表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で彫師になる  作者: ユタユタ
龍人
51/66

憲兵達。

憲兵達




「マットさん、大丈夫ですよね?」


ガレットが聞いてきた。

王都から来た兵士達がこの村の事を色々と探って行った。

大丈夫な訳が無いがこいつには分からないらしい。


「領主代理はな。身に覚えがないと言っちまえばなんの問題も無い。俺らは、領主代理に『犯罪の疑いのある村人を教えはした』しかし、その村人が本当に犯罪を犯したと決定したのは領主代理だ。追徴課税を払えと言ったのも領主代理だ。俺らは領主代理から見返りに金品を受け取った訳じゃない」

「お給金は上がりましたけどね」


ガレットの脛を蹴りあげた。


「いって!」

「そういう余計なことを他で言うなよ」

「もちろん言いませんよ!」


ガレットは脛を手で撫でている。


「給料は上がったかそんなに上がった訳じゃない。せいぜい10%ほどだ。領主代理が溜め込んでいる金額のせいぜい1%。俺らを裁くのは無理だろう」

「じゃあ、問題は?」

「ギリーだ」

「あの行方不明になった彫師の?」

「殺されたに決まってるだろ!」


この村の彫師だったギリーは、素行が悪く各所で問題を起こしていた。窃盗、暴行、強姦など。

その問題をうやむやにしたり、無かったことにしたりと世話をやいてやった。

その見返りとして金品を受け取っていたのだが、受け取りにはサインを必ず求められた。

ギリーは、頭の悪いあの領主代理とは違い狡猾だった。


「でも大丈夫じゃあ無いです?だってギリーが居なくなって大分経ちますよ?」

「確かにな、あの帳簿が見付かれば、俺達は即逮捕だからな。俺らが捕まらないという事は、あの帳簿が見付からないって事だ」

「そうですよ。たとえ何を聞かれても、知らぬ存ぜぬを決め込めばなんとかなりますって!」

「しかし、あの帳簿が無くなった訳じゃない」

「まあ、そうですけど」

「ギリーの性格を考えても、絶対に空間魔法でしまって、常に持っていたに違いない」

「今頃王都でプラプラしてんじゃないですか?」

「家を探されて、死体が見つかって、挙げ句に指名手配されてか?」

「じゃあ、隣の国のリーザオ王国でプラプラしてるんですよ。大丈夫ですって」

「誰かに殺されたんだよ!そうじゃなきゃ、家を綺麗にして、死体を土にしっかり返して、その上で家を出ていくに決まってるだろ!」

「じゃあ誰が殺したんです?殺したのなら、何で俺達を脅しに来ないんですか?『ばらされたくなければ金を出せ!』って」


確かにその通りだった。

俺らはこの村の住人から嫌われている。

大体の村人が俺達を貶めたいと思っているだろう。


「それに、もしも殺したのなら『俺が殺した!』って名乗り出ても良いじゃないですか。ギリーは殺人も犯していて、そのギリーを殺したのなら、もちろん罪には問われないですし、むしろ英雄ですよ?」

「名乗り出ることが出来ない理由があるはずだ」

「まぁ、その可能性も無きにしもあらずですけど。でも、名乗り出ない理由は何だと思いますか?」

「分からん」

「じゃあ、そのギリーを殺したのは誰なんですか?」

「分からん」

「じゃあ、どうしようもないじゃないですか!諦めましょうよ。考えるだけ無駄ですよ」

「でもだな!ギリーを殺した奴があの帳簿を持っている!これは間違いない!間違い無いんだよ!」




(秋人視点)


あのギリーとかいう、クソ彫師。

ぶっ殺しておいて本当に良かった。

この村の彫師だったギリーという男は俺の嫁である、ドニーにオイタをした為、お亡くなり頂いた。

その時にギリーが空間魔法で持っていたアイテムを全て俺が頂戴したのだが、その中にたくさんの神木の樹液があったのだ。

 これが無かったらとっくに神木の樹液は無くなっていた。


「はい、終わり」


入れ墨を彫っていた場所を『神癒』を発動させた左手で叩いて治した。


「ありがとうございました」


客ははそう言って立ち上がると服を着た。

客にバイバイをして見送ると部屋を片付ける。

とは言っても、カナリアがほとんどやってくれるんだけとね。

俺は片付けが苦手で、面倒になると、兎に角全て空間魔法で仕舞ってしまうという悪癖があった。

それを見かねたカナリアが片付けをかって出てくれた。

前のこの村の彫師だったギリーから頂いたアイテム一式だって、目ぼしい物だけ取り分けて、後は適当に放り込んであるだけだ。

整理しなきゃな。


「お疲れ様です!」


カナリアが部屋に入ってきた。

早速片付けてくれるのだろう。

初めて会った時のカナリアは。それはもう、ガリガリで。

というか死にかけていた。

それが今は、顔の血色も良く、肌にも張りがある。


「胸だってどんどん大きくなってますよ」何かを察したカナリアが言った。「ユリナお姉ちゃんなんてすぐに抜いちゃいますよ」


カナリアは死にそうだった所を俺に助けられて。

俺の事が好きになったらしいのだが、なんせまだまだ子供。顔立ちも幼いうえに体も小さい。

まぁ、胸は少しは大きくなったのかもしれないが。

チラリとカナリアの胸を見る。

ユリナをすぐに抜く事は出来ないな。ユリナの胸も徐々に大きくなっているのだ。


「まっ、もっと、大きくなってからだな」

「胸がですか?」

「違う!年齢」


それからカナリアの頭を撫でて、『いつもありがとな』って言うと。カナリアは嬉しそうに笑った。

笑い顔見て、『まだまだ幼いな』なんて思った。

その幼いカナリアはテキパキと部屋を片付けている。

カナリアは自分達より幼い子供達の面倒を見て、俺の部屋の片付けをし、俺の入れ墨の予約の管理までしている。

入れ墨のカウンセリングに来る客にはお茶も出してくれる。

しっかりしている。

まだまだ幼いのにな。

プライベートな時間なんて無いんじゃないか?

ん?まてよ。それって、俺のせい?

よく考えたら俺に関する仕事が多いような、、、。

俺ってカナリアに迷惑な潜在的だった?

カナリアに聞いてみようとカナリアに口を開けかけた時に、


『ドラゴンだ!』


部屋の外で子供達が声を上げた。


「へぇ、この間来たばっかりなのにな」

「本当ですね。もしかしたら卵が孵ったのかもしれませんね」

「そうなの?」

「そうですよ」


カナリアはそう言ってまとめた俺の道具を俺へと差し出した。

俺は右手の空の神字に魔力を込めてその道具を閉まった。


「良いな、私もドラゴン見てみたいな」とカナリアが言った。

「えっ?まだ見てないの?」

「忙しくて、、、」


カナリアは少し疲れた顔をして言った。

確かにな、子供の面倒、俺の面倒に、俺の面倒。

ドラゴンを見に行く、そんな余裕なんて無いか。


「よし!じゃあ見に行こうぜ!」


俺はそう言って窓を開けるとカナリアを抱えた。


「えっ?!でも!仕事が!」

「大丈夫!なんとかなるって!」


重力魔法の第二階位を発動させ、重力のクザビから解き放たれると。窓枠を蹴って空を飛んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ