3 報酬を頂くまでがお仕事です
しばらくは、平穏な日々が続いた。
ごくごく簡単な刑事事件をいくつか済ませた。
1日か2日に一度のペースでおしのさんのお見舞いに行っている。もっともおしのさんは意識がないから、しばらくベッドの傍で座っているだけだ。本当は毎日でも行きたいが、ちょっとそこまでは時間が取れない。
ティナちゃんとは、相変わらずだ。
たまにお尻を叩くくらい。これはもう恒例になっている。
俺が出掛けようとすると、ティナちゃんは黙って窓際に立つ。その日によって、微かに透けるパンツの色が違っていて、これがまた興奮するんだ。なんか、このために仕事しているようなものです。ティナちゃんは、ほとんどいつも色の薄いスカートを履くので、それもまた良いものだ。実に良い。
この前は、叩かずに、ちょっと撫でてみた。
いつもはティナちゃんも黙って叩かれるだけだけど、その日は、
「ひゃっ!」と声を出した。
改めていつものように叩いてから外に出たが、あれだな、叩くより撫でる方がいいな。しかし習慣に流されるのは良くない。撫でたのは、その日だけだ。
あと、今もたまに字の読み方を聞いてくる。これも恒例になっていて、ちょっとだけ胸を触ることにしている。
一日当たりのお給料は、大銀貨2枚から3枚に増やした。お尻代だ。
おしのさんのお見舞いに行っていながら、秘書にセクハラっていうと、なんか悪いようではある。でも、そこに躊躇いはない。だって、お尻だよ。文句ある?
そして、離婚裁判の判決の日が来た。
ナーナとティナちゃんと連れて教会に行った。
やはり夫からの反論文の提出はなかった。司祭も機械的に、
「判決 ナーナ夫とナーナは離婚する。本件土地建物の所有権は、ナーナに移転する。被告ナーナ夫が何等反論をしないので、被告は、原告ナーナの主張を事実として認めたものとして扱う。以上」とだけ読み上げた。判決文を紙で受け取った。
ナーナを先に家に帰らせた。鍵を付け替えておくように指示した。
受け取った判決文を持って法務局に行ってきた。登記簿の所有権欄をナーナに書き換えて貰う。新しい登記簿謄本をもってナーナの家に行った。ティナちゃんは帰らせてる。
謄本を渡す。
「先生ありがとう。」ナーナが低く湿った声で言った。
「離婚なんてものができるって知りませんでした。ちゃんとそういう法律があったんですね。教会で、それができるっていうのも知らなかったし、夫が懲役中だとこっちの言い分が全部通るっていうのも知りませんでした。夫の財産も全部貰えたし。先生にお願いしてよかった。私の人生の恩人っていうことになりますね。」
見詰め合う。いや、彼女は結構セクシーで好みではあるけど、特別な感情はない。それよりも、早く成功報酬払え。金貨50枚だ。すごく楽しみにしてたんだぞ。
ナーナは、目をそらさない。唇が近づいてくる。俺は思わず、「きゅっ」と目を瞑ってしまった。これは自然現象だね。「待ち」の顔をしてしまった。いや、実年齢29歳の男が「きゅっ」って、なんやねん。恥ずかしいわ!
じっとしていた。どきどきする。唇に何かが触れた。これは間違いなく唇だ。ナーナの細い指が俺の肩にかかっているのが分かる。薄く目を開くと、ナーナの綺麗な顔があった。うっとりする。
俺のファーストキスだ。もう一度目をしっかりつぶって、感触を堪能する。みなさん、これがキッスですよ!
突然、後ろから髪の毛を掴まれて、ナーナの唇から引き剥がされた。
気が付くとエルフに囲まれている。黒いスーツを着ている。サングラスもしている。
本日の投稿は以上です。お読み頂いてありがとうございました。
続きは、少し書き足さなければならないのですが、おそらく明日の夜くらいには投稿できるかと思っております。
引き続き読んで頂けると幸いです。