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2 町を出て森に向かう

レベル上げのシステムがよく分からないのですが、まあこんな感じかなって思いながら漠然と書いています。

戦車。俺の新車だ。その助手席には本当は美少女を乗せるつもりだったんだが、隣には極めて不快な雰囲気のする男が乗っている。どうしてこういうことになってしまったんだろうか。


隣は不快でも、もっと不快に感じているはずのものがいる。貸し馬ちゃんだ。男が二人も乗っている上に、荷物やら装備やらが満載なので、かなりゆっくりと歩いている。多分すごく怒っているんだろう。あとで機嫌をとっておこう。


その割には城壁の外は気持ちがいい。そよ風が吹いているし、とても平和な雰囲気だ。そこで隼人と今後の闘い方などをゆっくり相談している。


「えっ、あのキアナさんから一本取ったのか?」

隼人が驚く。そもそもキアナさんって、有名だったのか。

「キアナさん有名だよ。商売上手だけど、そもそも実力も相当なものだって言われている。もともとは冒険者だ。お父さんの道場を建て直すために引退したんだよ。そのキアナさんからどうやって一本とったんだよ。」

「ちょっとずるとした。一秒だけ魔法でキアナさんの動きを止めたんだよ。」

「・・・そんなことができるのか。よし、ちょっとやってみよう。戦車を停めてくれ。」

言われたとおり戦車を停めた。


「あそこに武装狸がいる。」隼人が指差した。

「いないよ。」

「いや、いるんだって!草むらのところに座ってるだろ!」

よーく見たら、確かにそれっぽいのがいる。


「俺があいつを挑発してみる。近づいたらあいつを魔法で止めてみてくれないか。」

「分かった。」俺は答えて魔法の準備をする。準備といっても後ろで立っているだけだ。一応刀は抜いておいた。

「あ、そうだ。後衛の魔法使いが、こんな野郎で申し訳ないな。」一応謝っておいた。


隼人が武装狸に近づいた。「おい!」と声を掛ける。なんだ、これが挑発というものか。

武装狸は、「おい」と声を掛けられたのがいたく癇に障ったらしい。いきなり突撃してきた。もう少しでぶつかるという瞬間に、「我欲止時間!」と叫んだ。


狸の動きが止まった。なんか宙に浮いたまま隼人を睨んでいる。今だっ!と思って隼人を見ると、隼人も止まっていた。あ、そうか。当たり前だな。時間が止まるんだから、隼人も止まるのは当たり前だった。

あわてて俺が前に出て、狸を切り捨てる。これは簡単だった。後ろを見ると、隼人が呆然として立っていた。


「今、何をした?」

「すまん、時間を止める魔法なんだ。」

「それ、俺にとっては意味ないだろ!」怒られた。そうだよな。俺がうっかりしてた。俺と隼人は一応パーティー的な関係にあるのだろうから、俺の攻撃で入った経験値は隼人にも入るのかもしれない。しかし、俺も隼人も個人でやったこと以外でのレベルアップというものを経験していないから、本当に俺が止めをさしていいのかどうか分からない。とにかく試練の日までに隼人のレベル上げをするのが目的なのだから、俺の方は極力手を出さないようにしなければならないんだった。


武装狸はそのまま放置する。解体するべきなのだろうが、時間がもったいないし。


また戦車に乗って、ぽくぽくと進んでいく。

次からは、「狸動遅!」の呪文にすることにした。


更に進んでいくと、森の近くに来た。いったん戦車を降りた。ここをベースキャンプにして隼人のレベル上げをすることになった。俺はテントを張ったり、薪を集めたりしている間に、隼人は槍と盾を持って、あちこち走り回って、狸やらウサギやらを狩っている。一応魔物らしいので、なんか効果があるんだろう。


そう思っていたら、隼人が血を流しながら歩いてきた。

「一撃を避けられなかった。」

「よし、回復魔法を使ってみよう。」

どう唱えればいいんだろう。

「我欲腕治療!」

デコピンされた。俺の魔力量では、この仕事は重すぎるらしい。

仕事量を調節すればいいのか。

「我欲腕多少治療!」

「おおっ!」隼人が感動している。

「どうした。」

「なんとなく痛くなくなったような気がする。」

「よしっ、待ってろ!」

何度も同じ呪文を繰り返した。20回くらいしたら、隼人の腕の傷が消えた。


「おおー、ちゃんと使えるんだな。」我ながら感動した。ものすごく面倒くさいけど、一応効果はあるみたいだ。

「しかしこれだと骨折なんかしようものなら、200回くらい唱えないといけないかもな。」隼人が心配する。

「そうだな。骨折はしないようにしてくれ。」答えておいた。

「あとちょっと疲れた。」

「よしっ任せてくれ」

「我欲隼人疲労多少回復!」

隼人は首を傾げている。

「どうだ効いたか」

「分からない」

やる気がなくなってしまった。

「そうだ、俺薪集めるから。」

「あ、ああ。頼む。」ちょっと気まずい感じだ。


また隼人が走り出していった。狸やウサギがかなり気に入ったらしい。まあ無理もないよな。隼人はずっとソロだったから怪我が怖くて薬草採取しかしてこなかった。本当は、こういうのを思う存分したかったはずだ。そう考えると、まあ心ゆくまで狸狩りを堪能してくれたらいいと思う。しかし槍と盾だと、かなりやりにくそうだ。的が小さすぎるんだな。でも、とにかく隼人はコミカルベアー対策をしなければならないから、やっぱり槍と盾で頑張るべきだ。


隼人が狩った獲物は俺が回収することにした。一応保存食は用意してきているけど、ある程度は自分たちで補充した方がいいだろうし。解体とかやったことないけど、なんとなく感覚でやってみた。


テントの周りが血まみれになった。俺の手も真っ赤だ。手を洗いたいと思っていたら、突然、森の中から、ものすごい咆哮が聞こえてきた。

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