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10 筋肉痛と帯剣

当然のことながら、次の日の朝、俺はベッドから出られなかった。


ティナちゃんが出勤してきたが、俺はそのままで、「適当に掃除とかしていてくれ。」と言った。本当は帰らせてもいいんだけど、そうすると給料をその分差し引くかどうかという問題が出てくる。かといって、座らせているだけというわけにもいかない。文献を筆写させようかとも思ったけど、どこを写してもらうか、付箋をまだ貼っていない。教養小説を読ませようかとも思ったけど、例の「オークに犯された女騎士」は、全部読み終わってしまって、おなか一杯だ。一度読んだエロ小説は、原則として二度読みはしない。俺だけじゃないよね?だから掃除を頼んだ。


「メンデス先輩、大丈夫ですか?」ティナちゃんが心配してくれる。

掃除と指示したが、ティナちゃんは、その前に朝ご飯とかを買ってきてくれた。ベッドの中でもぞもぞ食べる。


一通り掃除をしてから、ティナちゃんが、

「薬草を貼ると治りますよ!ちょっと家にとりに帰っていいですか?」と聞いてきた。

俺は動けないまま、うう、と唸った。


ティナちゃんはしばらく帰ってこなかったが、どうやら家で煮出していたらしい。異臭を放つ桶を持って帰ってきた。


シャツを脱がされて背中や腕にぺたぺたと薬草を置いていってくれる。なんか生暖かいのに微妙にすうっとして気持ちがいい。確かに、これは痛みが取れていく感じだ。

ズボンはそのまま。ティナちゃんも手が出せないみたいだ。と、思っていたら、


「マ、マッサージしましゅね!」

なんか舌噛んでないか。


ズボンの上からだけど、小さな手で痛いところをぎゅっぎゅっっと圧迫してきた。これがなかなか気持ちがいい。

そのまま寝てしまったようだ。


俺は、この現象を、「ラッキー筋肉痛」と命名することにした。


夜になったので、よろよろと起き上がり、道場に向かうことにした。


数日の間、そういう生活を続けた。


道場は、予定通り、女性客が増えてきている。これはいい。なんか、いい匂いがする。男性客も、すごく楽しそうだ。おじいちゃんは、たまに物陰から道場を除いて男を睨んでいる。女の子も睨んでいるが、目つきが違う。このスケベおじいちゃんめっ。


酷い筋肉痛は初日だけだった。それ以降は、一応身体を動かせられる程度に収まっている。実力はどれだけついたかはよく分からない。どんなもんかなと思っていたら、キアナちゃんが立ち会ってくれた。


瞬殺です。


まあ、いうまでもないか。


キアナちゃんは、

「筋はとってもいいですよ!あと目つきが鋭くてすごいです!その目ができる人は大成するんです!」といってた。


そ、そうかな。言われてみれば、何か掴みかけているような気もする。実は瞬殺されたときに、もう通うのを辞めようかとも思ったんだけど、もう少し続けることにした。キックボクシングの練習風景も気になるしね。


一応、刀の基本的な使い方は分かったので、その他のことも進めていくことにする。


キアナちゃんに言って、伯爵宛と商工会議所長宛の証明書を作って貰う。要するに、この人物は、刀剣類の扱いにおいて一応の技能を有しており、また適切な判断能力を有しているというような感じの証明書だ。署名欄だけ空欄にして渡しておいた。あとでおじいちゃんに署名させるんだろう。発行料を請求された。一通で大銀貨3枚。


それから南町奉行所に行って、俺が襲撃を受けた記録があることの証明書を、やはり二通作ってもらった。こっちは無料。


それから申請書を書いて、各種の証明書を添えて伯爵と商工会議所に提出した。伯爵の方は、騎士団の詰め所に持っていった。数日後、伯爵と商工会議所長の許可証が送られてきた。


ふう。


武器屋に行った。検察官が持っているのに俺が持っていないのは格好悪いから、使う予定はないけど刀を売ってくれなんて言ったら、絶対に激怒されそうだと思った。歩きながら一生懸命、刀が欲しい理由を考える。


何も思いつかないまま武器屋についた。ドワーフのおじさんに用途を聞かれたので、胸を張って「スライムより強い相手とは絶対に闘わないつもりだ」と答えたら、なぜか感服されて、「それこそが真の達人だ。筋がいいですよ。」と言われて、身体に合った刀を見繕ってくれた。ちょっと高かった。手入れをするための道具も一緒に買って帰った。


宿屋に戻って、まず抜いてみたのは当然だ。抜いてみた瞬間にお使いに出ていたティナちゃんが帰ってきた。

「メンデス先輩、すごく格好いいです!」

なんか、恥ずかしい。


「刀を持つと、敵の気配に敏感になるんだ。」

適当に言ってみた。

「通りに刺客が隠れているような気がする。ちょっと窓の外を見てみろ。」


ティナちゃんは、「え、またですか」という顔をしながら、窓のところに立った。俺に背中を向けている。


「刺客らしい人は・・・あ、あの人かもしれません。焼き鳥屋さんが屋台を出していますが、周りをキョロキョロ見ています。かなり怪しいです。」


ああ、焼き鳥屋さんね。あの人、俺がこの宿屋に来たときから、あそこで屋台出してたよ。


お尻を叩いた。


「あれは一般の方だ。妄想で素人を巻き込んではいけない。」

厳しく戒めておいた。


あとは戦車だ。これはエルフヤクザのチーム流星に相談してみよう。

読んで頂いてありがとうございました。

やっぱり思いつきで書き足した部分は、自分でもしっくりこないですね。次回も書き足し分を投稿の予定です。戦車は、近代戦で使う奴ではなく、Chariotです。まだ書けていませんが、明日くらいにはまた投稿できるかと思います。

連休の合間にでも、引き続き、お読み頂けましたら幸いです。

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