第13話 元奴隷であるアシュラの親代わりになりたい(7)
「んっ、ああ、あああああん!」
さっきから何度目か分からないほどの嬌声。
絶え間なく風呂場を反響させている。
アシュラは尻を突き出すような恰好で、風呂場のふちをつかんでいる。
最初は余裕があった。
あー、いい、気持ちいい、ぐらいの感想しか言わなかった。
だが、ゆっくりとだが、徐々に力を強くしていくと身体が熱くなっていった。
吐息が漏れるようになって、一度ひゃぅと声を出したのがきっかけとなった。
まるでダムが決壊するように、快楽に抗えなくなった。
「いい、いいいい! こんなの、抗えない。癖になっちゃうううう!」
とまあ、こういう感じである。
普段はちょっとそっけないアシュラが、今では俺の指先ひとつでどうとでもなる。
どこが弱いかは熟知している。
だから焦らすこともできる。
最高に気持ちいいところを敢えて外したり、力を弱めたりした。
もっと、もっとという言葉を捻りだすまで、執拗に加減した。
いい具合まで身体を仕上げて、屈辱を噛みしめるように、もっと強くしてくださいと言われて、ようやく力を込めたところだ。
やっぱりいいな。
冷たいアシュラが、こうも俺を求めてくれるなんて。
必要とされているようで楽しい。
やっていることはドSのようだが、気持ち的には奉仕しているみたいだ。
アシュラは玉のような汗を流しながら、俺の動きに合わせて身体を揺らす。
あまりにも大きく動くので身体を固定するために、片方の手で肩を置く。
もう片方の手で、発展途上の幼い肉体を弄ぶ。
最初はきっちりとタオルを巻いたままだったのに、今はほとんどはだけている。
綺麗な肢体だ。
幼女だから当たり前なんだけど、肌のつやが凄い。
触れば触るほどに吸いつくような肌が癖になりそうだ。
いくら触っていても飽きそうにない。
「だめ! もう! きもちよすぎぃ!」
「アシュラがやれって言ったんだろ」
「で、でも、こんなに気持ちいいなんて……。前よりテクニックが、ああああ!」
「そんなにうまくなったかな? でもな、こういうのは強くやらないと意味がないんだよ。だから、もうちょっと我慢してな」
「いや、いやああああああああああん!」
抵抗も口だけだ。
本当に嫌なら逃げればいいのに、アシュラは身を委ねている。
俺の指の動きの虜になっているのだ。
こんなに喜んでもらうと俺も鼻が高い。
もっと気持ちよくなって欲しい。
でも、まあ、あれだ。
「……ただのマッサージなんだけどな、これ」
聴いている人がいたら勘違いそうだ。
叫び過ぎて声枯れるんじゃないかってぐらい大声だ。
誰かに聴かれてもおかしくない。
それはアシュラも分かっているはずで、最初は小声だったが今ではこれだ。
声が我慢できないほどに、気持ちいいらしいのだがそんなにいいものなのか。
どす黒い背徳感が胸の内から湧きあがったのは否定しないけど、やっているこっちがちょっと引くぐらい喜んでくれた。
やってよかったな。
肩とか腰とかをマッサージしていただけなんだけど。
最初は普通に座っているアシュラを揉んでいただけなんだけど、次第に耐えられなくなって腰砕けになっただけなんだけど。
「はあ、はあ……」
「大丈夫か? ちょっとやりすぎたかな?」
「ううん、き、気持ち良かったから」
マッサージを終えて、アシュラも正気に戻ったのか恥ずかしそうにしている。
それはそうか。
あんな大きな声、流石に外にも漏れていただろうし――
「貴様あああああああ! 剣持勇士いいい! 何をやっているんだ!!」
バアン!! と扉をけ破りそうな勢いで誰かが入ってきた。
甲冑姿で、既に鞘から剣を抜いている。
怜悧な視線は殺意を孕んでいる。
女でありながら、男顔負けの強さを誇るその女性のことを俺達は知っていた。