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8話 みいちゃんと絹糸真綿ふかふか

「ねえ、ねえ、焼きそばと焼きにくと、どっちが好き。えっ、あたし?そうねえ、あたしはねえ、大判焼きー。」

ぼわっ。

みいこの寝言にトマトがすっ転んだ。

その勢いで巨大怪翼ハムスターの長い冬毛が大きく広がり、ネッラの頬をなでた。

「なんだか、ちくちくするなあ。」

冬毛にさわさわと触れられて、もぞもぞとネッラが目を覚ました。

「うん?夜か。いや、ここ宇宙だったわ。」

そう呟くネッラ。遠くで金星がキラリとまたたいた。


「はっ‼︎あれは。急がなきゃ。みいちゃん、ねえみぃちゃん。みんな起きて。」

トマトがみいことはるに声をかけた。

「だからあ、たい焼きじゃないの。えっ、どら焼き?違うよ。私が好きなのは、あ、な、ご。」

むにゃむにゃと言うみいこの横でハルが体を起こした。

「もう、みいちゃん。おかしな寝言言ってないで、起きなよお。」

ハルに体を揺らされてみいこが目を覚ました。


「わああああああああああああああああああ、ち、こ、く、だぁー!!!!!!」

唐突に叫び声をあげて起き上がるみいこ。服を脱いで着替えようとするも、着替えの服はない。肌着になってあたふたするみいこ。

「ちょっと、みいちゃん。」

ハルは顔を赤くしなごらも、しっかりみいこの下着姿を捉えて言葉を濁した。

「ぎゃあああああーーーーー!!!!!!見 な い で ええええええええぇぁぁぁぁぉ!!!」

バシンっ!!!!ハルの頬にみいこの手のひらが弾ける。苦痛に悶えるハルを見たネッラは目を細めて笑いをこらえた。


いろいろあったけど、気を取り直した三人と一匹はいよいよワープストリームの準備に入った。

「みんなしっかり俺っちの真綿のようにフサフサで絹糸のようにしなやかで、オーロラのように美しいネズミ毛につかまっててよ。」

「自画自賛かよ」

トマトの掛け声にネッラがつぶやいた、と同時に巨(略)ハムスターは猛スピードで宇宙を飛んだ。ビュン!

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