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異世界で彫師になる  作者: ユタユタ
彫師になろう!
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レベルアップ

レベルアップ


ギルドに帰ると人が多くいた。エルザは新人の相手をして、ステータスをチェック出来る部屋は冒険者が順番待ちをしていたので先に買い取りカウンターを目指した。オラさんが次々と冒険者を捌くのを見守り自分達の順番が来るのを待った。

自分達の順番になると俺は奥の扉を指差した。オラさんは無言でドアを開けて俺達を中に入れるとドアを閉じた。

俺とバルザックで本日の成果を出した。


「グランアレニェを殺ったのか?」


オラさんのけむくじゃらの顔が驚愕に包まれる。


「まあね。二人がかりで何とかだけどね」

「二人ががかりでか!」オラさんは目を見開いて言うと。死体の1つ1つを眺めていく。「グランアレニェだがどうする?」


ん?どうすると言われても。


「どういう意味だ?」

「外骨格は防具に使えるし、肉はかなり美味だぞ」

「へぇ、じゃあ半分は俺の取り分は全部貰っておこうかな?」


バルザックは?と聞くと外骨格だけで良いと言っていた。


「おっちゃん?一本あげようか?」

「いいのか?!」


オラさんがめっちゃ食いついてきためっちゃ近い、怖い。


「いいよ。一本ぐらい」


そう言って一番小さい足をオラさんに渡す。


「奥さんも三人るらしいしさ」

「悪いな、今度からいろいろ優遇するよ」

「えっ!良いの?そんな事して」


「いいさ、俺だって、人間だ」えっ?そうなの?「たまには旨いもんもも持って帰らんとな」

「いあなぁ、奥さん三人もいて」


せっかくだ聞きたいことを聞いておこう。


「ここだけの話だが、ろくなもんじゃ無いぞ!」


オラさんは話に乗ってきた。


「やっぱりそうか」

「あぁ、女は集まると強くなる。家での俺の地位は一番下だ」

「やはりそうなるか、俺の恐れた通りだ」


エルザにドニー!二人の尻に敷かれてATM!


「そうだ、俺はこんな外見でな、女はずっと縁がなかったんだ。だから冒険者で一財産築いたら絶対に嫁は三人以上と決めていた」

「うんうん」

「でもな、嫁が増えれば増える程、当然生活は酷しくなる三人目の嫁は良いだろう。でも一人目、二人目はそうじゃ無いんだよ、分かるだろ?」

「分かるぜ」


ATMだろ?


「俺も分かっていた。きっとそうなる。でも、夢を諦める事が出来なかった」

「分かるよ、あんたは悪くない」

「今じゃ、生活費が足りないと罵られる毎日さ」

「何てこった」


可哀想過ぎる、もっと報われる道は無かったのか。


「ありがとうよ。話を聞いてくれて、でもな。良い方法がある」


オラさんが不敵な笑みを浮かべる。


「何だ!教えてくれ!」

「それはな、各村に嫁を一人づつにするんだ」

「天才か?あんた」

「ふ、まあな。俺はちょっと気付くのが遅かったがな。自分は王都を拠点に冒険者として活動して、会いたい嫁のいる村を転々と回る、これだ」

「良いのか?こんな奥義を教えて貰って?」

「良いさ!これなら嫁もそんなに強くはならないはずだ!」

「もう一本持っていってくれよ!」


グランアレニェの足をもう一本渡す。


「すまない!良いのか!」

「良いんだ。ありがとう。俺、頑張るよ」俺はオラさんの手を握って言った。


「もう、帰って良いか?」


バルザックが遠慮がちに声を出した。

居たの?お前。



バルザックに金貨を7枚、俺は5枚受け取った。

オラさんがちょっと高めに評価しといたと言う。大丈夫?と聞くと。『うん、払うのギルドだから』って言ってた。

ステータスのチェックルームの前に行くと順番をまっている人間はもう居なかった。バルザックが先に入れと進めるので先に入らせて貰う事にした。エルザが一緒に入りたいみたいだったけど、バルザックがいたから遠慮したみたい。

部屋の真ん中に置かれたオーブに手をかざすと。


10/99

HP685/685

MP 168/170

力 181

敏捷 151

体力 178

魔力 168


力上昇Le2

敏捷上昇Le2

体力上昇Le2

魔力上昇Le2

心肺能力上昇Le2

自然回復能力上昇Le2

MP回復能力上昇Le2

状態異常耐性上昇Le2

火耐性上昇Le2

火魔法威力上昇Le2


剛体Le2

龍眼Le2

感知Le2


ドラゴンブレス

龍の午睡


ん?なんか変なことになってる?スキルレベルは全部1だったと思ったけど。大体ドラゴンブレスって。龍眼もレベルが2になってるけど、、、。

バルザックを待たせるわけには行かないとりあえずチェックルームを出ることにした。

エルザにギルドカードを渡して更新をしてもらう。


「へぇ、すごいじゃん。一気にレベルが上がったね」

「うぅん。何だか一応ね」


龍眼のスキルがレベル2になってたけど、、、。エルザの胸をガン見するが透視の能力では無いみたい。無念。

エルザの顔を見るとすこしモゾモゾしてるが異常無し。

いつもレベルが浮かんでる辺りを見ると。


3/99


HP19/19

MP8/8


おっ、HPとMPが見えるようになってる。

でもな、何で透視じゃあねぇんだよ!

やっぱり龍は万年裸だからか?異世界ってやつは気が効かねぇな。

バタンと、音がして後ろを振り替えるとバルザックがいた。


10/99


HP413/528

MP5/85


おっコイツ俺と同じレベルでやんの先輩のくせして。ダサ。

HPもMPも低!しかも魔法使って時間経ってんのに全然回復してねぇじゃん!可哀想だな。

これが底辺か。


「一気にレベルが上がった」


バルザックは自信満々な顔で言っている。

可愛そうに。頑張れよ。


「良かったな、バルザック」


バルザックの肩をポンポンと叩いた。

まだモジモジしてるエルザにギルドカードを渡すと更新をしてくれる。


「ねぇ、今日はドニーの宿には行くの?」キュートエルザが言う。

「いや」


あぁ、どうしよ。ドニーとセリアさんに何にも言ってない。怒ってるかなぁ。


「もしぃ。良ければぁ。私しとぉ。これからぁ」


キュートエルザがモジモジしてる。


「あっ今日はこれから孤児院」

「え?」

「今度、孤児院で彫師として活動していくことにしたんだよ」

「なるほどね」


エルザは全て察したようだ。

これからドニーの宿で彫師としてとして活動したら間違い無くドニーとセリアさんに迷惑がかかる。孤児院の皆に迷惑をかけるのは心苦しいが既に彫師達とは仲が悪いそうだから。皿ごと毒を食って貰うことに。


「ちょと待って?」


ん?エルザの顔を見ると目が鷹の目になってる。


「孤児院に女の子は居ないでしょうね?」

「いや、居ますけど」そりゃあ、小さい子から大きな子まで。

「ふ~ん」


エルザが鷹の目で睨んでくる。

こうなった時のエルザとドニーに歯向かうという事は、死ぬという事と限りなくイコールに近い。


「じゃあ、私も行こうかしら。たまにはギルドの人間として顔を出さないとね」口元は笑っているが目が笑って無い。

「勿論です。行きましょう」


気分は猿か雉か犬だ。キビダンゴは貰って無いけどね。


「もう、帰って良いか?」バルザックが言う。


居たの?お前。




それからエルザは後から孤児院に来ることになった。バルザックは帰り道で、何処か良い宿は知らないかと聞いてきた。

一番俺に聞いちゃあダメなやつだ。

俺はもちろんドニーの宿しか知らないのでドニーの宿を教えておく。

オススメのメニューは娘さんの胸です。なんて、そんな事言わなかったけどね。

今までバルザックは激安の宿に泊まっていたらしい。そこは大部屋の雑魚寝スタイルで、底辺の冒険者や旅行者に人気らしい。雑魚寝の二食付で、大銅貨二枚。勿論風呂無し。トイレ共同。

何だか臭そう。でも底辺冒険者にはそれが普通らしい。バルザックは一人部屋の部屋に泊まれると言って、ホクホクした顔をしている。念願だったんだろう。

また狩りに誘ってくれと言われて別れた。今日分は前払いしてあるから今日までは雑魚寝すたいるの宿、そこに行くらしい。大銅貨二枚ぐらい気にしないで、ドニーの宿に泊まれば良いのに。貧乏性め。

それから俺は孤児院に向かう事にした。

でも気が重くなる。ドニーだ。昨日散々笑われたし。ちょっとアレな理由もあって顔を出しにくい。朝日内緒で出て来てしまったのもいけない。どうして孤児院に行くのか、どうしてこの宿を出ていくのか説明したい。

店の近くまで行くと忙しそうな声が聞こえる。俺が居なくて大丈夫だろうか。少しだけ覗いて行こうと体を動かす。


「おい!」


突然後ろから声をかけられた。後ろから誰が歩いてくるのは分かっていたけれど声を掛けられるとは思っておらずビックリする。


「なんだよ」驚いていたのを隠すように平静を装って俺は言う。

「お前こそ何やってんだよ」


そう言った顔に見覚えがあった。前にドニーの胸を触った6だ。


「こんな所でこそこそしてどうした?えぇ?振られちまったのか?」


6は喧嘩腰に俺へと近付いてくる。


「違う」


6は前に俺に殴りかかってきた距離まで近付いた。


「じゃあ、何やってんだよ?」

「お前には関係無い。どけよ」コイツレベルが6のままだ。

「はいはい、分かりましたよ。彫師さんには逆らえませんからねぇ。そうやってドニーにも近寄ったんだろ?」


「どういう意味だ?」


店に入ろうとした6の肩を掴み引き留める。


「言葉通りだよ!俺らが彫師に、逆らえないのを良いのとに好き勝手やりやがって!」

「逆らえないだと?」

「そうだろうが!ゆすりにたかり。この間の強姦もテメェじゃあねえの?良いよなぁ?憲兵にお願いしてなんでも無かったことに出来るんだからよ!」

「強姦?」

「そうだよ!やりたい放題やりやがって!もしかして、テメェ、ドニーにも?」

「違う!」

「嘘つけ!テメェ!」


6が俺に殴りかかってくる、避けるとみぞおちに拳を叩き込んだ。6は腹筋に力を入れた様だが、簡単に奥深くまで拳が入ると6は悶絶して倒れた。

確かに変に感じていた。最初に会った三人組だがドニーに絡んでいたが俺が彫師だと言うとあっさり引き下がった。

セリアさんも、ドニーも宿に泊めてくれると言った。あの時も『彫り師なのか?』と確認されている。セリアさんは怖くは無かったが口調はずっとキツかった。もしかして、俺は。疎まれてたのか?嫌々、雇っていたのか?彫師ギルドといざこざになるのが嫌で俺を雇ったのか?

ドニーもした後にあんなに笑ったのは、無理やり関係を迫った男が、迫ったくせに直ぐに終わったのが可笑しかったのか?それなら納得だ。確かあの時、俺が迫った時。『待って、無理』とドニーが言った気がする。

その後、その後は。最初確かに少し恥ずかしそうにしていたが、そもそも嫌だったのか?

宿のドアが開く。

出てきたのが誰なのかすら確認せずに逃げ出した。

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