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1話 地球が大変

当作品はフィクションです。



みぃちゃんとぼくの続編です。

舞台はパラレルワールドの宇宙の地球です。

 あれからしばらくして、ぼくとみぃちゃんの住んでいた国はライス国とツュ国が領土を分けあって、ぼくたちの住む西の日の国はツュ国の領土になったんだ。残りはライス国とその他の国が分けあったらしい。

 あっ、でも、首都だった東吉都ひがしよしのみやこにだけは日の国の人たちが残って、国を再建しようとしているらしい。

 だけど、ライツュ連合が残党狩りを計画しているとかで、とても恐ろしい。

 

 ぼくとみぃちゃんはあの後、みぃちゃんのお父さんがライス国に掛け合ってくれて解放された。みぃちゃんのお父さんもぼくたちと一緒に助かったんだ。

 だけどそのお父さんの言うには「他の偉い人たちはもうお日様を拝めないのだろうな。」って。かわいそう。だけど、仕方ない。もうぼろ負けだもの。


 ケイロンのみんながどうなったのかはわからない。

 キャンボディア人のトゥーは祖国の戦乱から逃れるためぼくたちと共にツュ国の領土になったこの場に残った。




 だけど問題はなにも解決してないんだ。だって、長老がいなくなった地球は宇宙線の影響で人類の存続が危うくなってしまったから。

 テレビももう放送されなくなったし、電車もほとんど走ってない。

 ライス国のニュースを見ると、世界中でたくさんの人々が倒れているらしい。

 



 「はるくん、私たち、ここから逃げるのよ。」

 学校が物理的にも制度的にもなくなって、すっかり元気になったみぃちゃんがぼくに言った。

 「えっー、また逃げるの?もう疲れたよー。」

 「何言ってるの。早くこの地球ほしから逃げないと、みんな死んじゃうよ。トマトみたいに。ぐすん。長老みたいに。ぐすん。」

 「みぃちゃん。」

 泣き顔になったみぃちゃんはすぐに表情を変えた。

 「さっ、取り敢えず、四国にいきましょう。四国はね、ごたごたにまぎれて独立したのよ。文字通り四国になったらしいの。あっ、あとは縄沖ね、日の国から独立してすぐに合併して台北北になったらしいよ。でも、台北北は遠いから、四国でいいでしょ。ね。さあさあ、うどん、うどん。」

 「いいけど。あのさあ、うどんが食べたいだけじゃないの、みぃちゃん。」

 ぼくは不信に思って聞いてみた。

 「えっ、まっ、まさか、そんなわけないじゃない。私そんなに食いしん坊に見える?見えないでしょ。見えないよね。だからね、ほら、うどん国うどん国。あっ、そうよ、うどんっていうのは新しい国名なの。前にうどん県に改名した県知事がいたでしょ。あの人ね、独立してすぐに代表者に選ばれたのよ。かっこいいからかな。うふふ。あっ、それで、その代表者が四国からうどん国にしたのよ。せっかく文字通り四国になったのにね。残念ね。さあ、うどん、うどん。ワカメうどん、ぶっかけうどん、伊勢うどん。るんるん。」

 みぃちゃんは僕も知らなかったことをひといきにそう言うと、小躍りしてくるくる回っている。

 「みぃちゃん、伊勢うどんはうどん国にはないと思うよ。伊勢名物なんだから、伊勢にあるんだから。だけど、みぃちゃんって、伊勢うどんが好きなんだね。マニアックなんだね、だから共同生活に馴染めなかったんだね。伊勢うどん反対派にいじめられるものね。かわいそうなみぃちゃん。と、伊勢うどん。」

 ぼくがそう言うと、トゥーが賛同する。

 「私も賛成です。この地球はもう宇宙線にのまれてしまうでしょう。逃げられるのならば逃げましょう。それに、その、伊勢うどん、食べましょう。」


 たくましいトゥー兄さんの声に励まされて、ぼくたちは地球から逃げられるのかもわからぬまま、うどん国へと歩みを進めたのだった。


 「熱々うどんに醤油と生たまごー、伊勢うどんー、食べたいなー。」

 みぃちゃんが高らかに歌う歌声が、人が減りひっそりとした大地に響いていた。

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