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異世界で彫師になる  作者: ユタユタ
彫師になろう!
3/66

ドニー

その2 ドニー




歳は23歳。身長は160ぐらいだろうか。体重は53ぐらい。バストはGぐらいかな。


「人の体をじろじろ見てんじゃねぇよ」

ドニーに言われる

「いや、結構当たるんだよ。」おっと、バストが大きいプラス1キロだ。

「何の話だよ」


そう言ってドニーはため息をついてグラスを机に置いた。ドイツの民族衣装を着ている、大きな胸がさらに強調されている。全くけしからん!

ドニーはさっき助けさせられた女の子だ。あのあと、ドニーの家族で経営している宿に来ていた。


「さっきの人達は大丈夫?また来るって言っていたけど」

とりあえず話をずらす。

「まぁねしょうがないよ、客商売してたらどうしたってさ」

「ふーん」そんなもんかな。

「それより、あんたは何処から来たんだい。見慣れない格好だけど」

「そうなんだよ」待ってました!この質問。「それがさ!俺にも分かんないんだよね」

「なにいってんの?」


ドニーは若干嫌そうな顔になる。そりゃあ厄介事く首を突っ込みたい人間は居ないだろう。だが離さん!


「いや、聞いてくれよ」

「いやぁ、今日はありがとね。じゃあこの辺で、、」ドニーは椅子から立ち上がった。

「ちょっ、ちょっ、待ってよ」俺は立ち上がって、かぶせぎみに言う。「さっき助けたじゃん!今度は俺を助けてよ!」

「ガン見したからチャラだよ、チャラ!」

「いや、みてねーし!全然みてねーし!」


何処を?と聞かれると困るのだが。

ドニーは俺の目を見たまま体を揺らす!その瞬間を見逃すまいと視線が下へ動く!プルンプルンしてるぜこいつ!!


「ほら、やっぱりみてんじゃん!」

「、、、、」


ぐうの音もでねぇ。良いものを見せてもらった。しかし!ここで終わらす弱い男では無い!


「ここは宿屋なんだろ?」

「まぁ、そうだよ。泊まる?それなら少しは相談にのつてもいよ。一泊大銅貨8枚」


あー。金ね。そうだよね。終わったか、、、。


「住み込みで、、、」


ダメもとで聞いてみる。


「、、、」


ドニーはじっとした顔でこっちを見る。よく見ると可愛い顔してる。黒目黒髪のアジア系美人だ。髪を後ろで束ねて、肌は白く、ほほには少しそばかすがある。


「あんた彫師なんだけ?」

「そうだよ!」


そうだ!彫る代わりに泊めてもらう的な!


「ちょっとお母さんに聞いてくる」


そう言ってドニーは厨房へ歩きだした。

ふぅ、と一息つく。もう一度椅子に座るとグラスを持った。グラスは半透明であまりしっかり精製されていないのが分かる。触った感じもざらざらしていた。

中の水を少し口に含む。硬水だ、そこまできつくはないけれど、やっぱり軟水のほうが良いな。まぁ、でも飲めないこともない。全部一気に飲み干すと背筋を伸ばした。

ドニーは話し込んでるようなので背中に背負ったリュックを下ろす。中身を確認することに。リュックの存在にはさっき気付いたのだけど、なかなか中を確認するタイミングが無かった。

どれどれ、リュックは昔登山用にかったリュックだったモスグリーンのどうでもいい安物のリュック。紐をほどいて中を確認する。

出てきたのは、まずはダマスカスナイフ。20センチ程の黒い刀身に銀色の刃紋が幾重にも重なっている。前にじいちゃんに無理を言って買ってもらった物だ。

その次に出てきたのは下着類だ、ボクサーパンツとシャツが三枚づつ、あと手拭い、、、。手拭いの中から金塊が出てきた。どうしよう。とりあえず隠す。全然貴重品じゃあ無い可能性もあるからね。というか、ただの鉛の可能性が高い。でもまぁ詐欺にぐらいなら使えるだろう。背にはらは代えられん。

次に、黒い箱が出てきた。中を確認するまでもなく中身が分かる。じいちゃんの手彫り用の道具一式だ。

じいちゃんは入れ墨彫師だった。厳しいけど優しい人たったと思う。

俺が物心つく頃には、俺とじいちゃんの二人暮らしだった。俺ら以外はわりと早めにさくっと亡くなってしまったらしい。話したくい無かったようで、ほとんど何も知らない。息子夫婦が死んだ話なんてしたく無いよな。

ちょっと後悔してるけど、でも聞けなかったよ。

じいちゃんは入れ墨を彫ることで俺を養ってくれた。彫り師としてはそこそこ有名だったように思う。どっかの組長さんとか来てたり。一緒に飲みに行っていたり。

俺はじいちゃんみたいになりたいって思った。皆はさ、きっと色々思うだろ?お父さんみたいに会社で頑張りたいとか、お母さんみたいに料理が上手くなりたいとか、凄い良いことだよ、家族を養うって、家族に美味しいものを食べて欲しいって。あと、じいちゃんみたいに強くなりたいとか。婆ちゃんみたいに優しくなりたいとか。凄い素敵だと思うよ。

でも俺はじいちゃんしか居なかったんだよ。

もちろんじいちゃんの事は大好きで尊敬してる。彫師になりたいって思った。でも、他に何にに成りたい?て聞かれるとわかんないんだよね。じいちゃん以外の背中を見たことが無い。

きっと、じいちゃんはそれをわかってたんだよね。二言目には良く『仕事なんざ何でもいい』って言ってた。『生きて行けりゃあ何だっていいんだ』って。『彫師以外にも仕事はある』って。

でも!じいちゃんみたいになりたいって思った。彫師になりたいって思った。強くなりたいって思った。

じいちゃんははなんだかんだ言ってそう言れるとと喜んでいた。やべ、思い出したら泣きそう。

黒い箱をリュックに戻す。


「あんた彫師なんだって?」


かっぷくのいい女性がそう言った。ドニーのお母さんだろう。髪の毛の色と目野色が似ている。全体的にボンボンボンだ。少し期待していたためショック。


「そうだよ」


すっかりテンションが落ちていた。


「朝晩の配膳を手伝うなら飯二食と倉庫を貸してやる」


むすっとした顔で腕を組んでそう言うが怖さは無い。○の組み合わせで全身書けそう。


「あっ、ありがとうございます!」


いっきにテンションを上げる。行くところが無いのを忘れてた。


「少しでも面倒起こしたら出ていってもらうからね!」

「はい!頑張ります!」


放り出されてはたまらない、やる気を見せることにした。

それから少しドニーに色々教えてもらった。

この国の名前はスヴェン王国に属するカロイラという村らしい。主な産業はそこそこ採り尽くした坑山と、農業、山の魔物からは結構良い素材が取れるらしく冒険者が多いらしい。腰の木刀を見て、てっとり早く稼ぐなら冒険者がいいと言われた。

通貨は小銅貨、大銅貨、小銀貨、小金貨の順らしい。小銅貨が100円ぐらいだろうか、大銅貨になると◯が一つ付き、小銀貨になるともう一つ◯が付いて、小金貨だとさらに◯が一つ付く。そんな感じ。それ以上は宝石を使うようだ、ちなみに、宝石の売買には国選の鑑定士のサインが必須だそうだ。

他にも色々聞いた。トイレは水洗だ、ただし水は魔法を使って流してるらしい。調理に使う火も魔法を使うようだ。薪は暖房以外ではあまり使わないみたい。可燃性のガスは使わないのかと聞くと、『嘘でしょ!何言ってんの!』って顔をされた。

1日は24時間で一年は394日らしい。惜しい。

現在はスヴェン王国暦185年4月8日11時ぐらいだそうだ。

それから魔法を教えてもらった。水魔法と火魔法だ、これでトイレの水を流すのと、簡単な洗濯とその乾燥とできる。魔法は簡単だった、魔力を理解するのに魔力を流されたのがめっちゃ痛かったけど。


あぁ、どうしよ、ヤバい。ここ地球じゃあ無いよどうしよ。




ゴブリンにどこどこの農作物を荒らされてとか、魔法がどうだとか、 平静を装いながら驚きの連続だった。とりあえず記憶喪失という事にした。

「いやー。記憶喪失つらいわー」と言うと。白い目で「ふーん」と言われた。信じてねぇなこりゃ。

マイルームを紹介してもらった。そこは農機具とかをしまう部屋で、床は土だった。藁だったら馬小屋から適当に持ってきて良いらしい。直床では何とか寝ずにすみそう。金のない冒険者はだいたいこんなんらしい。凄いね。皆丈夫だね。

夕方までは好きにして良いみたい、そっこーで冒険者のギルドに行く事にした。こんな生活続けられんよ。いつの時代も求められるのは楽して稼げる仕事だよ。

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