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33.不良

 実習の翌日からは、しばらくまた座学に逆戻りだった。季節や熟達度の関係から、これからしばらく実習が増えると聞かされていた身としては拍子抜けであるが、実習場所があんなことになっては仕方ない。とばっちりで山以外の草原や森も先生たちが調査を行うということで、実習の多い上級生たちも暇そうな顔をしていた。

 そうなるといら立ちの高まる人も中にはいるようで。


「おい、ガキ。人の服を踏んでんじゃねーぞ!」


 今日は不良みたいな面構えの上級生に絡まれてしまった。見た限り、日本でいうところの高校生くらいの年齢だろうか。まったく運が悪い。主に相手の。


「――あたしの目の前でるぅくんにちょっかいかけるとは、いい度胸だねぇ――」


 ただでさえ、先日の実習で俺のピンチに駆けつけるのが遅れたことを気にしているお姉ちゃんが、ゴゴゴゴゴという背景音を感じさせるすさまじい無表情で不良上級生に向き合った。


「――な、なんだよてめぇ、舐めてんじゃねーぞ」


 対する上級生は一瞬お姉ちゃんの迫力に押されたものの、自らの方が年上であるとみてなんとか威勢を保とうとする。


「舐めてるのはオマエ。もう喋るな」

「お姉ちゃん殺しちゃだめだからね!!!」


 俺の制止が聞こえたのか否か、とりあえず次の瞬間には不良生徒は踏みつぶされたカエルのようにぺちゃんこになっていた。


「……こ、このモケロンロ様を」

「喋るなって言ってんでしょ」


 ぷしゃ。


 モケロンロと名乗った不良上級生は、今度こそ完全に潰されて口を閉じた。おそらくお姉ちゃんが使ったのは風魔法だと思うのだが、なんて威力だろうか。


 ……あー、息はあるようだし、まぁ、いいのか……?


 俺はあまりにも圧倒的な暴虐に、ただただ息を呑むことしかできなかった。


「……ちょっと、何アレ」

「……一年生のルビルート君の従者でしょ?ルビルート君に逆らったら容赦しないって」

「巨大スライムを一撃で倒したとかいう……」

「マジマジ!?ジョイヤーロ先生じゃなかったの?」

「マジらしいよ!ほかにもヤバい噂がいっぱいで……」

「それで一年生はみんなルビルート君の奴隷同然だとか……」

「こっわ……絶対関わらないようにしよ……」


 遠くからそんなひそひそ声が聞こえてくる。俺が周りを見渡すと、遠巻きに見守っていた他学年の生徒たちが皆一斉に目を逸らした。――俺って今、そんなに悪名が轟いてるの!?


 お姉ちゃんにも聞こえてしまったようで、不機嫌そうに俺の方へと振り向く。

「――ねぇ、なんか余計なこと言ってる人たちがいるから、全部お仕置きしちゃっていいかなぁ、るぅくん?いいよねぇ?だってるぅくんの敵は世界の敵だから、あのピンクスライムと同じように徹底的に駆除しないと――」

「だめ!駄目だからね、これ以上腫物みたいに扱われるのは絶対だめだから自重してお姉ちゃあああああああああああんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 俺はイメージアップ活動をすることを心に決めた。


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