王都へ
王都へ(秋人視点)
セロンの膝の上に頭をのせて欠伸をした。
眠い。
がしかし、馬車の荷台は寝心地が最悪で眠る事なんて出来そうにない。
ガタガタと下からの振動が伝わってきて、凄く心地悪い。
一応、スキルの『剛体』のお蔭で痛くは無いんだけど。
まてよ?
俺のちん◯にはスキルの『剛体』は作用してないのか?
剛体は、体の頑健さが増すというスキルなのだが、
俺のちん◯はいまだに、超敏感だった。
昨日の夜も、お別れ会と言う名の、エッチなパーティーだったのだけど、
俺は四人に良い様にやられていた。
エルザが、
『秋人を舌だけ使っていかせてみようよ!』
と言い出して、俺のちん◯は四人がかりでレロレロられるとあっさり発射してしまった。
レロレロされて発射するまでは10秒とかかっていない。
なんなんだろう。
この早さは。
その後も、飛び出たアレとちん◯とをドニーに、ジュルジュルされて直ぐにオッキしてしまうし、、、。
「ハァ」
と、俺はため息を付いた。
「どうしたの?」
ヘンリエッタが言った。
薄目を開けると、俺の前に座る幼い顔をしたヘンリエッタが俺の顔を覗きこんでいる。
もちろん、早漏の相談なんて出来ない。
ヘンリエッタの容姿は幼く、また小柄であるため、中学生にしか見えないが、一応23歳だ。
じゃあ早漏の相談をしても良いかというと、もちろんそんな事は無い。
「大体よ、心配要らないって」
ヘンリエッタはそう言って手を振った。
ヘンリエッタは全然違う心配をしている。
「そうです、私もおりますので」
ヘンリエッタの隣に座る座るサーシャも違う心配をしている。
二人の心配事は、
俺がヘンリエッタの両親に会うことだ。
ヘンリエッタの両親とはもちろん国王と、王姫って事になる。
「それに、全然畏まらなくて良いんだから」
と、ヘンリエッタ。
まぁな、王位継承権23位のヘンリエッタの前でゴロリと横になっている俺は、心配されるまでも無く、誰の前でも畏まるつもりは無かった。
「この国の『国選彫師』は王族に対して対等でいて良いんだから。畏まる必要なんて無いんだよ?」
この『国選彫師』が王族と対等でいて良い理由は国の発起に依る。
この国の成立の立役者と言われる『ロウ』と呼ばれる人物は、この地に国を興した、この国の立国の王『ルード』の専属彫師で、二人は親友だったらしいが、『ロウ』はかなり、ざっくばらんな性格だったらしい。
礼儀作法に無頓着で、気に入らない相手は、相手が誰であれ殴り倒したらしい。
しかし、そんなロウを後の国王ルードは親友だと呼んでいた。
その時の名残で、国選彫師は礼儀作法に無頓着でもわりと許される。
そして、王族は自分のお抱えの彫師を『国選彫師』として選ぶ事があった。
それでも、自分のお抱えの彫師を指名するのは王位継承権10位以内が普通らしいが、
ヘンリエッタが太鼓判を押してくれた。
というか、国王と王姫はヘンリエッタにかなり甘いらしく、
『ヘンリエッタ様が頼めばまず間違いない』
とサーシャが言っていた。
そしてヘンリエッタは、
自分の胸を揉みながら、
「フッフッフ、順調、順調!」
と言う。
すっかり怪しい人になってるヘンリエッタだが、
自分の体が最近大きくなってきたのがとても嬉しいようだ。
ヘンリエッタは体と容姿とが凄く幼いのが、
その原因が、脳に溜まった水だった。
俺はそれを、右手の法印の全てに魔力を通して発動出来る『万象』で探って、左手の法印全てに魔力を通して発動出来る『神癒』で治したのだ。
それからヘンリエッタとサーシャは俺の事を信用してくれる様になった。
俺が、ヘンリエッタのツルツルペッタンの胸を哀れんで、神癒をかける時に、胸が大きくなるように祈りながら頭の中の水を取り去った影響だろうか、身長はそんなに伸びてないが胸はどんどん大きくなっているらしい。
「お母様みたいにバインバインに絶対になるんだから!秋人だって、そんな、『うんうん、微笑ましいなぁ』なんて顔出来なくなるんだからね!」
ヘンリエッタが俺を指をビシ!と指差して言った。
「うんうん、そうだな」
俺はそう言って小さく頷く。
ヘンリエッタは少しは体も大きくなってきた様だか、
まだまだ幼く見え、年上といった感じがしない。
ヘンリエッタは俺に子供扱いされた様に感じたのだろう、
悔しそうに俺を睨んでくる。
が、隣に座ってるサーシャも微笑ましそうにヘンリエッタを見ている。
馬車はカロイラ村を出て、ゴトゴトと王都へと向かって走っている。
王都へはリーザオ王国へ行く前に少しだけ寄る予定だったんたけど、ヘンリエッタの国選彫師になった為、どうしても国王に顔を見せろと言われてしまった。
国選彫師になるとどうやら義務が発生するらしく。
彫りの出張サービス。
戦争時の召集。
この二つだ、
しかし俺は、ヘンリエッタのお抱えの国選彫師なので、
出張サービスはヘンリエッタだけにすれば良いし。
ヘンリエッタが俺を呼び出さない限り戦争にも関わらなくて良いらしい。
これにはホッとした。
この国と隣の国のリーザオ王国との間で戦争が起こるって噂があるからだ。
戦争に加担なんてしたくない。
ぞれで、本当ならこれから戦争をするかもしれない国になんて行きたくないんだけど、王都へ行った後はそのリーザオ王国へ行く予定だった。
理由は3つ。
一つ目の理由は
レベルアップ!
嫁に毎晩迫られて体力の続かない俺は、レベルを上げる事でなんとか体を持たせようと考えていた。
そしてレベルは色んな種類の魔物を倒した方が効率が良いという事なので、アズルトのオススメのリーザオ王国に行く事にした。
二つ目。
セロンの仲間。
セロンは2年前まではリーザオ王国に住んでいたが、略奪や拉致などに頻繁に合って困っていた。
その時、リーザオ王国で魔物が大発生した。
リーザオ王国の国王がドラゴンを殺した為だ。
ドラゴンが殺された時にドラゴンの体から解き放たれた魂は魔物となって国に氾濫した。
その混乱に乗じてセロンは村人を伴ってこの国に、スヴェン王国に逃げてきたのだ。
リーザオ王国から逃げる時には全員一緒に逃げ出したので、村はもぬけの殻の筈だが。
もしも、拉致された先から逃げてきて、村に誰も居なくなっていたら途方に暮れていることだろう。
だから一度戻って村を出る見てみたいとの事だった。
そして三つ目。
ドラゴンだ。
孤児院の畑にドラゴンが現れたのだ。
子供を連れたドラゴンは、村の祭壇で親子仲良く『モシャモシャ』した後、孤児院の庭に降りた(ユリナが手間暇かけた野菜がダメになり、ユリナは激怒していた)。
そしてドラゴンはなんと、頭の中に直接話し掛けてきた。
『念話』
という技術でそして俺も使う事が出来た。
そして、会話の中で出てきたのがじいちゃんだった。
畑の中にいるドラゴンを見つけ、
慌てて部屋を飛び出すと、
畑の野菜を『モシャモシャ』していたドラゴンが俺をじっと見つめてきた。
前にドラゴンに会った時、話し掛けても無視されたので、
俺もドラゴンをじっと見つめてると、
『ゲンの奴はどうした?』
と言葉が頭の中に響いた。
俺は、
『逝ったよ』
と念話で返す。
ドラコンは寂しそうに、『グルル』と喉を鳴らした。
大人ドラゴンは赤褐色の2階建ての建物程の大きさで、日本風ではなく、西洋風の体躯をしている。
子供ドラゴンは軽自動車ぐらいの大きさで、白い肌をしていた。
それから何度か『念話』で話し掛けたのだが、ドラコンは俺の質問に答える事なく、自分の言いたいことだけ言って去った。
『エダマメに会え!』
『え?枝豆?』
『そうだ!エダマメ』
そして俺に枝豆の場所を教えると、二匹のドラコンは去った。
その枝豆の場所がリーザオ王国にあるそうだった。
枝豆ねぇ。
まぁ、好きだけどさ。
読んで頂き、いつもありがとうございます。




