3 弁護は準備が大切だから
それから数日は、俊彦の母親から金を受け取ったり、母親に浩太ちゃんの生活費を出すように言ったり、真樹と打ち合わせしたり、俊彦被告人に面会に行ったりしていた。あと裁判所に行って、松本俊彦の弁護人に就任したことを報告したりで、もうかなりふらふらになった。
西島組にも顔を出した。工事がもう始まっている。仕事が速いわ。
ティナちゃんのくれた古着は全部古着屋に売り払った。そのお金は袋に入れておいてある。会う機会があれば渡すことにしようと思う。でもこちらから顔を出す気にもなれないし、放置しておくことにした。
それに手をつけなくても、ある程度のお金ができたので、何着か服を買った。
ぼんくら亭主は、金貨一枚分の宿代の日数が過ぎたといって捻じ込んできたが、飯も出していないし、部屋の掃除もしていないのに、定価で計算するのが間違いだと諭してやった。結局、いつまでいていいのかお互いよく分からない状態で物別れになった。このまま当分居座ってやろうと思う。
おしのさんはまだ見つからない。というか、探す方法が考え付かない。あのドラゴンの夜の次の日の朝に会って以来、おしのさんとずっと会っていない。そもそも俺はおしのさんをあの亭主から奪い取ろうと思って、こんな風に仕事を頑張ることにしていた。そのおしのさんが見つからない。いずれにしても、見つかったときに、ちゃんとおしのさんとお話できるように仕事だけは頑張っておこうと思った。




