首輪
首輪(セロン視点)
服は迷わなかった。
入った店で要望を伝えると店員が上手くコーディネートしてくれた。
下着は扇情的な物を選んで。上着は白がメインの清楚な感じの物にしたもらった。
今まではほぼ白い布しか身に付けて来なかった。
それに、あんな閉鎖的な村で流行なんか有るはずもないし。ただ、秋人の好きな感じは分かったような気はする。
それよりも!
大事なのが男心だ!
何であんまり私の体を見なくなってしまったのだろう?
もっと私の体を見て欲しいのに。
そして今は本屋に来ていた。
村だったら信用出来る人に相談もしたが、今は王都。
相談出来る人は居なかった。
そこで本屋だった。
「本が欲しい」
店主に聞いた。
「どんな?」
「男の心が分かるようになりたいのだ」
「相手との関係は?」
「私は秋人の奴隷だ」
「どんな関係になりたい?」
「その、男と女の」
それからも私は聞かれるままに答えた。答えにくい質問もあったが出来る限り答えた。
それからいくつかの本を勧められ、それらは秋人のくれた金貨でそれら全て購入した。
(秋人視点)
はぁ、何だかなぁ。
宿に帰る足が重い。色々エロい妄想をして奴隷をゲットしたけど、何が何だか分からなくなってきた。
店主に
『奴隷への暴行、性的関係の強制は違法だぞ!』
と言われた。俺はもちろん
『当たり前だ!そんな事するか!ボケ!』
と言った。
店主は、あれ?って顔をして、
『じゃあ何のために買ったの?』と言うから。『人を、命を買うとかキモいわ!お前!何とかお願いして奴隷様として来て頂いたに決まっているだろう!もちろん衣食住と安全、老後もきっちり保証する!当たり前だろ!このカス!』
『じゃあ、その奴隷様には何をしてもらうんだよ?』
『お前は何にも分かってないな!俺の選んだ服を着て貰って、その姿を隅々まで観賞するためじゃないか!』
そりゃあ、お許しが出るならちょっとエッチな事もしたくもなくもないわけじゃなくもないがな。
『じゃあ普通にそういう店に行けば良いじゃん』
、、、!
コイツ!!!天才か?!
『そうか、その手があったか、、、』
『というか普通そうだぞ?俺はお前はさぞかし変態プレイが好きなんだと思ってたぞ?』
『どんなだよ?』
『オシッ◯を、、』
『それ以上言わないでください』
そっち系はほんと勘弁です。
『大体は金の力で何とかなるぞ?三人同時とか?』
『嫁ならもう三人いる』
『今すぐ爆死しろ!』何故か店主に睨まれた。
それから、『もし、その奴隷様がお前と体と体の関係になっても良いと言ったら、お前さんはその奴隷を自分の嫁とした迎えてやるべきじゃあないのか?』
と言った。
確かにその通りだ。
自分が何をしたいのか分からなくなってきていた。
(セロン視点)
フッフッフ。
秋人の目的がやっと分かった。
あれは『おねだり』だ。私におねだりをしろと言っているのだ。
『私の体を舐めるように見てください』と私がお願いするのを待っているのだ。間違いない。
秋人は、『お前が見て欲しいと言わない限り見てやらない』そう決めていて。
私が『見てください』と言うのを待っているのだ!
しかし、想像しただけで頬が赤くなるのが分かった。
私の体を秋人が盗み見るというのは、秋人が見たくて見ているという事だ。
しかし、私が『おねだり』するのをというのは私が見られて興奮すると伝えるようなものだ。
私が秋人に見て欲しい。秋人に見られると私は興奮すると伝えることに他ならない。
そして、極めつけは奴隷宣言だ。
『私をあなた様の性奴隷にしてください』
本屋で買った本には挿し絵が多く書かれており。中の女性がそう懇願している。
数ページめくると女性の首には奴隷の証である入れ墨が彫られている。
「いいな」
口から自然とこぼれた。
それから挿し絵はどんどん過激になり、中の女性はロープで体を巻かれている。
その図はとても甘美なものに見えた。
私の透明になろうとする体を、引き止めてくれるに違いない。
きっと、きっと、私の体を。
強く、強く、引き止めるに違いない。
・
秋人が階段を上がってくる音がした。
ん?ちょっと元気が無いかな?
「秋人?」
顔だけ部屋から出して声をかける。
秋人は作り笑いを浮かべた。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと考えちゃって」
秋人は明らかに元気が無い。
「セロン。ちょっと話したいんだけど良いかな?」
来た!
来たぞ!
これぞ!テンプレ、テンプレ!
フハハハハ!良いだろう!最高にドキドキさせてみせる!
本で勉強した今の私に死角は無い!!!




