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5 町に買出し

テントの中にはもう一人の男。テントの外には俺の心の友、グレイ。それから貸し馬ちゃん。仲間と一緒に寝るのは悪くない。美少女成分がどうも少ないようだが、野営にそれを求めるのは無理というものだ。


目覚めると、俺はすぐに戦車で町に向かった。グレイが牽いている。貸し馬ちゃんは、後ろからついて走るように指示しておいた。荷物はほとんどない。

隼人は昨日の肉の残りを食べてから、レベルアップ作業を続けることになっている。


快調に走って東の城門についた。門番さんが驚いている。

「こ、これは、馬じゃなくて馬鹿でかい犬か?いや、ひょっとして、魔狼?すっごくでかいな。大丈夫なのか?」

そりゃあ、これが町の中で暴れたらって考えるとぞっとするよな。ちなみに門番さんが今見ているのは馬サイズのグレイだ。通常だともっと大きいけど、街中では絶対に大きくならないように注意しておいた。あと、人を襲わないようにも指示してある。


「大丈夫です。俺の仲間なんですから。」

そういって門を通過し、貸し馬屋で馬を返す。1泊2日で借りたから金貨1枚になった。東門の貸し馬屋はチーム流星からの口利きがなかったので定価になった。南の城門だと1日で銀貨3枚だったんだが。


グレイに指示をしながら市場に向かう。そこで大きな防水の袋を買う。宿屋に戻ったらティナちゃんに井戸から水を汲んできて貰うつもりだ。それから干し野菜をたくさん買った。それからお鍋セットを買う。これで肉野菜鍋ができる。醤油と塩と乾パンも買っておいた。あとグレイ用に、牛の骨をいくつか買っておいた。これは喜んで貰えるだろう。魔物の骨もあるんだが、やっぱり牛の骨がいいかもと思ったので。


街中でグレイの牽く戦車で走るのは気持ちがいいな。人がすっごく見ている。ふと思いついて、赤い大きな布を買って、グレイの首にスカーフのように巻いておいた。こうすると魔物感が薄らいで、町の人を怯えさせないですみそうだ。


ちょっとチーム流星の事務所に寄る。先日からの事情を話して、「なんとか切り抜けるから、もろもろはそのまま進めておいて欲しい」と頼んでおいた。それからターニャにグレイの牽く戦車を見せびらかした。


用事を済ませて宿屋に入った。戦車からグレイを外して、中型犬サイズに戻ってもらう。そのまま部屋に入った。


「メンデス先輩、おはようござっ!」

ティナちゃんが固まっている。

「わあっ。可愛いですね!犬を飼うことにしたんですか?」

グレイがうなる。どうやらライバル認定を受けたようだ。

「グレイ、この子はティナちゃんといって、俺の秘書なんだ。傷つけないよう仲良くしてくれ。」頼んでおく。俺を巡って女たちが争うことになると、心が痛むからね。


ティナちゃんから報告を受けた。警備隊から2件、刑事弁護の依頼が入っていたが、断っておいて貰うよう頼んだ。本当は頼まれたことを断るのは心苦しいし、今後の仕事との関係からいってもよくないんだけど、今はこういう事情だから仕方がない。ティナちゃんのことだから、そのあたりはうまく言っておいてくれるだろう。


それから教会に行った。


ほとんど毎日に近いことだから、教会の人たちも、特に応対したりとかはない。黙って部屋に入る。相変わらず、不思議ないい香りがする。おしのさんは、あれからもずっと眠っているままだ。俺はしばらくベッドの隣に座っていたが、何も出来ずに帰るしかなかった。


宿屋に戻ったら、ティナちゃんが水袋に水を入れておいてくれていた。それから、


「先輩、差し出がましいようですが、私の作ったお弁当、食べて下さい。」といって、サンドウィッチの箱を差し出してくれた。

「二人分入っています。先輩にだけだと先輩も食べにくいでしょうから。」

俺のため、ということを強調して渡してくれた。

「おお、ありがとう。」笑って受け取った。

「メンデス先輩、町で先輩があの人の弁護を引き受けたって聞きました。先輩のこと悪くいう人もいますけど、私は絶対に先輩のこと裏切りませんから!」

ちょっと嬉しかった。

俺の感覚ではよく分からないけど、身分詐称は、本当に重大な悪事みたいだから、そんな奴の肩を持つ俺のことは、嫌われても無理はないみたいだ。それでも俺の味方だといってくれる人がいるのは心強い。片桐組長も心配してくれてた。


ティナちゃんをちょっと抱擁して、軽くキスしてから、水とサンドウィッチを受け取って、「次は何日かあとになる」とだけ言って、すぐに出発した。やっぱり、男が出掛けるときは、女にキッス、そして戦車。これに限るね。

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