レラトとレイナ。
レラトとレイナ
嫁が三人も居ると中々辛い所がある。
主に体力がだが、他にも睡眠時間がガシガシ削られていく。
俺は嫁と代わる代わるエッチをするのだけど、嫁は3日に1度しかエッチが出来ない訳だ。
そうなると会った一日に嫁は爆発するわけだ。
二日間溜めていた欲求を発散させる。
夜はもちろん朝もする。
夜の『お久し振りね』エッチと、朝の『さよなら』エッチ。
体がもたない。
てか眠い。
連れ込み宿の前でエルザと別れると、眠い目を擦りながらトボトボと歩いた。
朝エッチは出来たら止めて欲しいんだけど、そんなこと言ったら絶対にキレるだろうな。
たまにはグッスリ眠りたいよ。
このままじゃ、体がもたない。
早く魔物でも殺してレベルを上げよ。体力が上がれば大分楽になるでしょ。
自分の部屋で仮眠でも取ろうかな?
なんて思いながら、孤児院の近くまで来ると、人が何人か集まっているのが見えた。
見慣れた人と、見慣れない人、最近知った人も居る。
ヘンリエッタとサーシャさん。あとアズルトだ。
後の二人は分からない。
トボトボと近付くとヘンリエッタが一番最初に俺に気付いた。
へンリエッタがパタパタと手を振って、サーシャさんは頭を深く下げると、二人は俺の方へと近付いて来た。
「あれ?予約は夕方だったよね?」
「うん!でも来ちゃった!」
来ちゃった。って、どうすんの?
「申し訳ありません、ヘンリエッタ様に変化があり、喜びのあまりこうして訪問してしまいました」
「どう?私の変化に気付かない?」
アンリエッタは小さな胸を張ってどや顔をしている。
「分かるはずがございません。秋人様、ヘンリエッタ様のご身長が0.2ミリほど伸びたのでございます」
アンリエッタが勝手に喋ったサーシャさんを咎めるような目で見たけど、
0.2ミリって、、。
「でも、朝は身長が高くなるんでしょ?」
重力の関係で朝に身長を測ると高くなっているはずだ。
「その事を知っているとはやるな秋人!」と言って、ヘンリエッタは驚いた顔をした。
「それを考慮しても若干ですが高くなっているんです」
「0.2ミリでしょ?」
「毎日測っているから間違いない!」
とへンリエッタは再び胸を張って、サーシャさんは小さく頷いた。毎日測っているって、、、。それに毎朝付き合ってるのか?サーシャさんは。
「髪の毛一本分か、、、」髪の毛一本分背が大きくなっただけで、こんなに喜んで、、、。「不憫じゃのう」
右手の法印全てに魔力を込めて『万象』を発動させると、へンリエッタの頭を触った。
へンリエッタが抵抗しなかったのか魔力がすんなり体の中に入り、頭の中の様子が分かる。
「またちょっと溜まってるな」
「え?」
左手の法印に魔力を込めて『神癒』を発動させる。
結局同じ所に水が溜まっている様だ。
もしかして、水が溜まっている袋自体を無くした方が良いのか?
袋が無くなるように、成長ホルモンが分泌するように、念じながら『神癒』の力を頭の中へと入れていく。
へンリエッタとサーシャさんが心配そうに俺を見てる。
「またちょっと水が溜まってた」
「大丈夫なんですか?」
「多分、今までもずっと水は溜まってた訳だから、大丈夫。溜まったからどうなるとかは多分無いよ。でも、夕方もう一回様子を見てみようか?」
俺がそう言うと二人は安心した面持ちで、サーシャさんは深く頭を下げた。
「お礼はどのようにでも致しますから、仰ってくださいませ」
「いいよ、『国選彫師』にしてもらっただけで十分だ」
「今のは何?」
いつの間にかにアズルトがこっちを見ていた。
「なんでもねぇよ!」
手を振って『あっちに行け』のジェスチャーをする。
それでもアズルトはニコニコしながらこっちに近付いてくる。
「良いじゃん!教えてよ!」
「やだ!お前は胡散臭い!!」
「そんな」アズルトはガックリ肩を落とした。「みもふたもない」
アズルトを無視して孤児院の入り口を見ると見慣れない二人がヤンキーユリナとなにか話してる。
「あれ誰?」
「領主代理の奥さんと娘さんだよ」
アズルトが答えた。
「なんでお前知ってんの?」
「それは、僕がこの村の領主代理に呼ばれて来たから。奥さんのレラトさんはとっても好い人だよ。領主代理は頭おかしいけどね」
「どうおかしいの?」
「相場の五倍で入れ墨を彫って、その内の2割を持ってこいってさ」
「なんだそりゃ?」
「だろ?秋人がいるのにさ。誰が僕の所に来るんだろうね?」
なんて話してると、ヘンリエッタが頭を覗かせて来た。
「領主代理は本当にそんな事を言ってきたのか?」
「内緒だよ?」
アズルトはヘンリエッタの事を子供だと思って、口に指を当てて、『シィー!』 なんてやっている。
けどそいつ、23歳の王位継承権を持った王族だからね?
そう心の中だけで突っ込んだ。
「秋人!」
ヤンキーユリナが俺の存在に気付いて、スキル『咆哮』を発動した!
俺はヤンキーユリナにビビって普段の力が出せなくなる!
「ハ、ハイ!何ですか?!」
「こっち来い!」
おずおずと三人に近付いた。
ユリナは両腕を胸の前で組んで、領主代理の奥さんと娘さんを睨んでいる。
「どうしたの?」
「貴方が秋人さん?」
背の高い褐色の肌をした美人さんが俺に向かって言った。
「そうだよ」
「お会い出来て嬉しいわ。わたくし、レラトと申します。こちらはレイナ」
レラトさんは隣に立つ女性の腰に手を当てて言った。
レイナさんはレラトさんより少し背が低いだろうか。でも、お母さん似の美人さんだ。
レラトさんは切れ目でキレイ系の美人さんで、レラトさんは可愛い系の、大人しそうな美人さんって、所かな。
「美人姉妹って言いたくなるけど、レラトさんがお母さんなのかな?」
「あら、ありがとうございます」レラトさんは微笑んだ。「そうです。既にご存じな様ですが、この村の領主代理である。カリフォの嫁をしておりました。レラトと申します」
レラトさんは深く頭を下げた。
「何の様で此方まで?」
「秋人様にお会いするためです。秋人様は尊敬するに値するお方かと思いまして」
ユリナが何故か勝ち誇った顔をして、「でも、悪いが帰ってくれ!」と言った。
「カリフォとは縁を切って此処に参りました。お話だけでもお話だけでも、、」
「駄目だ!」ユリナが言うが、
「良いよ?中に入ろうか?」俺が了承する。
「秋人!」
「その代わり、色々答えてもらおうかな?」
と俺が言うと、ユリナが「洗いざらい吐くんだぜ?」って、警察みたいた事を言った。




