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異世界で彫師になる  作者: ユタユタ
龍人
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正真正銘21歳なんだそうです。

正真正銘21歳なんだそうです。(秋人視点)



ヘンリエッタちゃんを泣かしてしまうと、侍女のサーシャさんにめっちゃ怒られた。

どうやら本当に21歳だそうで、しかも幼く見えるのがコンプレックスらしくヘンリエッタちゃんは今もぷるぷる体を震わせて怒っている。

ちなみに、どうして21歳だというのを信じたかというと、胸にある法印だ。

怒ったヘンリエッタさんが自分のブラウスのボタンを外して胸にある法印を見せてくれたのだ。

その法印、入れ墨は少し色褪せていて、彫ってから数年経っているのが分かった。しかも書かれてる神字が崩れていなかった。体が小さいうちに入れ墨を彫ると体が成長した時には当然入れ墨が横に伸びたりして崩れてしまう。

これは、数年前に入れ墨を彫ってから、体が成長していない事の証拠だった。

年齢はともかく、体が大きくならないなら入れ墨を彫ることもやぶさかではない。

しかし胸の谷間を覗いたわけだがやっぱり

『ツルツルペッタン』

だった可哀想に。


「そのぅ、両親とも身長は低いの?」

「いえ、お父様、王様は高身長ですし、お母様も高くはありませんが決して低くはあれません!」


侍女のサーシャさんが答えた。

ふぅん、成長ホルモンの分泌が生まれつき少ないのかな?

成長ホルモンって、

下垂体だっけ?


「えっと」


どうしよ、『神癒』で治るのか?

そもそもこれは異常なのか?


「どうしよ」成長ホルモンが分泌しないとしたら、「ヘンリエッタさんは、怪我とかすると、傷の治りが遅かったりする?」

「少し遅いです」


サーシャさんがポカンとした顔をして答えた。


「どうしようか」


そもそも俺は医者じゃあ無いからな。

別に何もしなくても怒られる筋合いも無いけど。


「どうしようも!こうしようも!あんたは黙って入れ墨を彫れば彫れば良いの!」


ヘンリエッタが立って怒った。

さてさて、


「じゃあさ、昔、頭に大きな怪我した事ある?」

「あんたは人の話を聞いてるのか!!」


ヘンリエッタが怒鳴る、小さい体から大きな声が出るのね。

サーシャさんが後ろで首を振った。


「よし!じゃあ、ダメもとだから、何が起きても気にしないで」

「人の話を聞けー!」


ヘンリエッタは元気だな。


「あとこの事を誰にも言わないこと!」


俺はそう言って右手の法印全てに魔力を込める。

ヘンリエッタは疲れたのか項垂れている。

丁度良い。

右手の法印で発動できる魔法。『万象』を発動させた。

ヘンリエッタとサーシャが魔法の発動に驚いて身を屈めるが問題ない。

『万象』でヘンリエッタの体の内部を探る。

でも、人体の内部って魔法が入りにくいんだよね。

MPを注ぎ込んで頭の中を探る。

と、


下垂体ってどこだ?


いやいや、そうだ!

そもそも俺医者じゃあないし!

分かるわけがない!

って事は、かっこだけつけたけど、本当にダメ元で、ダメだった系?


その時サーシャさんと目が合った。


そうだ、サーシャさんと比べればいい!

サーシャさんの方へも『万象』を広げてサーシャさんと、ヘンリエッタさんの脳を比較する。

ん?

ヘンリエッタの頭の中央らへん、水が溜まってるかも。

『万象』を解除すると、額の汗を袖で拭った。


「キツい!!」


結構MPを消費してしまった。


「何をしたの!」


ヘンリエッタが大きな声を出す。


「あぁ、疲れた」


俺はカナリアが持ってきてくれたお茶を一気に飲み干した。

旨いな。

ちゃんと時間を掛けて作ってくれたのが分かる。


「ちょっと!!何をしたの!」


ヘンリエッタは本当に元気だな。

あぁ、このお茶をもう一杯飲みたい、疲れてしまったようだ。


「えっと」


俺はヘンリエッタの顔と、ヘンリエッタの前に置かれたお茶を交互に見る。


「このお茶もらっても良い?」

「だから!何をしたか言え!!」


ヘンリエッタは怒ってしまった。

本当に、ヘンリエッタは元気だな。

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