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8 片桐組長の怒り

いい気分で今後の計画を建てる。戦車で法廷に乗りつける弁護士って、格好よすぎるだろ。弁護剣士と名乗ってもいいくらいだ。

そう考えてにやにやしながら、両隣の女の子の太ももをさりげなく撫でていたが、片桐組長の様子がおかしい。


「先生はいいよな。そうやって帯剣もできるし、戦車に乗って、法務官や検察官というお上の偉いさんと五分の付き合いができるようになっていく。しかし俺たちはいつまでたってもヤクザもんだ。言い分があっても全然通らねえ。」

急に沈みだした。


「先生よぉ。俺は若いころに悪いことをして懲役にも行った。うちの若いものもそういうのが多い。前にも話したが、悪いことをして罰を受けるのは当然だ。俺は、だから、伯爵様や法務官やら騎士団やらを恨む気持ちは全くない。それに伯爵領は、そういう点では、本当に公正だから、俺はしっかりと納得している。いや、公正だからこそ納得していると言ってもいい。だからこそ、今回の騎士団長のやり口はどうしても飲み下せねえ。広くはないが立派な領地を持っていて、名声もある。伯爵領で軍隊のトップの地位もある。何の問題もないし、不満もないはずの人間が、どうして俺の連れ込み宿に、そんなに噛み付いてくるのか、それで小金をせしめようというような、さもしい真似をするのか。どうしてあんな汚いやり口で圧力を掛けてくるのか、人間として共感できるところが全くない。先生、奴と会ったんだろ。どういう人物だったんだ。」


話が込み入ってきたので、女の子たちに言って席を外してもらった。

「そもそも騎士団長の小遣い稼ぎなのか、伯爵も関わっているのかが問題ですよね。」

「いや、伯爵は、そんな細かいところでせこく稼ぐような人間じゃない。この前も、ちょっとだけだが税率を下げてきた。伯爵は、鉱山の利権やら、色々あるから財政はものすごく健全だと聞いている。今回、南地域で魔物の侵攻があるが、それも伯爵の財政を揺るがすほどのことは全くない。」


「そうですか。四万十川騎士団長は、すごく嫌な奴でしたよ。貴族だということを鼻に掛けていたし、平民を見下していました。それだけの責任感や能力があるのなら、まだ許せるかもしれませんけど、能力も普通くらいですし、人格的にも低いものを感じました。」


「そうだろ。騎士団長と接したことのある人間は、ほぼそんなことを言う。だが、その騎士団長が、どうして俺の商売に首を突っ込みたがるか、だ。」


「そういえば、騎士団では給料が遅配になってると聞きました。」確かゼットがそう言ってた。酒場でコップ一杯の酒も飲めないくらいだった。


「そいつは変だな。伯爵の軍隊ではそういう話を聞いたことがない。ということは、騎士団にだけ給料が遅れているということだが、優先順位からいってもありえない話だ。」


「では、騎士団長が金に困って騎士たちの給料を横領しているということですかね。」


片桐組長は、まさか?という顔をした。

いや、逆に他に理由がある方が無理あるんじゃないかな。


「確証がない限り、告発しても逆に潰されます。組長の方でこっそり探ることはできますか。」

「そうだな、やってみよう。」


その日は、それで終わった。お酒は飲んだがご飯を食べてなかったので、結局帰り道に軽く食べて帰った。

読んで頂いてありがとうございました。

ちょっとピンク成分と冒険成分を増やす実験をしています。もともと書き溜めていたプロットに戻れるか心配ですが、中弛み対策として頑張りたいと思います。次回投稿は、明日の夜ころを目処に考えています。


PVが少しずつ増えてきました。まだまだ諸先輩方には全然及びませんが、引き続き頑張っていきたいと思います。読んでくださった皆様には、応援頂けますと大変励みになります。

それでは、よい連休を。

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