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9 エルフヤクザとの密謀(その2)

「更に俺はアンドロポフ以外にも何人かに直接同じ話で勧誘に成功していたとします。俺の取り分は、雪だるま式に膨れ上がることになります。」

アンドロポフが10人いたら、俺の取り分は、2800万円ということになる。


「更に第三段階目のお客さんがそれぞれ5人ずつ客を紹介してきたら、ものすごい額になります。ちょっと数が多すぎて俺には計算できない。まあ、たくさんだよ。」


アンドロポフが10人いたら、ターニャが50人、ターニャの客が250人で、その客が紹介する客は、1250人だ。それぞれから9万円ずつ収入があるとすれば、1億を超えることになる。


アンドロポフが言った。

「すごくいい話のように聞こえるが、それはいつかは破綻する。この町の人口は、おおよそ20万人くらいだ。全員がそれを買ったら、最後に買った奴は、何の価値もない白の碁石1個を持って途方にくれるだけだ。」


「最後の奴がどうなるかなんて、俺たちの知ったことじゃない。後になればなるほど厳しくなる。だから、早いうちに買って、回収しなければならないというわけだ。」


ターニャが考え込む。

「末端の人間は、ものすごく騒ぐでしょうね。金返せって大騒ぎになると思う。」

俺はそこでにやりと笑った。おそらく悪人顔をしていたと思う。


「だから、こっちの身元は隠して、金に汚くて、こっちが排除したい人間を表に立たせるんだよ。四万十川騎士団長だ。四万十川騎士団長は、ダミーで、実際の商品の準備はこちらでやる。取り分も、9割はこちらが貰う。それでも四万十川騎士団長にとっては、ものすごく大きな額の収入になるはずだ。最後に、騒ぎが大きくなったら、四万十川を切り捨てる。俺たちが素性を明かさずに取引を持ちかけ、後で連絡を絶ったら、四万十川は全部後始末を背負い込むことになる。完全に身の破滅だ。」


複雑な仕掛けになるが、ターニャもアンドロポフも理解した。細かい値段の設定などを決めた。


このオンドレの町の人口は20万人程度らしい。その中でこれにひっかかる人間が5000人いるとすると、それぞれが金貨10枚以上をこちらに支払い、そこから下の人間に少しずつ金が流れることになる。俺の試算だと、こちらの手元には大金貨5000枚、つまり5億円が入ることになる。四万十川に1割払ってやるとして、残りの、三分の二をチーム流星が、三分の一を俺が貰うことにした。予定どおり進めば、1億5000万円が俺の懐に入ることになるぞ。


ちなみに、四万十川の借金は、おそらく3億円程度だろうと思う。抵当権の登記だけだと正確な金額は分からないが、この話に乗ったら四万十川には5000万円くらいは入るはずだ。借金漬けになっている人間にとっては、全額返済はできなくても、これだけの金が返せるのなら、ものすごく助かるはずだ。だから、持ち込み方さえ注意すれば飛びつくと思う。


別に四万十川を助けることにはならない。どうせ破綻する仕組みだ。そのスケープゴートにされるのだから、5000万円受け取ったとしても全然割りにあわないはずだ。


典型的なマルチ商法の手口が、こういう感じだったと思うんだが。前世で実際に見たわけではないけど、基本的な枠組みはこれでよかったはずだ。この世界では、そういう手口に免疫がないし、取り締まる法律も存在しないから、最初はやりたい放題のはずだ。もっとも、そんなことをしたら社会的に抹殺されることになるだろう。しかし、今回の場合は、抹殺されるのは俺たちではなく、四万十川騎士団長だ。


問題は、碁石の変わりになる商品をどうするかだ。それはアンドロポフが考えることになった。価値がなくて入手は容易だけど、複製できず、こちらが独占できるものでなければならない。


もう一つの問題は、四万十川に誰が話を持っていくかだ。顔と名前は出したくない。ターニャが、

「私、お化粧したら全然印象が違う。服装とか変えて、胸にさらしを巻いたりして体型をいじったり、靴で身長を底上げしたりすると、別人になる。」といった。


アンドロポフが、

「お嬢、そいつは危険だ。」と言ったが、ターニャは譲らない。


とりあえず変装してみて、それでどれだけ身元不明になるかをみることになった。

それでいけるとしたら、俺がフードと仮面をして護衛につくことになった。


アンドロポフが、

「声の質を変える薬がある。闇ルートで入手できるので、それも使おう。」と言った。

ターニャの変装に準備が必要なので、また後日顔を出すことにする。ついでに俺の変装用衣装と仮面の調達もお願いしておく。


うまく行きそうだ。これで、被害者が騒ぎ始めたら月刊オンドレで弾劾記事を書こうと考えた。このネタがあって、しかも王都で使える材料が見つかれば、西島組の片桐組長はゴーサインを出すだろう。

読んで頂いてありがとうございました。

諸先輩方には遠く及びませんが、お気に入り登録して下さった方、評価ポイントが増えているのを見ると、ものすごく嬉しいです。

連休が明けると、投稿ペースは落ちますが、引き続きお読み頂きますようお願い致します。

次は、明日の夜くらいになる予定です。

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