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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第三・五章-オレの親友がポンコツなんだよ異世界-
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12.線引き

 多分、恐らくだけど、敵意が無いってことを理解して、その眼を向けているんだと思う。

 あとはカフスの言葉だ。『今日は大丈夫』って言葉の理由がオレ達だったことを理解しているのだろう。だから、オレとソーエンを無条件で信頼している。


 このギルドの、そしてアステルの脅威にはならないと理解している。


「もうこれ以上は語れないのかな?」


 テモフォーバは尋ねてくる。


 オレ達がオレ達の素性を意図的に明かさないことを理解して、だから尋ねてくる。


「聞きたい事あったら好きに聞いてくれ。もちろん、全部に答えられるわけじゃないけどな」


「ハッハッハ、線引きはあるんだね。だったら…そうだね。厚かましいかもしれないけど、この魔道具を今日一日だけでも貸してくれないかな? 勿論、個人的にお礼はするから」


「「……?」」


 オレとソーエンは、テモフォーバの言っている言葉の意味が分からなくてお互いの顔を見る。


 貸す……? 何の話をされてんだ?


 そして、顔を合わせているオレとソーエンをキンス達は目を丸くして見てくる。


「は?」


「何だその目は」


「いや……まさかとは思うが……。お前等くれてやるつもりでギルマスに渡したってんじゃないだろうな……。そんな見たことも聞いたことも無い貴重な魔道具を…」


 キンスが当たり前のことを言ってきやがる。


 受付さんとニルド、絶影も似たようなことを思っていたようで、キンスの言葉をその目の意味としているな。


「あれ? オレはただゴミの処分をしたいだけなんだけど……?」

「ゴミを押し付けただけだ」


「ゴミ……そうか……。やっぱりお前等……」


 オレの言葉を受けたキンスは、また頬に涙を流し始める。


「おっと? これはまたキンスに勘違いされてるな?」


「にゃあ……キンスの言う通り、二人は照れ屋だにゃあ……。しかも筋金入りのにゃあ……」


 ニルドまで目じりに涙を浮かばせやがった。


 ダメだ……現状で何が起こっているのかが全くと言って良いほどわからない。


 そして何より、受付さんから最上の笑顔を向けられてるのが一番意味が分からない。


 どうして人にゴミを押し付けたのに怒らないんですか……?


「イキョウ君、ソーエン君。もしかしてだけど、この魔道具は私にくれるつもりだったのかな? それも無報酬で」


 オレ達が疑問に思ってるさなか、テモフォーバが質問してくる。


「報酬ではなく対価だ。俺のネタとなれ」


 ソーエンとしては、手紙にのネタになりそうな奴をおいそれと逃さない為に上げただけなんだけど……。


「やはりスノー……カフスさんが信頼している者達なんだね。その気持ち、ありがたく受け取ろうかな」


「ギルマス…。実は、内緒にしておこうとは思ってたんですけど……くぅ…」


 キンスが喉を鳴らしながら涙を腕で拭っている。


 今度は何を話そうとしてんだ? ってかキンス涙もろすぎんだろ……。


「実は……この前の疫病が流行った時、薬の材料を採ってきたのは俺達じゃないんですよ」


 疫病……? ああ、シアスタと双子が流行に乗せられたあの風邪のことか?


「病が異常な速度で広がっていた件については、私達ギルドの方でも緊急クエストを発令しようとは思っていました」


「にゃあ、話は聞いてるにゃ。相当ヤバイ病気だったらしいにゃ」


「ああそうだ。事態が収束した後に分かったことだ。その……後からようやく分かったってのも…………この二人が収束のためにすぐに動いたから……ああ、ダメだ……涙が、クソッ!!」


 キンスは豪快に腕を拭って涙を飛ばすけど、それでも涙が溢れている。


「ふむ……。何故臥せっているはずの旗印が材料を。とは思っていたが、合点が要った」


「……なるほどね。私も絶・漆黒の影君と同じで何故とは思っていたけど、そう言うことだったんだね」


 テモフォーバは何かを納得しているような目でオレ達を見てくる。


 そして、テモフォーバの目を持って、他もオレ達を見て納得している。


「え? マジでなに?」

「訳が分からん」


 なんだこの空気。


「ふふ、本当に」

「同胞達は」

「照れ屋だにゃ」

「分かってたんだ、コイツ等は分かってて……」


 キンスは涙を流しながらオレ達に近づいてきて。


「本当に……この町に来てくれてありがとう」


 真っ直ぐオレ達を見てお礼を言ってくる。


「いや全く何も分かって無いんだけど!! 皆納得した目を向けてる当事者二人がなんも理解して無いんだけど!?」


「良いんだ、分かってる。もうこれ以上は何も言うまい」


 キンスは何かを察したような顔をしてから、ハニカンでくる。


「話し聞けや! お前勘違いしてんだよ!! こっちが何も分かって無いって言ってんじゃん!! なのに何を持ってお前は分かってるって言ってんの!?」


「ふむ、面白いやり取りがおきたな。これも手紙に書くとするか」


「それ優先するのも良いけど、現状も優先してくれない?」


「どうでもいい。俺が優先すべきはネタになるかならないかだ」


 あ、そう……。……じゃあいいよ、もうオレもどうでも良いよ。


 ソーエンの言葉を聞いたオレは、この一連のやり取りがもう何もかもどうでも良くなる。


 これは諦めじゃない。


 今日の目的はソーエンの手紙のネタ探し。だったら、今日の主役はソーエンだ。その主役がどうでも良いって言ってんなら、もうどうでも良いんだよ。


 こいつが満足してればそれで良い。今日という日はコイツの為にあるといっても過言じゃないくらいに、オレはこの一日に重きをおいている。


 偏屈でバカで無愛想な親友に、初めてオレ以外の友達が出来たんだ。だったら祝福として、今日一日はお前の意思を尊重してやるよ。


 当事者がどうでも良くなったことで、この話題は終了する。


 というか、キンスを始めあっちの面々は良く分からん勘違いをしてこの話題はもう掘り下げないようにしていた。なんかニコニコした目をオレ達に向けている。


「あ……。そういえば受付さん」


「はい? なんでしょう」


「ごめんね、模擬戦のお願いは断るよ」

「先も言ったが、俺達の戦い方は参考にならん」


 オレ達の戦い方。


 オレはスキルを駆使して相手を陥れるか、変幻自在に武器を変えて戦うスタイル。


 ソーエンはこの世界には存在しない武器である銃をメインに戦うスタイル。


 もちろん二人で小細工無しの殴り合いもやらない訳じゃないけど、それもこの目があるから出切る事。


 オレの目は焦点を視界全域に広げて、その目と気配察知を持って見切りをする。そしてソーエンも猿真似をして似たような事をしてくる。


 それは教えられる技術でもなければ、教えて体得できる能力でもない。

 オレ達二人はオレ達だから出来る戦い方をしてるだけなんだ。そんな特殊な戦い方を、誰かに教えろって言われても無理なものは無理。理論を伝えたところで真似出来るものじゃないからな。


「謝るべきは私のほうです。元は私が勝手に思いついて、勝手に言い出したことです。無理なお願いをして態々断らせてしまったこと、ここに」


 受付さんは、礼儀を持って謝罪をしてこようとする。


「待って待って、そんな仰々しくしなくていいから!!」


「ふふっ、分かりました」


 オレが慌てて受付さんを止めたら、何でか受付さんは楽しそうな顔をしながら頭を下げることを辞めた。


 笑い声は楽しそうで、その後の『分かりました』は弾むような声で。返事をされた。


「……もしかしてからかわれた?」


「そのようだな。ふむ……」


 ソーエンはこのことも手紙のネタにするつもりなんだろう。だから、それ以上口を開かない。


「受付さーん、それは意地が悪いよ。シラフだとびっくりしちゃうよ」


「でしたら、またお邪魔させていただきますね」


「へい。そん時は上等なワインを用意しておくね」


 受付さんは、あの夜以来ちょくちょく家に来るようになった。そして家の子達を可愛がっては満足して帰っていく。


 受付さんが来ると、オレとソーエンだけの晩酌に華が咲くから大歓迎だし、家の子達とラリルレがそれはもう嬉しそうに受付さん引っ付くから、<インフィニ・ティー>としても大歓迎だ。


 そして、酔ってる受付さんはカフスにも気軽に接してくれる。


 だからカフスは言っていた。


「酔ってるローザも好き。また私もお邪魔する」


 と。

 ……。


「今度はドーナッツかよ」


 急にカフスが会話に参戦してくる。その手に持っているものを頬張りながら。


 ソーキスとロロは、休憩スペースのテーブルに座ってカフスと同じ料理を頬張っている。目の前の更に山のようにドーナッツを積みながら。

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