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僕と私とetc.  作者: 霧島シキ
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7

自粛あきてきました

装飾の激しい門を通って、学園の中に入ってみるとそれだけで、かなり広いのが分かる。

Mr・アグレットによると、体育館やプール・図書館など普通の学校にある施設もあるようだ。だが、どうしても目に入るものというか時空間移動して異次元に来たときから気になっていたものに関してはすぐに質問せざるを得なかった。

 校舎の横にある野球場みたいな大きさの古代ローマ調の建造物を指差して言う。


「あれは何ですか?」

「えっ、コロシアムだけど・・」

Mr・アグレットは、当然のように言った。


まあそういうものなのかなぁと安息的靴紐の効果がまだ続いているのか、あまり驚きもせずに、

「そうですか」

と受け止めることに成功した。

もう少し質問を重ねてみる。

「この異次元って何か名前とかあるんですか?」

「皆、この神々の子ども達のための世界を、カツミコと呼んでいる」

そして、僕らは、昇降口から、靴を履きかえて、校舎の中に入った。校舎の中は、ほとんど僕が前に通っていた学校の雰囲気とあまり変わらない。階段を上って、学園長室の前まで来ると、学園長室からドア越しに、

「ふざけてんじゃないわよ!このうすのろ馬鹿!」

女性の声で罵声が聞こえてきた。

嫌な予感がした。


「君が、星名光伎君ね。私は、神空学園学園長 是臼美香(ぜうすみか)です。よろしく」

と是臼学園長はにこやかに言った。


「よっ・・よろしくお願いします」

 

先ほどのやり取りを聞いていた僕は、かなりビビリながらそう言った。僕の視界の片隅には、隅の方で震えている天使が見える。どうやら、この天使が先ほど怒られていたようだ。


「この非常に半端な時期の転校ということだけど、この学園じゃ、転校じたいが珍しいからがんばってね。 そうか~君が陽人の息子かぁ~あんまり似てないわね」

 学園長は僕の顔をじっと見る。


「親父を知ってるんですか?」

 親父がこの学校に通っていたとは聞いていたが、学園長が親父の知り合いだとは思わなかった。見た目からしてもそうは見えない。


「ええ、私は陽人と同級生で、しかも、同じ部活に所属していたのよ。そこにいるMr・アグレットも同じで、同じ学年で、同じ部活だったのよ」


そう言うと、Mr・アグレットは、僕の脇にいるMr・アグレットをちらりと見た。

そうだったの?Mr・アグレットも最初に会った時に言ってくれればよかったのに・・・とそんな目をして、僕が、Mr・アグレットを見ると、


「いや、別に訊かれなかったから・・」

「あんたは、そういうとこ気が利かないのよ。光伎君だって、神の世界に触れるのは初めてだったんだから、陽人のことでも話して緊張を解いてあげるとかしないと」

「すまない、そこまで気が回らなかった。まあ、安息的靴紐あげたし許してくれ」


どうやら、Mr・アグレットは、学園長に頭が上がらないようだ。

「いやいや、大丈夫ですよ」

と言った僕の頭の中は、学園長の容姿ことで一杯だった。


 親父と同級生だとしたら、学園長は確か40歳だ。Mr・アグレットは言われれば、年相応に見えるが、学園長は20代にしか見えないほど若い。スタイルもとてもグラマラスで超エロイ。

 顔もかなり整っていて、そこらへんにいるモデルよりも綺麗だ。また、長い金髪で、青い瞳が緑色のスーツにとても合っている。外国人、いや、外国の神とのハーフだろうか。

 僕が少し黙っていたら、

「なになに、もしかして、私に見とれちゃってる?」

 図星だった。

「私は、若さの神だから、容姿はずっと若いままなのよ」

学園長は、あきらかにドや顔で言った。


若さの神に、靴紐の神か~~色んな神がいるんだな。


「まあ,中身はもうおばさんだがな」

Mr・アグレットがそっとつぶやく。

「うるさいわね」

 

 学園長の眉毛がピックと動いた。なにやら、『オバサン』という言葉が気に障ったようだ。

 学園長は、Mr・アグレットに向けて、デコピンの動作をする前の指を曲げて、力をためる動作する。

 その動作を見た瞬間、僕の隣にいるMr・アグレットは、すごい速さでどこから出したのか分からない一本の長い靴紐の両端を結んで作られた輪を両手の人差し指と親指に引っ掛けて、学園長にむけて四角形を作る。

 「防御的靴紐(シューレースプロテクト)!!」

 Mr・アグレットの叫び声が部屋全体に響いた。

その顔に汗がにじんでいる。

 すると、学園長と、僕とMr・アグレットの間に、紫色の薄い膜が出現した。

 学園長は、その薄い膜が出現したのを確認すると、

「ピカ☆」

とかわいらしくウインクしつつ、指をはじく動作をしながら、かの世界的に有名な黄色のネズミのように、高い声で言った。

 そのとき、学園長のそのはじいた指から、稲妻が、どどどど、ごろん、と激しい音ともにまぶしい光をあたりに撒き散らしながら僕たちに向かって迸ってきた。

 光が部屋の中を明るく照らす。

 僕は目を閉じるのも忘れるほど驚いた。明るすぎて目が痛い。

その稲妻は、紫色の膜に衝突する。衝突すると、稲妻は、その薄い膜の中に消えていった。


「おい、美香、危ないだろう!当たって怪我でもしたどうするんだ」


Mr・アグレットは、語気を荒げてそういった。

僕も同感だった。


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