かったです。


 あと、あの戦いに参加したやつらは漏れなくレベルが二から三くらい上昇したそうです。

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