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異世界で彫師になる  作者: ユタユタ
龍人
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怒られるようなことしました?

怒られるようなことしました?



「よし!じゃあ、バルザック!やるか!」


俺の事を無視して秋人って男が言った。

バルザックさんは装備を外すと上着を脱いだ。

分厚い筋肉に覆われた胸板が露になる。

しかしそこには俺が予想した入れ墨が無かった。胸の中央に『治癒能力上昇』のスキルが彫られているだけで、身体能力上昇の法印は一つも無かった。

法印無しであの強さかよ!あり得ねぇ!

俺の体には、力、敏捷、体力、治癒能力、それぞれ上昇の法印がレベル2まで、右手には重力魔法レベル1が彫ってある。

という事は、バルザックさんは法印無しで、力、敏捷、体力が俺以上あるということになる。技術も凄かったが絶対にそれだけではないはずだ。

これで法印を彫ったらフェタさんでも絶対に勝てねぇ。

それから秋人って彫師はバルザックさんの体に筆で文字を書き出した。

法印だろうか。

しかし、体に法印を筆で書くなんて聞いたことが無い。

彫師が法印を筆で書き終わると、バルザックさんは左手で法印を宙に描く。下腹部に書かれた墨を乾かしているようだ。

彫師は空間から木剣を出した。

そして上半身裸のままバルザックさんも木剣を構えた。

少し距離を取ったかと思うと、


『ガッ』


いきなり木剣と木剣がかち合った!

見えねぇ!

動きを目で追おうとするが間に合わない、土を踏む音、木剣と木剣がかち合う音だけがはっきりと耳に入る。

思わず歯軋りをした。

あの彫師も間違いなく俺の数段上だ。

フェタさんの言葉。『リドの一万倍の価値がある』その言葉に腹を立てていたが、認めざるを得ないのかもしれない。


『ガッ!』


ひときわ大きな音を立てて木剣同士がかち合うとバルザックさんと彫師は木剣を下げた。

二人の呼吸は乱れた様子が無く、二人で何か話し合っている。

そのあとバルザックさんが下腹部の筆で書かれた法印を布で綺麗に消し、再び彫師が下腹部に筆で法印を書いた。

それを眺めてる他の冒険者三人組の内の一人に近付いて、


「あの二人は何やってるんだ?!」


と聞いた。


「あぁ、秋人はいつもああやって、実際に彫る法印を体に書いて、実働を確認してからじゃないと体に彫らないんだよ」


と気さくに答えてくれた。

普通、経験を積んだ彫師は一発勝負で入れ墨を彫ってしまう。

こうやって、試し書きをしたり、確認をしたりするのは彫師としてのの経験が浅い証拠だった。


「なんだそりゃ?どんだけ自分の彫る入れ墨に自信が無いんだよ?」


と、鼻で笑ってやった。


「おい!」


三人組の雰囲気がいきなり変わった、殺気を感じる!


「お前は、何処から来た?」

「いやぁ、王都だけど、、、」

「少し稽古を付けてやろう!」


三人組の中の厳つい顔をした男が言った。


「いや、エルンストさん!先ずは俺が行きますよ!」


一人の男が前に出て言う。


「そうですね、ダグラスの後が俺。エルンストさんは一番最後って事で」


また別の一人が言った。


「俺のレベルなんてたったの9だ」ダグラスと呼ばれた男が言う。「なぁに。俺なんて大したこと無いさ。なぁ、嫌だとは言うなよな」


三人が俺に近付いて睨んでくる。

えっ?怖いんですけど、、、。

あれ?俺怒られるようなことした?

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