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18 レベルアップって奴が俺にも来た(か?)

自分を鍛え、自分の能力が上がっていくのは楽しい。結果が見えなければ嫌だけど、少しずつでも要領が分かってきた感じがすると、もっと上を目指したいという気持ちになる。


数日はキックボクシングの指導をしていた。といっても、俺にまともな指導ができるわけではない。キアナの真似をして、「筋がいいですよ!」とか、「凛とした雰囲気が素敵ですね。」とかそんな感じで誤魔化していた。あとは、ちょっと背中に手を当てて、もう少しこんな感じとか、そんなことを言ってみたりした。全然よく分からないけど、好評だったようだ。


町の外でスライムと戦ったり、道場で素振りをしたり、キアナに稽古をつけてもらったりしていた。今は時間を停める魔法は使っていない。タイミングがうまくとれないのと、これに甘えると実力が上がらないと思ったからだ。特に知らない相手や魔物と闘うことがあったとしたら、時間を止めるタイミングがよく分からないかもしれない。そうすると却って怪我をしそうだから、いつでも便利に使えるわけではないと考えることにした。


そんな感じで、少しずつ感覚が掴めてきた感じがした。


ある日、キアナが打ち込んできた木刀が突然見えるようになった。どこに当たるかが分かってきた。何度か見えながらも打たれているうちに、「ひょっとして、避けたらいいんじゃないか。」ということに気付いた。


「えいっ」と気合いを発しながらキアナが打ってきたのを、ぎりぎりのところで避けた。

「おっ?」自分でびっくりしていたら、すかさずキアナが身を翻して次の斬撃を放ってきた。これはなすすべもなく打たれた。


「さっきのいいですね!」キアナに褒められた。本気で褒められたのは初めてかもしれない。いや、逆に今褒められたことで、今までのは全部営業用だったことが明らかになった。


お礼を言って更衣室に戻った。全身が痛い。痙攣するくらいに辛い。それが20秒くらい続いた。何があったんだろう。そのまま挨拶をしてよたよたと宿屋に帰った。


次の朝は、筋肉痛で動けなかった。久しぶりの筋肉痛だ。昨日はそんなに激しいことはしていなかったはずなんだけどどうしたんだろう。無理をしてベッドから起き上がった。


あれ?

ちょっと身体が軽い。

いや、痛いのは痛いんだけど、その一方で、身体が軽く感じられる。

部屋の隅に置いていた刀を手にとって見た。道場で買った木刀の方だ。木刀もいつもよりずっと軽い。抜いてみてちょっと振ってみたけど、今までと比べて明らかにずっと早く振ることができるようになっている。


成長したのか。それとも、いわゆるレベルアップという奴だろうか。

ステータスウィンドウというものがないから、自分ではよく分からない。城壁の外に出て試してみたいとも思ったけど、筋肉痛がひどいので、もう一度ベッドに倒れこんだ。


ティナちゃんが出勤してきたが、しゃべる元気もなかったので、今日は帰ってもらった。いつもだとお湯を取ってきたり、身体を拭いたりしてくれるんだけど、今日は、とにかく何もしなくていいとだけ言って帰ってもらった。周りに人がいるだけでわずらわしいと感じるくらい、何かしんどかった。


それからしばらく寝てた。お昼近くなって、少し腹が減って来た時に、ノックの音が聞こえた。

ティナちゃんかな。お昼ご飯を買ってきてくれたのだろうか。

そう思って「どうぞ」と言ったら、知らない女の人が入ってきた。

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