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無計画なオレ達は!! ~碌な眼に会わないじゃんかよ異世界ィ~  作者: ノーサリゲ
第三章-オレが何をしたって言うんだ異世界-
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29.隙があればサボりたい5

「イキョウさん!!どうでしたか、私の魔法!!」


 魔法訓練場に移動したオレが最初に聞いた言葉はシアスタの自慢げな言葉だった。

 表情は誇らしそうで、そんなに的を吹っ飛ばしたのが嬉しかったのか。


「凄い凄い」

「何ですかその投げやりな言い方は!!」


 改めて驚くほどの事じゃなかったから適当に流そうと思ったらシアスタがプンスコと怒り始めた。


 おまけに後ろに居たコロロは何故かオレに敵対的な目を向けてくる。オレが何をしたって言うんだ。シアスタのこと褒めたじゃないか。


「他に何か言う事はないのでありますか?」


 コロロはシアスタの後ろからオレに向かって不機嫌そうな声をぶつける。なんでだ…。


 こういうときに騎士団長のキアルが居ればコロロをどうにか出来たのかも知れないけど、あいつはスターフと話があるって言ってどっか行っちまった。

 こっちに着くなり他の騎士から話しかけられた後、ちょっとスターフと話をしてくるって言って居なくなったから今ここには居ない。


「えっと………やるじゃん」

「言い方ではなく内容を問いたのでありますが」


 そんな事言われても、シアスタの魔法に関して改めて述べるような感想なんて無いぞ。


「コロロに言われなくてもシアスタの凄さはオレの方が知ってんだから良いだろ別に」

「私、どれくらい凄いですか?」


 シアスタが何かを待つように、期待しながらオレに尋ねてくる。

 えっ、何この子。今日どうしちゃったの?今日って何か特別な日なの?何を言って欲しいんだシアスタは。


「…フロストワイバーンくらい?」


 異世界に来て浅いオレは氷魔法の凄さなんて比較できないから、この前にクエストで狩ってきたモンスターを上げるくらいしか出来なかった。


「はぁー」


 何故かシアスタから残念そうな顔をしながらため息をつかれた。

 フロストワイバーンはため息つくような程弱い奴じゃないんだけどなぁ。普通のワイバーンよりも何倍も強いんだから。


「そうではないのであります」


 コロロもシアスタと同じように残念そうな顔をして頭を抱えていた。

 本当になんなんだ…。


「もっと鍛錬します…」


 そしてシアスタはとぼとぼとオレから離れて訓練に戻っていった。その後ろに付いていたコロロからは去り際にやっぱり睨まれた。

 本当になんだったんだ…。


「「おにーさん」」


 キアルと疑問の顔を突き合わせていると、シアスタ達とは入れ替わりで双子がやってきた。


「どうした?」

「わたしたちが」「まほううつところ」「「みてて」」

「今度はお前らかよ…」


 双子に両手を引っ張られてオレは的の前まで連れて行かれる。


 魔法訓練場も弓の訓練場と変わらず的の距離は一緒だった。


 遠距離攻撃を前程とした訓練場。でも、双子って的当てが必要な魔法持ってたっけ?ってか威力が必要な魔法って持ってたっけ?コイツラって催眠特化型で攻撃系はそんなに得意じゃなかったはず。


 どんな魔法使うんだろ。双子も成長していていつの間にか新しい魔法とか覚えてるし、この世界自体見たことが無い魔法が多いからちょっとワクワクしてきた。


「ひゅぷのし」

「ちょっと止めろ。ここでそんなの使うんじゃない」


 こんな人が大勢居る場で<ヒュプノシスボイス>何て催眠技使わせてたまるか。一応前に双子に確認したら、キアル以外の騎士には効くらしい。


 氷の精霊よりも希少、それどころか世界的に見ても目撃例が少ないサキュバスがここに居るなんてことを知られないために、大事な一戦のスターフ戦ですら<ヒュプノシスボイス>は禁止していたってのに、今使ったら意味無いだろ。


「でも」「あれじゃないと」「まとに」「とどかない」

「当てる必要無いから。今日は大人しくしててくれ」

「おとなしくしてるだけじゃ」「つよくなれない」

「ぐっ…流石自分から訓練に参加してる奴らだ、向上心持ってやがる」


 なんでそんな向上心を持ってるんだよ。いや、コイツラはコイツラなりに頑張ろうとしてんのか?理由は知らんけど。

 でもなぁ、だからってその意思を尊重してサキュバスってばれたら意味ないしなぁ。


「そもそもお前らこの訓練合ってないんだよなぁ」


 騎士団の脳筋訓練も悪くは無いんだろうけど、双子とは求める力のジャンルが違うからほとんど意味を成してないと思う。


「つよくなるって」「むずかしい」


 しょんぼりしながら双子はオレの袖を掴んで来る。

 そんな顔されると…なびく、オレなびいてしまう。止めてくれ。本当にそういう顔に弱いんだって。


「…ちょっと待ってろ」


 オレは結局逆らえず、現状をどうにかするためにキアルのところにダッシュする。


 訓練場からちょっと外れたところでスターフと話しているキアルは、何やら真剣な顔をしてスターフと話をしているがちょいとお邪魔させてもらうぞ。


「悪いキアル、ちょっと今良いか。ってか良いって言ってくれ」

「おっと!? だ、大丈夫だよ」


 キアルは焦ったような態度で大丈夫だと言ってくれる。

 真剣な話をしていたところに急に割り込んだせいかキアルを驚かせてしまったようだ。


「サンキュ。あの双子を強くするにはどうしたらいいと思う?」

「そ、そうだね…魔力の流し方を身につけるなんてどうだい?」

「魔力の流し方?」


 っていうと、オレが初めてこの世界に来たときに体得できたあれか。確かに魔法使うときに多く流せたほうが良いし、使えるに越したことは無いと思うが。


「そうそう。魔法を行使するときの基礎中の基礎。術に必要最低限の魔力を流すことが出来れば効率を、多く込められるようになれば威力を高められる。訓練しておくに越した事は無いよ」


 最低限の魔力ってことは発動に必要なMPのことだよな。威力はやろうと思えば最下級魔法にもありったけ込められるし。……オレってもしかして魔法のプロフェッショナルなんじゃね?


「なら双子にそれ教えるために訓練離脱するのアリ?」

「それも訓練の一環だしね。いいよ」

「サンキュ!!」


 キアルから許可を貰ったオレはそそくさと双子の下へ戻る。


 魔力操作なら寝てても出来るぜ。楽チン楽チン。まさかこんなところにサボるためのピースが転がっていたとは。さっさと双子の元へ戻って楽な時間を過ごさせてもらおう。

 ウケケケケ。楽な時間になるぞ。


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