35.先人の務め
体を拭いてから、盗賊の初期装備に着替えて睡眠を取る。
服はベッドの横に畳んで置いておいた。後は明日の朝にニーアに洗濯をお願いすれば良い。
ようやく安眠を取る事ができた。……はずなのに。
やる事やって、睡眠君を存分に甘やかせていたはずのオレだったが、とある気配が近づいたせいで無理矢理に意識が覚醒へと向かう。
今何時だ? 正確な時間は分からないけど、多分深夜だろう。一時とか二時くらいか?
そんな時間になんでアイツがこの部屋に来たんだよ。…………ってか鍵掛けといたはずなんだけど……。
何平然と宿屋の鍵ピッキングしてんだコイツ。
扉から入ってきた気配は迷うことなくオレのベッドへと近づいて来る。
夜の静寂、それを邪魔することなく静かに歩みを進めて来た人物は、オレのベッドに静かに腰掛ける。
「……」
そして無言でオレの頬を撫でてきやがった。
相手が行動をするまではこっちも対応をしようとは思わなかった。
でももう大丈夫だ。刺される心配は無い。事情が事情だからな、オレは寛大な心でお前の事を受け入れてやる。だからこのまま寝たフリを続けよう。
「……寝顔…ふふっ」
アイツは一頻りオレの顔を撫でると、今度は掛け布団に潜り込んできた。
良いぞ良いぞ。オレは甘んじてお前の欲望を受け入れよう。それが先人の務めだ。
「あぁ……んっ。ふふっ、んへ」
コイツ、布団の中でオレの服をめくって腹筋を突いたり、撫でたり、頬ずりしたりしている。
自慢じゃないけど、オレの体はそこそこ鍛えられてる。言い換えれば、オレの体はセクシーだ。人に見られて恥ずかしいもんでもないし、人が見てガッカリするような肉体でもない。
良いよ、精神年齢小学生のやることだ。見逃しておいてやるから、好きにしろ。さながらオレはセクシー写真だ。写真は何も語らない。ネットの無い世界ではオレがお前の探究心を受け止めてやるよ。
「縛られて命令されたいの。お世話したいの。ワガママを言いたいの尽くしたいのあなただけの私になりたいのあなたには私だけになって欲しいのあなたに縛らて私が縛りたい、もっと私を強く縛って。私もあなたを縛りたいの」
……ん? ニーアは緊縛が性癖なの?精神年齢小学生の割りにはレベル高くない?
「はぁはぁ…」
その後、ニーアはオレの上半身を堪能してからベッド横に置いた服を持って出て行った。
安心しろニーア。この事はオレの胸に仕舞っておくからな。
そうして、オレはまた眠りに付いた。




