王都
王都
でっかいな。
それが王都を見たときの感想だった。三メートル程の城壁の向こうに先っぽの尖った建物がいくつもいくつも立っている。
城壁も凄く長い。東京ドームの、、、何個分だろ?
ダメだ。よく考えたら東京ドーム見た事が無かった。
この城壁の中に建物、居住区や、商店街。王様の住む城などがある。城壁の外は畑だ。不用心に感じるけど、しょうがないのだろう。畑まで城壁で囲むのは無理だ。
城壁の前では検問があった。ちょっとした行列になっている。
「そういやぁ、水魔法のその後はどうよ?」
暇潰しにバルザックに話題を振る。
「あぁ良い感じだ」
良い感じとはどんな感じか聞いて焦った。水魔法の効率をを上げる為にイメージを掴みたいと言うので『フロにでも入って考えたら?』と適当に答えたら。脱水で倒れるまでフロに入っていたらしい。
しかもその後魔法を発動させたら、凄く魔力効率が良く、ほとんど魔力を必要としなかったらしい。ただし、脱水のイメージで魔法を発動させていたらしく。
そこで再び脱水で倒れたらしい。
そりゃあ、体内にある水を使えば魔力なんて要らないだろうよ。
しかし、適当に助言しちゃあダメだね。イメージ一つで魔法が変わる。
そう、イメージなのだ。魔法は神字を書けば魔法が発動出来る訳では無い。神字とイメージが大切になってくる。
そして、それが俺にとって大きなアドバンテージになっていた。この世界は地球と似た物理法則なのだけど、どうやらこの世界ではそういう研究がほとんど進んでいない。貴族だったというバルザックも『水魔法には空気中にある水分を俺は使ってる』と言ったら、ポカンとしてた。話を聞くと、学校ではほぼ、算数と国語をやって、後は剣術がメインだったらしい。
もちろん光の存在なんてよく分かってない。分からないどころか、危険だと考えられているようだ。
光魔法ではもちろんあかりを灯すことも出来るけど、光を遮断して暗くする事が出来る。暗くなるということが死をイメージさせるのだろう。不吉な魔法だと思われ、簡単な明かりを灯すような使い方しかされていなかった。
この魔法があれば光を曲げて自分を見えないようにすることも可能だ。この夢の様な魔法。チェリーだった頃に知ったらどれだけ歓喜しただろう。フッフッフ私はもうチェリーでは無いのですよ!
「ニタニタしてないで行くぞ」
バルザックに言われてしまった。
受付では御者のおっちゃんが手続きをして、最後に俺とバルザックはギルドカードを提出するだけで大丈夫だった。
「結構簡単なのな」
「そうだな、どこかしらのギルドカードを持っていれば大体大丈夫だ。その代わりに、悪いことをするとギルドカードに記載される。気を付ける事だ」
「え?」
俺は大丈夫なの?この間、人を一人、、。
「お前のは正当防衛だろ?詳しくは分からんが、ギルドカードは罪の意識を感知するらしい。それが検査の結果に現れると、ギルドには居られなくなる」
「でも、罪の意識が無い奴は?」
「そうだ。どうしようも無い。この間、秋人がやったギリー。アイツの家から人間の骨が出てきた。ギルド長が『多分強姦して、殺したんだろう。土魔法で土に返したが、魔力が少なく骨が少し残ってしまったのだろう』と言っていた。アイツは多分罪の意識なんて無かったのだろうな」
「なるほどな」
「ギルドカードは万全じゃあ無い。だからこそ罪はしっかり罰せられる。罰せられる事を強調することで罪の意識を引き出している。気を付ける事だ」
それから武器屋を回る事にした。奴隷市場はあとで、俺はお楽しみは後に取っておくタイプだ。
それから武器や防具を売る店へと移動する。目につく適当な武器屋に入ると武器を一通り見る。無いな。
どれも直刀で両刃の物ばかり。
「おっちゃん!こういう剣は無いの?」
空間魔法でじいちゃんの形見の剣を出した。
「あぁ、昔流行ったんだがな。最近は見ないな」
顎に白い髭をやらしたおっさんが言った。
「何処に行けばいい?」
「オーダーメイドだな!」
そう言って地図を渡された。その辺に工房が有るから適当に当たれと言われた。
めんどくせぇな。
「バルザック?俺、嫌だな。面倒だから行ってきて?」
「わかった。でも責任は取れないぞ?」良いのかよ!
「おう!じゃあ宿で会おうな!」
必要そうな金を渡して別れた。
奴隷市場へ付くと店を探すが探すが店が見つからない。
おかしいなと思いつつ、諦めて適当な店で奴隷を扱ってる店を教えて貰う。が、めっちゃ白い目で見られた。
その店は少し分かりにくい処にあった。暗い店の前に三十代の男が立っている。
勇気と希望を持って近付いた!
「たのもう!」男の前に立って言う。「こちらで奴隷を扱っていると聞いたが本当かな?」
「あぁ、扱ってはいるが」
その男は俺の顔と体を怪しむように俺を見た。
「高いぞ?」
フッフッフッ!金ならある!入れ墨でで荒稼ぎしたからな!
「まあな」
「ふぅん、じゃあ見てくれ」
信じていないようだ。まだ訝しげにしている。
男の後ろを見ると簡単な布に身に纏う男達がいた。女が居ない。
「ん?女の子は?」
「居ねぇよ」
「え?なんで?!」
思わずキレそうになる。
「は?知らねぇの?この国では奴隷の売買は基本禁止だ」
「何で!」
何の為にここまで来たと思ってんだよ!
「ダメに決まってんだろ?!今の法律で奴隷は、犯罪奴隷しかいない。それに女の人犯罪者は全員労役だ!全ての人間は平等だ!それを金で!人を金で買って好きにして良いなんてダメだ!」
もっともな事を言いやがって!
「てめぇ!そりゃあもっともだな!」
ムカつくぜ!声が大きくなる!
「そうだろ!この国の現王が法で禁止したんだよ!」店員の声も大きくなる。
「何てこった!良い奴じゃあねぇか!」
どんどん声が大きくなる。人が集まってきた。
「そうだろ!尊敬に値する!お前のみたいなエロガキが!女性を玩具にしないように守ってるんだよ!」
俺達を見ようと野次馬がさらに集まってきた。
「同士よ!!」
「ど、ど、ど、同士?」店の男が男が慌てる。
「俺も国王を尊敬する。同士じゃあないか」ここは小声だ。
「ま、待て!」
「さぁ、同士よ!」大声で叫んだ。「俺は女の子とイチャイチャしたい!女の子の奴隷を紹介してくれ!」
「ま、まて!」野次馬が俺達を白い目で見る。
「さぁ!同士よ!」
「や、や、やめてくれ~!」
帰ってくれと言われてからが交渉だ。レオ○オさんの言った通りだな。




